2017年12月の記事一覧
13kmと11kmで思い出した積分の悲しい計算
穏やかな日差しに恵まれた今日の長距離走大会、全校生徒544人のうち怪我や体調不良等で見学をした18人を除く526人が寒風を衝く力走で初冬の球磨路を駆け抜けました。途中で足をくじくなど2人がリタイヤしましたが、その他の生徒たちは全員が規定時間内(2時間)に走り抜くことができました。
懸命に走る姿は勿論、男女隔たることのないゴールでの声かけや拍手に何か温かいものを感じ、改めてクラスのまとまり、球磨工のまとまりみたいなものを実感できたいい大会だったと思います。
力強い走りでみんなを先導した男子1位の岩坂優志君【3C】(43分26秒:299.3m/min)、女子1位の竹崎杏さん【2MA】(51分44秒:212.6m/min)をはじめ、上位15人の皆さん方を表彰しました。誠におめでとうございます。
沿道周辺の皆様には、今年も大変御迷惑をおかけしましたが、終始温かいご声援をいただきありがとうございました。また、保護者の皆様には豚汁作り等で大変お世話になりました。
ところで、私は懸命に走る生徒たちを応援しながら、男子と女子が走る距離、13km、11kmをそのまま繋げた1311という数字にも思いを巡らしていました。
13も11もどちらも素数で、1311もぱっと見、素数です。でも各桁の和が6ですから3で割れます。割ってみました。1311=3✕437
えぇ! 437、またしても素数っぽい数字が登場しました。この数字に直面して、私はとても悲しかった記憶がまざまざと甦ってきました。
それは・・・大学1年の時、必修科目の工業数学の試験のことです。積分*の計算問題がありました。確かインテグラル(∫)が2つ出てくる二重積分で、面積か何かを求める問題でした。ややっこしい分数と格闘の末、やっと答が出てきて、その計算結果、今でも覚えています。299/437
「分母も分子もパッと見素数、これは約分できないな・・・」と思って、何の疑いもなくそれを答えにしてしまいました。
ところが、試験後、友達とその問題について話をしていたら、それって約分ができると聞いたのです。
皆さん方はどんな数で約分できると思いますか?
分母も分子も何と23で割れるのです! 23で約分して、正解は13/19
小中学校の頃から、分数は約分しないと0点と躾けられていましたし、高校の時も確率の問題で約分してないと✕にする厳しい先生に習っていましたので、「あぁあ、あの問題は落としてしまった」と思い、「トホホ」と残念な気持ちで一杯になりました。
今はどうか知りませんが、当時大学では答案用紙の返却はなく、試験後に成績が優・良・可・不可で知らされるだけでした。結果的にはその工業数学、不可にはならず再履修はしなくてよかったのですが、大学の先生がどう採点されたのか、今更ながら思い出してしまったというわけです。
ちなみに、高校の数学でも確率や余弦定理でcosの値を求める問題で、答が分数になることが多いわけですが、約分していない時、どのように採点しているか興味津々で数学の某先生に聞いてみました。
「分数の計算問題なら✕だけど、確率の意味や余弦定理の計算の手順が合っているのなら○に近い△にはしている」ということでした。
高校入試ではどうなんでしょう?こうした採点基準は公開できませんから、ここで触れるわけにはいきません。大学入試ではどうでしょう?高校の先生が約分無しをサービスで△にしたからといって、選抜試験を採点する大学の先生がそうしてくれる保証はありません。「落とす試験」では同点の点数が並んだとき、約分のような重箱の隅が減点の対象になりえるわけで、この記事を読んでくれている中学生を含む生徒の皆さん方は、やはり厳しく捉えていたほうがいいかもしれません。
そういうことで、299/437みたいな一見とっつきにくい数をどう約分するかが問題です。2でも3でも5でも7でも割れません。11、13、17・・・と順番に、分母も分子も割って行かなければなりません。時間がかかります。
今日は、約分する「秘策」について以下に簡単に触れておきます。
知っている人は「そんなの前から知っていたよ・・・」と言うかもしれません。実は、私も当時知ってはいたのですが、それを試そうとしなかったこと自体が、試験の時の独特な雰囲気に飲まれていたのかもしれないと今でも思っています。
まず分母と分子の差をとります。
分母-分子とか、分子-分母とかではなく、大きい方から小さい方を引きます。
437-299=138
実は、この差(138)の約数の中に、元の数(437と299)の公約数が隠れているのです。
138を素因数分解します。このとき出てきた差(138)は、必ず元の数(437と299)より分解しやすい数字になっています。
138=2×3×23
元の数(437と299)は2でも3でも割れませんから、公約数は「23」だということがわかります。
その理由について説明(証明)すると、ややっこしいので省略しますが、この「秘策」だけは覚えておいて損はしないと思っています。
【校長】
※積分とは
放課後、校内を回っていたら、2年生のあるクラスの黒板が消し忘れてあり、数学の授業の跡が残っていました。増減表を作って3次関数のグラフを描く単元を学習していたようです。ここは微分の応用だから、「もうすぐ積分を習うな・・・」と思ったところでした。
微分とは一言で言うと、「接線の傾き」です。増減表で+とか-とか記入したと思いますが、それは接線の傾きが+か-ということだったですよね。では、積分とは一言で言うと何なのか?
積分とは「微分の逆」です。ただ、こう考えると、計算はできても積分の本質を押さえることは難しいと思っています。積分には、もう一つ「±つきの面積を求めること」という捉え方があります。
どちらにしろ、2年生の皆さんはもうすぐ学びます。授業を楽しみにしていてください。
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