「好き」の力を信じる ~ 御船高校芸術コース発表会

 御船高校には音楽、美術・デザイン、書道の三つの専攻からなる芸術コース(普通科)があります。熊本の県立高校では唯一の音・美・書の三領域そろった芸術コースです。各学年の4組がそれに当たり、66人の生徒が在籍しています。オンリーワンを目指す、きらきらと個性輝く生徒たちが集まっており、それぞれが好きなアート制作に取り組んでいます。現在、この芸術コースの発表会が行われているのです。

 美術・デザイン専攻と書道専攻の作品展を12月10日(火)から15日(日)まで熊本県立美術館分館4階展示室で開いています。昨日12日(木)に私も会場に赴きました。会場には、伸びざかりの表現力の結晶である作品群が並び、壮観で圧倒されます。

 会場の一角では、ホラーの短編映画が上映されています。7分の短い映像作品ですが、学校を舞台とした学園ホラー映画には高校生の感性が色濃く反映されています。出演者は本校生及び教職員です。御船高校の美術・デザイン専攻では、3年生で選択科目「映像表現」(2単位)があり、この科目履修生によって制作された短編映画なのです。このような「映像表現」科目を選択できる高校は県内には他にはありません。

 昨日は、3年生美術・デザイン専攻の3人の女子生徒が会場受付を担当していました。3人とも口数が多い生徒ではなく、どちらかというと内向的な性格かもしれません。しかし、彼女たちの作品は誠に雄弁です。自らの内なる声を表現したいというエネルギーが作品に満ち溢れています。創られた作品は、その人の身体の一部のようなものだと感じます。

 高校進学の時点で、芸術コースを選ぶ生徒は多くはありません。しかし、自らの「好き」という気持ちを拠りどころとして、少数派としての誇りをもって入学してきてほしいと思います。御船高校芸術コースは、自分の「好き」を磨き伸ばす場所です。スポーツであれ、文化活動であれ、自分自身が心から好きなことに熱中することは自己肯定感につながると思います。

  「A I」の時代を迎えた今だからこそ創造力や感性が求められる、と本校の芸術コースの職員たちは述べています。芸術コースの真価が問われる時が来たと言っていいでしょう。

 美術・デザイン専攻と書道専攻の作品展(県立美術館分館)は12月15日(日)までです。また、音楽専攻の発表会は12月17日(火)の午後6時30分から御船町カルチャーセンターで開かれます。どうか足をお運びください。