徒然雑記帖

五月ばかりなどに山里にありく

いつも本校のHPにお越しいただきありありがとうございます。

生徒の皆さん、連休後半をどのように過ごしましたか。

「部活三昧」と聞こえてきそうですが、1日位は休養日があったはずでは・・・?

  
さて、タイトルの「五月ばかりなどに山里にありく」とは、枕草子第223段の出だしです。毎年5月になると、なぜかこの一節を思い出してしまい「何と颯爽とした書き出しの筆だろう!」と、文言に誘われるかのように、野山を歩きたくなります。

ということで、私はこどもの日の5日、熊本市の金峰山中腹にある洞窟、霊巌洞1まで、徒歩で往復(16キロ位)してきました。晩年の5年間を熊本で過ごした宮本武蔵が、この洞窟にこもって兵法書「五輪書(ごりんしょ)」を著したことは、あまりにも有名です。

山麓に広がるみかん園は白い花が満開。目を下に落とすと、道沿いにはヨモギがびっしり生えていています。顔を近づけて、「これこそ野原の匂い!」と、その香りを楽しんでいたら、223段後半に「蓬の車に押しひしがれたりけるが、輪まはりたるに、近ううちかかりあるもをかし」2と続いていたことも思い出しました。多分、牛車の中にはヨモギの香りが漂っていたんだろうな・・・と。

そんなことを考えていたら、よもぎ餅を久しく口にしていないことを思い出し、どうしても食べたくなって、帰宅後近くのスーパーへ直行。

製菓・パンのコーナーに、最後の1パックが残っていました。某大手パンメーカー製のよもぎ餅大福5個パックで213円。北海道産の粒あん入りです。

そのお味は・・・?

餅の色こそヨモギ色でしたが、その香りはほとんどせず、「こんなものかな・・・」と少し残念でした。夕方のニュースでは温泉施設で「いい香り!」とか言いながら菖蒲湯につかる子どもたちの様子を報じていました。季節の匂いを楽しむ心のゆとりをいつまでも持ちたいものです。


  週の初めは大雨です。連休のせいか今週は少し長く感じるかもしれません。高校総体も近づいていますが、あと10日で中間考査。特に、1年生にとっては高校で初めての定期テストになります。ぜひ、計画を立てて学習を始めてください。



*1うっそうと茂る樹木におおわれ、神秘的な霊場として知られる雲巌禅寺(うんがんぜんじ)の裏山に所在します。洞窟内には岩戸観音(いわとかんのん)の名で呼ばれる観音像が安置されています。


*2【口語訳(意訳)】
車の車輪に踏まれた蓬が輪が回る時に、ふっと剥がれて車の御簾などに当たり、パシッと微かな音を立てて引っかかるのが趣(おもむき)がある。

 

【校長】