徒然雑記帖

2017年12月の記事一覧

今年もあと10日、2017を振り返る2話

3年生のあるクラス、2学期最後の数学の授業でa+biの計算をやっているのが廊下の窓越しに見えました。「想像上の数」を意味するimaginary number の頭文字iをとった虚数1、まさにこの世に存在しない数です。高校の時にこの数に初めて触れた時のことを思い出しました。

そこで、今日、今年最後の掃除で校長室に来た機械科3年の生徒たちに、虚数についてのイメージや何のために複素数2を学ぶと思うか尋ねてみました。「実在しない数をなんで勉強するの?」とか「どうせ将来使わないでしょ?」といった回答を期待して、話を深めていきたかったからです。

しかし、うまく真意が伝わらなかったのか、それとも突然ヘンな話題を振られてドギマギしたのか分かりませんが、虚数がこの世に存在しない数だということを理解していた人は確かにいたものの、今ひとつパッとしない感じの回答でした。あまりしつこく聞くと、最近はやりのマスハラ(mathematical harassment :数学の証明を強要するなどして精神的な苦痛を与えること。たぶん)と言われかねませんので、クリスマスの楽しい話題3に変えました。

前任校で数学の初任者研修会が開催されたことがあります。研究授業後の合評会で、多くの先生方が「数学の良さや楽しさ、数学が日常生活でどのように役立つのかを実感させることを心がけています」と仰っていました。しかし、学力差が激しいとされる数学の実際の授業の中では、「虚数単位『i』は、2乗すると-1になるという独特の計算ルールがあるだけで、それ以外はa,b,cのような普通の文字と同じように計算をすればいいですよ・・・」と指導するのが精一杯で、その数学的意義まで実感できるように指導することは難しいのではないかと思います。

よく、「交流回路の計算で使われる」という話が紹介されますが、具体的に計算式を示すには、まず電気についての説明が必要になります。改めてこの数を高校数学で取り扱うことの難しさを感じたところでした。

 

私自身は、高校1年の時に初めて虚数に出会いました。どういうストーリーの中でこの数が出てきたのかはっきり覚えていませんが、多分「2次方程式は、解を持つ場合と持たない場合がある。この2次方程式は実数解を持たない。でも、『解なし』じゃ困る。どうしても解がほしい。という中で、無理矢理『2乗すると-1になる数』を考えて解いてみましょう・・・」といった流れで学んだはずです。「何なのそれは?」と反応したかどうかも今では思い出せません。当時は今ほど数字に関する感性はなかったのだと思います。


  数学史の本によると、虚数という言葉を初めて書物に書いたのは、「我思う、故に我あり」で有名なデカルト(15961650:フランスの哲学者・数学者)とされています。虚数が発見されてから数百年間は「詭弁(きべん)的な数字であり、実用性はない」「ただの想像上の数に過ぎない」と否定的に評価されていたそうです。ですが、オイラーの等式
4で有名なレオンハルト・オイラー(17071783:ロシアで活躍したスイス生まれの数学者・物理学者)が虚数のもつ重要性を解き明かした後、その評価は一変したようです。さらに研究が進むにつれ、その存在を仮定して計算に使ってみたら非常に便利であることが分かり、数学者の間で広く使われるようになったとありました。

ということで、数学者の方々にとっては非常に便利な数なんだそうです。でも、虚数が文字通り「虚(むな)しい数」にならないためにも、高校生の皆さん方にどのように有意義なのかということを示さなければならないとやはり思うのです。

そういう思いで、数学は何のために学ぶのかということをテーマにした様々な本に私自身目を通しているわけですが、ある本に次のようなとても興味深い記述があるのを見つけました。


