校長室からの風

ICTの波に乗れ 

 一年前を振り返ると、新型コロナウイルスの急拡大に伴い、学校は臨時休校を余儀なくされていました。生徒たちは在宅学習で、職員の多くも在宅勤務となり、学校には職員が交代で出勤するという前代未聞の異常事態でした。私たち教職員も混乱し、戸惑う中、生徒たちと学校を結んだのはICT(Information Communication Technology 情報通信技術)の力でした。オンラインで生徒と担任がコミュニケーションをとり、各教科の様々な動画教材を学校ホームページにあげ、生徒はそれを視聴して学習に取り組み、オンラインで回答を寄せるなどして、約2ヶ月の臨時休校期間を乗り越えることができました。

 コロナパンデミックの長期化に伴い、「テレワーク」という言葉が流行語になったことが示すように、ICTを軸として私たちの生活は急激に変化しています。過密都市の社会をコロナウイルスが襲ったことをうけ、これからの社会のあり方として「分散」がキーワードになっています。「分散」した人、仕事をつなぐのがICTなのです。社会生活のICT化について、時計の針が一気に進んだ感じがします。伝統芸能の歌舞伎において、「図夢歌舞伎」(ずうむかぶき)が登場したことには驚かされました。役者さんたちがそれぞれの稽古場に同じセットを組み、そこでの演技を撮影して画面に組み合わせるという手法で、まるで一つの舞台で複数の役者が演じているような臨場感があります。コロナ禍のニューノーマル(新しい常態)を人々が懸命に模索している時だと思います。

 ICTの波は学校教育にも押し寄せてきました。国も県も学校教育のICT環境整備に予算を重点的に当てるようになりました。この波に、西高は率先して乗っていきます。生徒1人ひとりにタブレット端末1台の配備が実現したのです。先ずは県内16校が先行実践校としてスタートすることとなり、西高もその一つに選ばれました。1、2年生は1学期から1人1台配備され、早速授業で活用することになります。3年生は2学期から手元に届き、進路実現の役立たせてほしいと思います。学校内の回線工事はまもなく終わる予定で、早ければ5月の大型連休明けから授業での使用が始まるでしょう。

 生徒の皆さんは、無限の可能性を持つ学習道具を手にすることになります。それをどう使いこなすかはあなた次第です。生徒の皆さんもICTの波に乗ってください。

 私たち教職員がまずは意識を変える必要があります。意識が変われば授業が変わります。今年度は西高のICT教育元年と言えます。生徒の皆さん、西高の授業がどのように変化するか、大いに期待してください。

         ビデオ動画による新入生への部活動紹介の様子