東京パラリンピック柔道男子60キロ級代表に内定!本校職員平井教諭がんばれ!
本校理療科職員の平井孝明教諭が、このたび東京パラリンピック柔道男子60キロ級代表への内定通知をいただきました。パラリンピックは2度目の挑戦となります。本人の東京パラリンピックに向けての思いを掲載いたします。皆様の温かいご声援、ありがとうございます。
「東京パラリンピックに向けて」 高等部理療科 教諭 平井孝明
私はこの度、日本視覚障害者柔道連盟から来年夏に開催予定の東京パラリンピック柔道競技60キロ以下級の代表候補選手として内定をいただきました。今回は私を含め10階級での代表候補選手が内定しました。全階級の内定が決まった後、パラリンピック委員会への推薦・選考で正式にパラリンピック代表が決定します。まだ正式な代表ではありませんが、来年、試合することをしっかりイメージしながら、一日一日を大切にしながらトレーニングをしています。
私はメラニン色素欠乏症という病気で先天的な弱視です。小学校1年生から盲学校に入学し、小・中・高・専攻科と学び鍼・灸・マッサージの資格を取りました。現在は鍼灸マッサージの資格取得を目指す理療科の教師をしています。私の病気は全身の色素が少ない、という特徴があります。中学生の頃までは見た目の違いがとても気になり人前に出るのが嫌でした。弱視でもあり、自分に自信が持てませんでした。それを180度変えてくれたのが柔道です。 柔道との出会いは、中学2年生の頃です。学校の部活動で始めました。視覚障害者柔道は、通常の柔道とほぼ同じルールで行われます。柔道は目が見える見えない関係なくできるスポーツです。大きく違うのは「組んだ状態で始まる」「試合中は必ずどちらかの手で道着をつかんでいなければいけない」という点です。両手を離しての組み手争いはありません。この点が通常の柔道と違うところです。その他は同じルールです。この「ほぼ同じルール」というところが視覚障害者柔道の魅力です。そして、しっかり練習・トレーニングした人が強くなります。だんだんその面白さに魅了され、高校1年生の頃には「パラリンピックに出て金メダルを取る」という目標をたてました。
私の得意技は引き込み返しという技です。この技は、四つん這いになっている相手をひっくり返して押さえ込む技です。高校時代に先生から教えていただき、何万回と練習して習得しました。今では相手が四つん這いになれば90%以上の確率でひっくり返すことができます。柔道の醍醐味は「豪快に相手を投げ飛ばす事」とよく言われますが、私は粘っこく攻めて「寝技で勝つ事」に魅力を感じています。色々な勝負の仕方がある、というのも柔道の面白いところだと思います。来年のパラリンピックでは寝技で勝ち上がって優勝を目指します。
私は柔道を通してたくさんの方々と出会い、支えられて今に至っています。特に忘れることができないのが、リオパラリンピック代表選考会の時です。その試合は2016年5月4日に東京の講道館で行われましたが、その約3週間前の4月14日に熊本地震が起こりました。その時、私は学校の柔道場にいて選考会に向けたトレーニングを行っていました。地震の直後はガスや水道が止まり、通常の生活ができない状態でした。余震も続き不安な日が続きました。そんな中でも選考会に向けてトレーニングに付き合ってくださった方、練習場所を探してくださった方、食べものや飲み物を送ってくださった方など、たくさんの方から支えていただき試合当日を迎えました。試合は、「何がなんでも勝って応援に応えたい」と思ってたたかいましたが負けてしまい、パラリンピック出場は叶いませんでした。その時の悔しさ、情けなさは忘れることができません。
今はコロナの影響で通常通りの柔道ができませんが、皆さんの応援を力に、1年後の自分を信じて、今できることをせいいっぱい続けていきます。1年後の日本武道館で行われる東京パラリンピックでは、前回の悔しさをぶつけ金メダルを目指します。
令和2年3月東京国際視覚障害者柔道大会より
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