  「東に3
im進むということは北に3m進むということ? ~ iをかけると90度回転 ~」というタイトルの下、ざっと次のようなことが書いてありました。

私たちは中学校の数学で負の数(マイナス)を導入することにより、「西に3m進む」ことを「東に-3m進む」と表現することができるようになりました。

では、北に進むことを東に進むことを使って表現できないものでしょうか。

今、横軸が実数部分、縦軸が虚数部分を表す「複素平面」と呼ばれる平面を考えてみましょう。その平面上で「4+2i」の表す座標と、「4+2i」にiをかけた (4+2i)×i =-2+4i 即ち「-2+4i」が表す座標を比べてみましょう。

iをかけた後の点Bは、iをかける前の点Aを「原点を中心に反時計回りに90度回転させた」座標にあることがお分かりだと思います。

・・・・・・略・・・・・・

そういうことで、虚数iを導入することにより、「北に3m進む」ことを「東に3im進む」と表現することができるようになります。

このような説明を虚数について初めて学んだ高校1年の時に受けていれば、幽霊みたいなこの数もきちんと居場所ができて、よりとっつきやすく楽しく学べたのではないかと思っています。

 前置きが随分長くなりました。それでは本題です。

「2017を振り返る」 第1話

3年生の皆さん、習ったばっかりの複素数の計算です。長い前置きもそのためのものだったわけですが、次の計算をしてみてください。


  (44+9
i)(449i)=【   】


  2017になれば正解です。

ちなみに掃除に来ていた生徒たちにもこの計算に挑戦してもらいました。6人全員ができてホッとしました。

2017は素数であり、素因数分解はできませんが、このように複素数の範囲まで拡張すれば「素元分解」ができます。ちなみに、和暦の平成29年も次のように

 29(5+2i)(52i)

分解できます。

今年は、西暦も和暦も素数で、6年ぶりのダブル素数ということで、年明け頃、素数ファンは大いに盛り上がっていましたが、「素数は素因数分解できないからつまんない・・・」なんていう声もチラホラ聞こえていました。しかし、4k+1型の素数はこのような形に分解できるのです。

このことについては、5月11日の徒然雑記帳でも既に紹介していますが、あえて複素数の計算を習った直後の皆さん方に、この式を計算してもらい、行く年2017を偲んで欲しいと思い、再び話題にしました。


「2017を振り返る」 第2話

 右の年賀状は、今年の初め、日本数学検定協会から前任校に届いていたものです。2017をテーマとした面白い作問です。当時の生徒たちとかなり盛り上った思い出があります。


 皆さん、答は分かりますか?


  「1つとって」と指示してありますが、それを無視してとりあえず全部の和を計算してみましょう。


  1++++++++

=1+8+27+64+125+216+343+512+729

2025 ・・・①

 総和を2017にしたいわけですから、

2025201782

よって、とり除くのは2です。


 簡単な問題ですが、これは足し算が全部で9項しかないのでこのように実際に計算しても手間はたいしてかかりませんが、項数が多くなると大変です。

 

そこで数列の和を求める公式の登場です。

シラバスによると、本校では数列は習っていないようですが、右のように代表的な3つの公式はそんなに難しい形をしていません。3乗和の公式(上から3つめの公式)を使えば、第9項目までの和ですから、nに9を代入して、①の2025は次のように一発で出ます。


  {(1/2)
×9×(9+1)}24522025

  

それでは皆様、Merry Christmas

【校長】


1,※2 この記事をお読みの中学生の皆さん方は、「虚数」とか「複素数」は初めて耳にする用語かもしれません。複素数は、皆さんが普段使っている「1」や「3」といった実数と「i」や「5i」といった虚数を組み合わせたもので、「-4+6i」や「512i」のように「〇+△i」で表すことができる数を指します。虚数が現実に存在しない数なので、虚数を含んでいる複素数も現実には存在しない数です。

3 思い出のクリスマスプレゼントを聞きました。朝起きたら、綺麗にラッピングされた算数の問題集が枕元に置いてあったと・・・某君が。驚きました。毒サンタですね。

4  オイラーの公式とは次の公式です。 ei xcos+ isinx 

実数の世界では全くの無関係のように思われていた指数関数と三角関数が、複素数の世界では親戚どころか兄弟であったことを意味する重要な式です。大学の工学部や理学部等に進学すると数学で学びます。今の段階ではこんな式があるんだ・・・という理解で十分です。

