徒然雑記帖

総アクセス数 842248 → この数字の魅力

いよいよ明日から期末考査。生徒の皆さん、試験勉強のほうは順調ですか?

テスト勉強で目が疲れたら、上弦の月を眺めてみましょう。今日の熊本の月の出は13時9分、入りは24時43分(翌28日の0時43分)、月齢8.6です。

さて、昨日13時8分現在のHPの総アクセス数は
842248でした。この数字、ちょっと面白いと思いませんか?右から読んでも左から読んでも同じ数という意味で。このような数字を「回文数字」といい、趣味の数学の分野でしばしば研究の対象になっています。


  現在、総アクセス数は、日々80万台を刻んでいますが、80万代(800000899999)にある10万個の数字の中に、
842248のような回文数字は一体いくつあると思いますか?

一番小さな数は800008、次は810018、その次は811118、・・(途中略)・・、一番大きな数は899998です。


  8●▲▲●8というふうに記号で置き換えると考えやすいかもしれません。5桁目の●には0~9の10通りがあり、そのそれぞれについて4桁目の▲にも0~9の10通りがあります。3桁目の▲と2桁目の●は、それぞれ4桁目と5桁目と連動しますので考慮する必要はないので、10
10の丁度100個あることになります。

従って、回文数字に遭遇する確率は、100/100000 1/1000 になります。本校のHPは、現在1日当たり約1200件のアクセスをいただいていますので、1日に1回以上回文数字が出現していることになります。

そう考えると、回文数字もとりたてて珍しいことではないわけですが、私、どういうわけかこの842248という数字には妙に惹かれるものがあります。


  上3桁の842は、高校の頃日本史少年だった私は、今でも覚えている年号の一つです。平安時代には、藤原氏が摂関政治を盤石にする過程で権謀術数の限りを尽くした他氏排斥の政変(クーデター)が多く起こっています。(薬子の変、承和の変、応手門の変、安和の変)

この中で、842年に起こった承和の変では、伴健岑(とものこわみね)と橘逸勢(たちばなのはやなり)が失脚しました。本校では、「地歴」は地理Aを開講し日本史を学習してないので、知っている人は少ないかもしれませんが、この842という数字は、私達の頃のほぼ全ての小学生が「645年=大化の改新」と反応できるのと同じ位、高校日本史の選択者にとっては有名な年号のはずです。

下3桁の248は、IT関連で頻出する256(1byte8bitsで表現できるデータの数は256種類)ほどのインパクトはありませんが、2の累乗に数字が並び、末広がりですし、何となくホップ・ステップ・ジャンプのような勢いが感じられて、なかなかいい数字だと思っています。ちなみに、本校生の5人に2人が日々利用している「くまがわ鉄道」の営業距離数は24.8kmです。


  話は変わりますが、回文即ち「竹藪焼けた(たけやぶやけた)」のように、始めから読んだ場合と逆から読んだ場合とで、音節の出現する順番が変わらず、しかも言語として意味が通る文字列には、「トマト」や「新聞紙」などの他にどのようなものを御存知ですか。

私は、「タイヤキ焼いた」「留守に何する」「磨かぬ鏡」「カツラが落下」など昔聞いたことがあるのを幾つか思い出します。でも何といっても、中学校のとき南奈美さんという回文で名付けられた同級生がいたことは鮮烈な思い出です。

ちなみに、回文関係のサイトを検索すると「世の中ね、顔かお金かなのよ(よのなかねかおかおかねかなのよ)」など、よくこんなのを作れるなと感心するほど秀逸な力作が溢れていますし、回文で作った俳句を集めたサイト、ローマ字表記日本語の回文(東京の地名の「あかさか」は回文ではないが、akasakaのように、ローマ字表記にすると回文になる)を集めたサイトがあることなども知り、言葉遊びの奥深さを感じました。


  最後に・・・、英語では「Madam, I'm Adam」(マダム、私はアダムです)のような例が知られていますわけですが、人類は一体いつ頃からこういう知的言葉遊びをしていたんだろうと思って調べてみました。ウィキペディアによると・・・、

「西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火によって滅亡したヘルクラネウムの街の遺跡に「Sator Arepo Tenet Opera Rotas」(意味:農夫のアレポ氏は馬鋤きを曳いて仕事をする)というラテン語による回文が刻まれていることから、回文の起源は少なくとも西暦79年またはそれ以前まで遡ることができる」

とあり「そんなに昔から・・・!?」と、大変驚きました。

【校長】



   ※
参考(回文数に関する話題をいくつか紹介します)

「任意の数字について、この数字を逆に並べた数をもとの数に足す。この操作を繰り返すといずれは回文数に到達する」って聞いたことありますか?

例えば、私の名前のオノマトペである24という数字で試してみます。

24+42=66(一発でなりました!)

今日は1127日です。1127で試してみます。

1127+7211=8338(これも一発でなりました!)

今、校長室の湿度は59%です。59で試してみます。

59+95=154154+451=605605+506=1111(3回で到達しました)

皆さんも他の数で試してください。

ちなみに89は、24回の繰り返し計算で8813200023188という13桁の回文数に到達します!(私の手元の電卓は12桁までですから、最後は筆算で計算しました)

このように、2桁の数は全部なります。大阪経済大学の西山先生の論文によると、「3桁の数も次の13個(196, 295, 394, 493, 592, 689, 691,788, 790, 879, 887, 978, 986)を除いてこの操作で回文数に到達することが分かっている」とありました。

なぜこれら13個の数字がならないのか・・・、最初の数196にちなみ、「196問題」と名付けられ、コンピュータまで動員されて研究されているそうです。実は、この196、回文数になるのかならないのかもわかっていないんだそうで、それを証明することが数学界では「古くて新しい問題」とされているようです。

回文数に関しては1995年(平成7年)の算数オリンピックの次のような問題が出題されたことがあります

6桁の回文数で、95で割り切れ、割った答えも回文数となるものを求めよ。

計算は小学生程度ですみますが、かなりの論理的な思考力が必要かもしれません。興味のある方はやってみてください。

こんなこともありました!2年前の2015年(平成27年)は、西暦と和暦を2進法で表すと、どちらも回文数になるということで話題になりました。

2015(=11111011111)、27(=11011

では、その次と前はいつなんだろうと、当時考えてみたことがあります。

 西暦も和暦も両方ということなら、ありえない話になりますが、次は西暦2313年(平成325年)です。

2313(=100100001001)、325(=101000101

ちなみに、前は、江戸時代の西暦1787年(天明7年)です。

1787(=11011111011)、7(=111

回文数ではありませんが、12×42=24×21 こういう数式は、回文数式と言われています。142382×567765×283241 なども有名です。

また、101131のように回文数になっている素数は回文素数と呼ばれており、好事家が色々研究しているようです。


  (先ほど紹介した算数オリンピックの問題の答は527725で、実際に95で割ってみると5555となり、商も回文数になっています)