校長室からの風

「eスポーツ」を知っていますか?

 「どうして学校でコンピュータゲームをして遊んでいるんだろう?」と知らない人が見れば首をかしげる光景かも知れません。熊本西高のコンピュータ室で、放課後、生徒たちが声を掛け合いながらディスプレイ画面を注視し、コンピュータを巧みに操作し、ゲームに取り組んでいます。これはれっきとした部活動で、西高「eスポーツ部」なのです。

 「eスポーツ」については、保護者の方々をはじめ私のような中・高年世代にはまだ馴染みがないと思います。エレクトリック(electronic)スポーツの略語で、ビデオゲームを用いての対戦競技をスポーツ領域と捉え、近年、若い世代を中心に世界で普及しています。すでに企業スポンサーが応援し、世界大会が開かれ、プロ競技者も現れています。そして、我が国でも全国高校eスポーツ選手権大会が実施されるなど学校の部活動に広がり始めました。

 熊本西高校では県立学校の中では先駆けて、令和元年度に「eスポーツ部」を発足させました。今、専用のパソコンが5台あり、県内の企業、事業所から活動の支援をいただいています。誕生して3年目の部ですが、今春入学した1年生が30人ほど入部し、活動場所のコンピュータ室では手狭な状態で、うれしい悲鳴をあげていると聞き、先日、様子を見に行きました。

 「eスポーツ」について全くの素人の私に対し、3年生諸君が丁寧に説明をしてくれました。初めて聞く用語が多く、十分に理解出来たわけではありませんが、次の三つのことは確認できたと思います。

 最も競技人口が多いLOL(リーグオブレジェンド)をはじめ5人組、3人組でチームをつくり対戦する競技であること。仲間と一緒にプレイをするわけだから、コミュニケーション、チームワークが必要であること。西高「eスポーツ部」の特色は他校に比べ女子生徒も多く、とてもフレンドリーな雰囲気であること。

 「自分たちで教え合い、上達しているようです」と顧問の有馬先生(情報科)が言われるとおり、上級生が競技している周囲に1年生が集まり、見て学んでいる様子が印象的でした。「eスポーツ部があるということが、僕が西高を選んだ理由の一つです」と1年生のサイエンス情報科の男子生徒が語ってくれました。

 生徒たちの居場所と出番があることが学校には必要です。他の部活動と同じように、好きなことに熱中できる拠り所が「eスポーツ」であってもいいと思います。学校教育の場に囲碁部、将棋部が導入されたのがいつ頃かはっきりはわかりませんが、今の「eスポーツ」の到来と同じような受け止め方だったかもしれないと想像します。

 これから西高「eスポーツ部」を大きく育てていく責任が私たちにはあります。