電気、電波そして物質を構成する電子なども含めて、自然界は波や振動で溢れています。この波や振動現象を調べるためには、三角関数が必要不可欠です。オイラーの公式は、三角関数と指数関数が、虚数・複素数を通じて表裏一体の関係にあることを示しており、この公式を使用すれば、波動・振動現象に関して明確な答えを出すことができます。ちなみに、eはネイピアの数と呼ばれ、e = 2.718281828・・・の値を持ちます。

多くの数学者がこの公式を「人類の至宝」「人類史に残る不朽の名作」となどと表現しています。ちなみに、2004年に第1回本屋大賞を受賞した小川洋子著の小説「博士の愛した数式」(映画化もされました。本校の図書館にあります)の中では、θ=πのときのe = 1、即ちe +1= 0という形で、博士が数学の中で最も美しい公式として愛していたという設定で登場します。

確かに、解析学・代数学・幾何学という異なる分野において定義された全く起源の異なる3つの数「e, i ,π」が、「1」と「0」という数学の基礎となる数とシンプルな1つの式で結び付けられており、式の意味はよく分からなくてもその美しさに感動します。

 

総アクセス数 874123 → 電卓のミステリー

今日はクラスマッチが行われました。3年生にとっては、高校生活最後のクラスマッチです。その思いがプレーに表れていたのか、懸命にボールを追いかける姿が印象的でした。

1,2年生は、今回のクラスマッチでさらに絆を強めた各学級の力を今後の授業や学校行事に生かし、さらに学年、学校全体の団結力へと高めてほしいと思います。


さて、いくつかの試合を応援後、校長室に戻り、HPを開いたら午前10時58分現在の総アクセス数が874123。

この数字って、何か見覚えがある数字だな・・・!?、何だったかな・・・??と考えていたら、思い出しました。

生徒の皆さんは分かりますか?

ヒントは、電卓で数字を入力するキー(テンキー)です。計算技術検定は勿論、専門の授業でいつもお世話になっている電卓ですが、その配列をさっと頭にイメージできますか?

  実は、874123とは、右の写真のように5を中心として8から反時計回りに回ったキーの配列です。

なぜこの数字に閃くものがあったかというと、テンキーの配列を使って面白い計算があったこと思いだしたからです。

私は教壇に立っていた頃、授業が早く終わって時間を持て余したときなど、電卓を出してごらんとか言いながら、次のように語りかけて計算をさせていました。


  電卓のキーは5を中心に8個の数字が正方形の四辺の形状に並んでいます。

これを左右どちら回りでも、どこから始めてもかまいません。

3桁ずつしりとり式に足し算してください。

答えは全部2220です。

123+369+987+741=2220

896+632+214+478=2220

412+236+698+874=2220

生徒「わぁ!」

では、辺の角の数(7、1、3、9)を3桁ずつ足し算してみましょう。

結果は2220です。

777+111+333+999=2220

生徒「え?」


  では、辺の真ん中の数(2、6、8、4)を3桁ずつ足し算してみましょう。

結果はやはり2220です。

222+666+888+444=2220

生徒「何で~?」


  じゃあ、対角線の3つの数字を3桁の数として、4つの数を足し算してみてください。どうでしょうか。またもや2220になりました。

159+357+951+753=2220

生徒「すげ!!」


  こういうこともしてみましょう。十字の3つの数字を3桁の数として、4つの数を足し算します。なんとこれも2220です。

258+654+852+456=2220

生徒「わ!」


  どうやら電卓のテンキーの配列には
ミステリーがあるみたいですね。

最後に、次の計算をしてみましょう。今度も始点、時計回り、反時計回りは問いませんので、5を中心にしてまわりの数を3つずつ数えていき、しりとり式で

(3つの数)(3つの数)(3つの数)(3つの数)

