本校校長より

  

  熊本県立盲学校は、明治44年に「私立盲唖技芸学校」として設立され、大正15年に県立移管されました。その後、昭和22年に「熊本県立盲学校」として独立し、令和3年に創立110周年を迎えました。「明るく、強く、精いっぱい」の校訓の下、1世紀の永きにわたり、一貫して本県における視覚障がい教育の中心的な役割を果たし、今日まで多くの人材を輩出してきました。

 スポーツでは平成16年のアテネパラリンピック競技大会には当時専攻科3年生の天川敬史選手が柔道100kg超級で出場を果たし、銅メダルを受賞しています。令和3年に一年遅れて開催された東京2020パラリンピック競技大会には、本校平井孝明教諭が柔道60kg級にて日本代表選手として出場いたしました。2019年には、昭和62年度卒業の岩本光弘氏が、ヨットでの13000km太平洋横断に成功するという快挙を成し遂げました。その他、音楽の分野、治療院の開設等、様々な分野で本校の卒業生が活躍をしています。

 近年の本校の活躍では、文化面では九州地区盲学校弁論大会・全国盲学校弁論大会で上位入賞や熊本県及び九州地区高等学校弁論大会において優秀賞を受賞。音楽面では、アンサンブル部の全国大会における3度の金賞受賞、令和5年度全国総合文化祭にも、出場します。

 現在、視覚に障がいのある幼児児童生徒が通う幼稚園、小学校、中学校、高等学校への支援、中途失明された大人の方への生涯教育に係る支援等、本県における視覚障がい教育のセンター的役割も担っています。

 人は、秘められた能力を有しています。その能力は、体験や日々の努力、周囲からの働きかけで開花するのではないかと感じています。幼児児童生徒一人一人がそれぞれの希望と目標にむけ、自分なりのペースで一歩ずつ進んでほしいと願います。その歩みを本校職員は一丸となって支援してまいります。

 

                        令和5年4月1日       

                          熊本県立盲学校長 仲山加津恵