徒然雑記帖

月やあらぬ

 

 今朝、1年生は5時頃から次々に登校、5時30分から凜とした中、修学旅行の出発式を行いました。

 インフルエンザ等での不参加者もなく、197人全員が6時5分、無事出発しました。

 

 

 保護者の皆さまには早朝からの送迎、大変お世話になりました。事故・怪我なく旅程が進み、楽しい思い出を沢山作ってきてほしいと願っています。

 

 

 話は変わりますが、官舎から本校までの通勤路の脇の民家の庭先に梅の木があり、3分咲き位でしょうか、清楚な花が咲いています。

 「梅に鶯」連想で、その梅の木にウグイスが来て「ホ~ホケキョ♪」と鳴いている写真を撮ろうと昨日10分ほど待ってみましたが、とうとう来ませんでした。写真部の生徒たちが校内で「一瞬」を狙っている姿を時々目にし、その粘り強さに頭が下がります。私は早々引きあげました。

 

 鳥のことを解説したあるサイトに、「梅の木に止まっている鳥はメジロの可能性が非常に高い。ウグイスとメジロは姿が似ているのと、メジロはウグイスの鳴き声と同じタイミングで梅の木に止まるため、ウグイスと勘違いする人が大変多い・・・」とかありました。私、メジロとウグイスの見分けはつきません。もし写真が撮れていたら、あわや梅の木に止まるメジロの写真を誤ってHPに載せるところだったかもしれません。冷や汗ものです。

 

 梅の花について誰かと話すと、意外なことに桜より梅の花のほうが好きだという人が多いように思います。桜の花の儚さの美しさに対して、梅の花は何かしら力強さを感じます。その香りにも魅せられている私は、今年楽しみにしていることがあります。人吉市大畑(おこば)町の「人吉梅林」を訪ねることです。市のHPによると「白加賀(しらかが)や青軸(あおじく)を中心に、鶯宿(おうしゅく)など白桃系統も合わせた約4,600本の梅の花が咲き誇ります。周辺一帯は梅の香りに包まれ、白やピンク色の花が広大な斜面を彩る優美な世界に・・・」とありました。ずっと前から一度行ってみたい・・・と思っていました。せっかく縁あって人吉で勤務しているのに、昨年は都合で行けなかったので今年こそ。催事も行われる2月24日(日)が待ち遠しいです。できれば、昨年9月に大畑駅に開業したフレンチレストランにも足を運んでみたいです。

 

 最後に・・・、梅ときたら私にとっては「鶯」じゃなくて、「月やあらぬ」が条件反射です。

 恋人を失った男が、去年の春にその恋人とともに過ごした、もう住む人のいない家を訪れて詠んだ在原業平のこの和歌、切なすぎます。

 

 月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは 元の身にして

 

 あなたと共に見上げたあの月も、あなたと一緒に芳しい梅の香りを楽しんだ春も、そしてあなたまでもお隠れになり、私の周りのものは何もかも変わってしまった気がする。私だけは元とのままで変わらないのに・・・と、世の無常と手が届かない所に行ってしまった恋人に思いを馳せ嘆いている歌だと高校の時に教わりました。

 

 伊勢物語の4段の悲恋をもとにしたラブストーリー、我が家の本立てにもそのコミック本があります。

 間もなく別れの季節、3月がやってきます。

                               【校長】