という式の中に数を入れてみてください。この計算すると今度は、必ず0になります。

874-412+236-698=0

147-789+963-321=0

生徒:「うそ!すげ!!」


  今、この記事をお読みの生徒の皆さんはこの
ミステリーを知っていましたか?ぜひ、電卓を片手に「ぐるっと一回り」・「角」・「辺の真ん中」・「対角線」・「十字」の足し算、そして(3つの数)(3つの数)(3つの数)(3つの数)を実際にして確かめてみてください。

できれば、式を紙に書いてこのミステリーに迫りましょう。これらの証明は中学生の皆さんでもできるはずです。

【校長】


 まず全ての足し算が2220になる理由です。紙に書いた計算をもとに、そのミステリーに迫ってみます。

略証

よ~く足し算の内容を見てみましょう。

集約すると

(1+3+7+9)×100+(2+4+6+8)×10+(1+3+7+9)

    と

(2+4+6+8)×100+(1+3+7+9)×10+(2+4+6+8)

の2パターンしかないことに気付くはずです。

で、(1+3+7+9)(2+4+6+8)も「=20」ですから、

結局、

20×100+20×10+20=20(100+10+1)=20×111=2220

となります。



 次に(3つの数)(3つの数)(3つの数)(3つの数)が0になる理由です。これも紙に書いた計算をもとに、その謎に迫りましょう。

略証

何でもいいですが、例えば 963-321+147-789 という数で考えてみましょう。

ここで注目するのは、百の位の数、十の位の数、そして一の位の数です。

百の位の数、十の位の数、一の位の数に注目して計算していくと、

900-300+100-7000

60-20+40-800

3-1+7-90

となり、それぞれの数を足すとどれも0になります。

では、412-236+698-874という数でもそれぞれの位に注目して確かめます。

400-200+600-8000

10-30+90-700

2-6+8-40

となり、やはりどの位の計算も0となります。

つまり、5を中心にして3つずつ数を選んでいき、

(3つの数)-(3つの数)+(3つの数)-(3つの数)

という式の中に入れると、百の位、十の位、一の位ともすべて0となる組み合わせに自動的になるのです。


  まだ納得できない!という方もいるかもしれません。では、もっときちんと証明してみます。計算は中学校の数学程度ですから中学生の皆さんもついてこれるはずです。

電卓のどこの数をxにしてもいいですが、例えば2xと置きます。そうすると、他のキーの数はそれぞれ右の写真に示すように表すことができます。

123-369+987-741を例にやってみます。

x-1を始点に3つずつ数を数えていくと、

{100(x-1)+10x+x+1}-{100(x+1)+10(x+4)+x+7}+

100(x+7)+10(x+6)+x+5-{100(x+5)+10(x+2)+(x-1)}

100x-100+10x+x+1-100x-100-10x-40-x-7+100x+700+10x+60+x+5-100x-500-10x-20-x+1

-100+x+1-100-40-x-7+700+60+x+5-500-20-x+1

-100+1-100-40-7+700+60+5-500-20+1

-200+700-500

0

となり、めでたく0になりました!


 

13kmと11kmで思い出した積分の悲しい計算

穏やかな日差しに恵まれた今日の長距離走大会、全校生徒544人のうち怪我や体調不良等で見学をした18人を除く526人が寒風を衝く力走で初冬の球磨路を駆け抜けました。途中で足をくじくなど2人がリタイヤしましたが、その他の生徒たちは全員が規定時間内(2時間)に走り抜くことができました。

懸命に走る姿は勿論、男女隔たることのないゴールでの声かけや拍手に何か温かいものを感じ、改めてクラスのまとまり、球磨工のまとまりみたいなものを実感できたいい大会だったと思います。

