今日は古典の日
月がかわり今日から霜月。空の色のみならず、街の景色のなかにも冬めいた感じが一層漂っている感じがします。
写真は一昨日、多良木高校であった会議に行った際に目にした校庭の木々をパシャリしたものです。さすがは奥球磨、人吉市内より色づくのが早いように思いました。
ところで、11月1日は「古典の日」。源氏物語千年紀を記念して10年前の平成20年(2008年)11月1日に京都で宣言されました。何とその2年後の平成22年、国の法律でも制定されました。
「こういうことが法律になじむのか?」と思えるような興味深い法律です。法文を読んだことがある方はきっと少ないでしょうから、全文を引用して紹介します。
(目的)
第一条 この法律は、古典が、我が国の文化において重要な位置を占め、優れた価値を有していることに鑑み、古典の日を設けること等により、様々な場において、国民が古典に親しむことを促し、その心のよりどころとして古典を広く根づかせ、もって心豊かな国民生活及び文化的で活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「古典」とは、文学、音楽、美術、演劇、伝統芸能、演芸、生活文化その他の文化芸術、学術又は思想の分野における古来の文化的所産であって、我が国において創造され、又は継承され、国民に多くの恵沢をもたらすものとして、優れた価値を有すると認められるに至ったものをいう。
(古典の日)
第三条 国民の間に広く古典についての関心と理解を深めるようにするため、古典の日を設ける。
2 古典の日は、十一月一日とする。
3 国及び地方公共団体は、古典の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよ う努めるものとする。
4 国及び地方公共団体は、前項に規定するもののほか、家庭、学校、職場、地域その他の様々な場において、国民が古典に親しむことができるよう、古典に関する学習及び古典を活用した教育の機会の整備、古典に関する調査研究の推進及びその成果の普及その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
6年前、「古典の日」が法律で制定された時、マスコミでも大きく取り上げられました。当時、「えっ!何でまた法律で・・・?」と、私自身はかなり複雑な思いで受け止めたことを思い出します。
というのも、そもそも「古典の日」が京都で宣言された発端が、源氏物語の執筆千年を記念したものだったので、この法律でいう「古典」とはいわゆる国語で習う(文学の)古典とばかり思い込んでしまったからです。高校のとき、「ラ行変格活用」などでアトピーが出るほど苦しんだ古語文法を思い出し、「国は何と嫌な日を作ってくれたんだ!?」と思ってしまったわけです。
それから数年後、どういういきさつだったか忘れましたが、条文に目を通す機会がありました。第二条の「古典」の定義によると、文学だけでなく音楽や美術、演劇・・・と様々であり、「なんだ、そういうことだったんだ・・・(安堵)」と思った次第でした。
定義の後段には、「学術」や「思想」という言葉も出てきます。その視点から考えを巡らせてみると、今皆さん方が少なくとも普通教科で習っていることのほとんど、数学のサイン・コサインにしろ、理科のアボガドロ数にしろ、現社で学ぶベンサムの功利主義にしろ・・・、人類の叡智(えいち)の結晶であり、まさに古典といってもいいですよね。
私、そういうことも踏まえて、入学式の式辞に「古典」のことも触れることにし、毎年次のように話をしています。抜き出しておきますので、文中の「いにしえの賢人の思想」に着目しながら入学式の日を思い出してください。「そんな話、聞いたかな・・・」と思う人がいるかも?
・・・(前略)・・・第四次産業革命が社会や生活を大きく変えようとしている今、知識を得ることは勿論ですが、将来の技術者・技能者として数学的・論理的なものの見方や考え方をしっかり身に付けることは必要不可欠です。さらに、異文化やいにしえの賢人の思想に触れることで、自分の心の幅を広げ、それらを基に自分自身の頭で考え、判断し、実行する力も求められます。その意味で、中学までの教師や親から言われてする勉強から脱却し、知的好奇心を持って自ら学ぶ力を身に付けなければなりません。三綱領の中にある好学とはまさにそのような姿勢です。・・・(後略)・・・
話を大きく変えます。古典の日である今日11月1日に思いを込めて、朝一番(7時25分)にHPを開けた時の総アクセス数である1209199に加減乗除等の記号を入れて、日にちの数字の並びである111を作ってみます。
(120-9)×1(9-9)=111 → 11月1日
あっという間に式ができて拍子抜けです。生徒の皆さんだったらどんな式を作りますか?
【校長】
【注】 中学生の皆さんへ
102=10×10=100 とか 23=2×2×2=8 は御存じのとおりです。高校の数学では、もっとすごいものが出てきます。上に小さく書く数字を「指数」と呼びますが、この指数が0やマイナスのものが出てくるのです。
例えば、50とか、2-2という形のものです。
「0乗ってナニ?」「-2乗って・・・!?」
初めて見る人は、そう思うかもしれません。
それから、なんとこの指数、整数にとどまらず、有理数(二つの整数 a, b (ただしbは0 でない)をもちいて a/b という分数で表せる数)になることもあります。
64(2/3) とかです。3分の2乗とか、もう本当にすごい世界です。このように数の世界が広がることを「指数の拡張」と言うことがあります。
ちなみに、50は1、2-2は0.25、64(2/3)は16になります。
「・・・何で(?_?)」というのが実感かもしれませんが、高校の数学をお楽しみに。
ということで、今日の式の指数にあった(9-9)は0であり、1の0乗は1であることに注意しながら味わってください。
このように、どんな数も0乗すると1になります。今はそう覚えておいてください。勿論、高校ではなぜ0乗が1になるのか説明できるようになるはずです。
最後に・・・、今、「どんな数も・・・」と書きましたが、00(0の0乗)については、「0に0をかけると0だが、0の0乗は1である。果たして??」といった議論になることがあります。このことを理解するためには、高校の数学も越える高度な数学の素養が必要かもしれません。
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