力強い走りでみんなを先導した男子1位の岩坂優志君【3C】(4326秒:299.3m/min)、女子1位の竹崎杏さん【2MA】(5144秒:212.6m/min)をはじめ、上位15人の皆さん方を表彰しました。誠におめでとうございます。

沿道周辺の皆様には、今年も大変御迷惑をおかけしましたが、終始温かいご声援をいただきありがとうございました。また、保護者の皆様には豚汁作り等で大変お世話になりました。

ところで、私は懸命に走る生徒たちを応援しながら、男子と女子が走る距離、13km11kmをそのまま繋げた1311という数字にも思いを巡らしていました。

1311もどちらも素数で、1311もぱっと見、素数です。でも各桁の和が6ですから3で割れます。割ってみました。1311=3437

えぇ! 437、またしても素数っぽい数字が登場しました。この数字に直面して、私はとても悲しかった記憶がまざまざと甦ってきました。


 それは・・・大学1年の時、必修科目の工業数学の試験のことです。積分
の計算問題がありました。確かインテグラル(∫)が2つ出てくる二重積分で、面積か何かを求める問題でした。ややっこしい分数と格闘の末、やっと答が出てきて、その計算結果、今でも覚えています。299/437

「分母も分子もパッと見素数、これは約分できないな・・・」と思って、何の疑いもなくそれを答えにしてしまいました。

ところが、試験後、友達とその問題について話をしていたら、それって約分ができると聞いたのです。


  皆さん方はどんな数で約分できると思いますか?


  分母も分子も何と23で割れるのです! 23で約分して、正解は13/19


  小中学校の頃から、分数は約分しないと0点と躾けられていましたし、高校の時も確率の問題で約分してないと
にする厳しい先生に習っていましたので、「あぁあ、あの問題は落としてしまった」と思い、「トホホ」と残念な気持ちで一杯になりました。

今はどうか知りませんが、当時大学では答案用紙の返却はなく、試験後に成績が優・良・可・不可で知らされるだけでした。結果的にはその工業数学、不可にはならず再履修はしなくてよかったのですが、大学の先生がどう採点されたのか、今更ながら思い出してしまったというわけです。

ちなみに、高校の数学でも確率や余弦定理でcosの値を求める問題で、答が分数になることが多いわけですが、約分していない時、どのように採点しているか興味津々で数学の某先生に聞いてみました。

「分数の計算問題ならだけど、確率の意味や余弦定理の計算の手順が合っているのなら○に近い△にはしている」ということでした。


  高校入試ではどうなんでしょう?こうした採点基準は公開できませんから、ここで触れるわけにはいきません。大学入試ではどうでしょう?高校の先生が約分無しをサービスで△にしたからといって、選抜試験を採点する大学の先生がそうしてくれる保証はありません。「落とす試験」では同点の点数が並んだとき、約分のような重箱の隅が減点の対象になりえるわけで、この記事を読んでくれている中学生を含む生徒の皆さん方は、やはり厳しく捉えていたほうがいいかもしれません。


  そういうことで、299/437みたいな一見とっつきにくい数をどう約分するかが問題です。2でも3でも5でも7でも割れません。111317・・・と順番に、分母も分子も割って行かなければなりません。時間がかかります。

今日は、約分する「秘策」について以下に簡単に触れておきます。


  知っている人は「そんなの前から知っていたよ・・・」と言うかもしれません。実は、私も当時知ってはいたのですが、それを試そうとしなかったこと自体が、試験の時の独特な雰囲気に飲まれていたのかもしれないと今でも思っています。

まず分母と分子の差をとります。

 分母-分子とか、分子-分母とかではなく、大きい方から小さい方を引きます。

437299138

実は、この差(138)の約数の中に、元の数(437299)の公約数が隠れているのです。

138を素因数分解します。このとき出てきた差(138)は、必ず元の数(437299)より分解しやすい数字になっています。

1382×3×23

元の数(437299)は2でも3でも割れませんから、公約数は「23」だということがわかります。

 その理由について説明(証明)すると、ややっこしいので省略しますが、この「秘策」だけは覚えておいて損はしないと思っています。

【校長】


積分とは

放課後、校内を回っていたら、2年生のあるクラスの黒板が消し忘れてあり、数学の授業の跡が残っていました。増減表を作って3次関数のグラフを描く単元を学習していたようです。ここは微分の応用だから、「もうすぐ積分を習うな・・・」と思ったところでした。

微分とは一言で言うと、「接線の傾き」です。増減表で+とか-とか記入したと思いますが、それは接線の傾きが+か-ということだったですよね。では、積分とは一言で言うと何なのか?

積分とは「微分の逆」です。ただ、こう考えると、計算はできても積分の本質を押さえることは難しいと思っています。積分には、もう一つ「±つきの面積を求めること」という捉え方があります。

どちらにしろ、2年生の皆さんはもうすぐ学びます。授業を楽しみにしていてください。

居待月の下でのねことの出会い

昨夜、11時過ぎ、明日の朝食の食パンが切れていたことに気づき、近くのコンビニに歩いている途中、生け垣から「にゃぁ~ん!」と声をかけられました。

ふと見れば、ねこが私を見つめています。

私、いぬからはよく吠えられ、日頃から残念に思っている分、ねこから親しみのある瞳で見つめられと、戸惑いつつも嬉しくなります。これはもう一緒に記念写真を撮らなければと、スマホをゴソゴソととり出していたら、広場に駆け込んでいきました。慌てて「待って・・・」と後を追いましたが、見失ってしまいました。

生徒の皆さんは、いつ、どんな所でねこに会いますか。

私、昼間もよく見受けますが、彼らは夜行性ですから夜が多いはずだと思っています。でも、昼と夜のどちらが多いかと、これまで気にかけたことはありませんでした。こうしてヤボ用か何かで出歩いて呼び止められない限り、気付かないものかもしれませんし、そもそも夜は眠っていて夢の中です。

ねこは、公園や神社などでナイトミーティング(ねこの夜会*1)をすると聞いたことがあります。昨夜は右側が少し欠けた居待月でした。月明かりの下、一体どんなことが議題にあがっていたのでしょうか?


 話は変わりますが、月といえばとても思い出すことがあります。まずは以下の表を眺めてみてください。

並んでいる数字は、新聞にも載っている国立天文台暦計算室のサイトから引用した熊本今月前半出入り時刻*2です。(「の」が4つ続いたヘンな文になってすいません)

明後日、12月10日の月の出の時刻が--:--になっています!

昔(月に関心を持ち始めた30代前半の頃)、新聞の暦欄でこの記号に気付き、「これは一体何?月が出ないってどういうこと??」と理科の先生に焦りながら尋ねたことがあります。生徒の皆さん方は疑問に思いませんか?

夜出てないはずの月が、お昼の12:29に沈むとはこれ如何に?*3

   年月日     月の出   月の入り   備考

2017/12/01   15:32    3:44    

2017/12/02   16:15    4:51   十三夜

2017/12/03   17:04    6:00   小望月

2017/12/04   17:59    7:10   満月(十五夜)

2017/12/05   18:59    8:17   十六夜

2017/12/06   20:03    9:20   立待月

2017/12/07   21:10    10:17   居待月(昨夜

2017/12/08   22:15    11:06   寝待月(臥待月)

2017/12/09   23:19    11:50   更待月

2017/12/10   --:--    12:29    

2017/12/11    0:20    13:04

2017/12/12    1:18    13:38   下弦の月(この頃)

2017/12/13    2:15    14:11

2017/12/14    3:12    14:44

2017/12/15    4:07     15:19   有明の月(この頃)

2017/12/16    5:01     15:56

2017/12/17    5:55     16:35

2017/12/18    6:48    17:18   新月

【校長】


*1 ねこの夜会について、ねこ研究家による次のような趣旨の学説を目にしたことがあります。

ねこの夜会では、お互いにある程度の距離を置き、丸くなって座りながら静かに進行します。時に他のねこに近寄られすぎて不安を感じた弱いねこが、低いうなり声で威嚇するなどの小競り合いはありますが、基本的にケンカに発展することはなく、集会が終わったら、また元の自分のテリトリーに帰ります。地域内のメンバーを確認するためだろうと思われます。


2 「備考」の欄は私が記入しました。十五夜から順番に積もっていますので、多分大丈夫だと思っていますが、間違っていたらごめんなさい。

なお、「この頃」というのは(確信はありませんが)、プラス・マイナス1日という意味です。

3  その時に理科の先生から受けた説明の概要です。(今回の表の数字に直しています)

その日に月の出がないというだけで、何ら不思議ではありません。

月は(地球からみると)約29.5日かけて地球の周りを一周しています。(実際の月の公転周期は約27.3日ですが、地球も月を連れて移動している関係で、地球から見て元の位置に戻ってくるまで約29.5日かかります)

その関係で月の出の時刻は一日ごとに約50分ずつ遅れます。おおざっぱには、約25時間ごとに月の出があると考えてもいいでしょう。9日の2319分に月が出たとすると、この時刻から25時間後は11日の0時19分(上の表では0時20分)となり、10日には月の出がないということになります。

前日の夜23時以降に月が出ている場合は当然、こういうことが起こるわけです。また、10日の12:29に沈む月は前日の23:19に出た月だということで、頭が相当堅くなっていることを実感した次第でした。


 

寒い朝でした

昨日から2年生のインターンシップが始まりました。

夕方、勤務を終えて部活のために学校に向かっている生徒数名とたまたま出会ったので、どうだったか聞いたところ、消防署様では集団規律訓練やAEDの操作実習などが、山下機構()様ではマイクロメータで製品を測定検査する実習があったと、充実感溢れる様子で報告してくれました。

事業所の皆様には、8日まで生徒の御指導で大変お世話になります。

ところで、昨夜、ニュースで「明日朝はこの冬一番の冷え込みになり、阿蘇や人吉地方では初雪も予想される」と報じていました。「そうなんだ!?」と思い、窓越しに外を見てみたら、雪こそ舞ってはいませんでしたが、十六夜の月が夜空を煌々と照らしていて、とてもいい感じでした。

今朝、官舎の台所の朝の温度は3.2℃。寒い一日のスタートです。通勤中に見た民家の屋根や道路脇の枯れ草は霜で真っ白でした。

それを写真に収めていたら、明治の大俳人・正岡子規が「初霜が降りたくらいで白菊が見えなくなるわけはない。嘘臭くてつまらない歌だ」と酷評した百人一首のあの歌が思い出されました。

心あてに 折らばや折らむ 初霜の

      おきまどはせる 白菊の花    

凡河内躬恒(おおしこうち の みつね)(29番)* 

 今朝も伝統建築部の生徒たちが白い息を吐きながら校舎の周りを走っていています。昔、顧問をしていた百人一首部の生徒たちは、練習メニューの一つとしてランニングをやっていましたが、文化系の部活でこういう鍛錬は珍しいといつも思っています。

14日の長距離走大会まであと1週間。日頃の練習の成果が発揮されるよう祈っています。

                                      【校長】



               

  【解釈】今朝は特別肌寒い。空気が刺すように冷たく、吐く息が白く濁る。手のひらに息を吹きかけてこすり
  ながら縁側へ出てみると、庭の可憐な白菊の上に鈍くも白い初霜が降りている。

   寒いわけだ、初霜とは。初霜も白いので、白菊の花を折ろうと思っても、どれが白菊だか分からない。あて 
  ずっぽうに折るしかないだろうな、初霜でまぎらわしくなっているから。白菊の花が。   
      《引用:
http://www.ogurasansou.co.jp/site/hyakunin/029.html