徒然雑記帖

紫式部ってやっぱり凄い女性?!

 

 朝からうっすらと雪化粧した大変寒い日、学年末考査の最終日でした。考査が無事に終わり、運動場や体育館からはまた大きな声が戻ってきました。

 

 放課後、校内を回ってみました。

 溶接部ロボット班の部室の黒板に、ずっと消されることなく残っているメモらしき記載があります。「黒、白、ねずみ、紫、青・・・、これは一体何を意味するんだろう?」と、ずっと気になっていました。

 

 青には「高低速切替」とか書いてありますので、抵抗のカラーコードではなさそうです。

 今日は、意を決して、顧問の先生に伺いました。ロボットの動きを制御する各機器とスイッチボックスを繋ぐ多色フラットケーブル(右写真)の色分けのメモなんだそうです。

 

 抵抗のカラーコードで思い出しました。突然ですが、皆さんは、紫式部と聞いたらどういう反応をするのでしょうか。

 「源氏物語」を書いた平安時代の女性、ということを中学校の国語や社会で習ったはずですが、そのことを思い出しますか?

 工業に学ぶ皆さん方のことです。紫式部→「むらさきしちぶ」のゴロ合わせが条件反射の「7」と反応するのが普通かもしれません。

 

 紫式部が7って一体何?

 ひょっとしたら建築科や建設工学科の皆さんには何のことか分からないかもしれません。ただ、中学校の技術家庭科の電子工作で抵抗のカラーコードを習っていたら別です。以下に補足しますので、興味があったら読んでください。

 

 抵抗(電気抵抗器)とは、回路に流れる電流値を制限するための電子部品です。電気・電子回路で利用する抵抗には「炭素皮膜抵抗」がよく用いられます。

抵抗は「抵抗器」が正式名称で、回路図などではResistorの頭文字をとって「R」と表される場合が多いです。

 抵抗にはさまざま抵抗値があり、テスターでも測定可能ですが、炭素被膜抵抗器には外表面にカラーコードが着色されていて、抵抗値が一目でわかるようになっています。色に割り当てられた数字は次のとおりです。

黒:0、茶:1、赤:2、橙:3、黄:4、緑:5、青:6、紫:7、灰:8、白:9

 

 

  例えば、右図のような4本線式の抵抗器があった場合、次のように読み取ります。

1本目:1桁目(十の位)黄→4

2本目:2桁目(一の位)7

3本目:乗数(10のX乗)黒→0 10=1

4本目:誤差精度(金色:±5%、銀色:±10%)

 従って、47×10=47×1=47オーム

 

 ここで各色のゴロあわせによる覚え方は次のとおりです。

黒: 0 黒い礼服

茶: 1 一茶(小林一茶) 「お茶を一杯」という覚え方も

赤: 2 赤いニンジン

橙: 3 第三の男、「だいだい色のみかん」という覚え方も

黄: 4 岸恵子(若い人は知らないかもしれないけど?有名な女優さん)

緑: 5 ミドリゴ (嬰児のこと)

青: 6 青二才のろくでなし

紫: 7 むらさきしちぶ(紫式部)

灰: 8 ハイヤー

白: 9 ホワイトクリスマス

 

 話は大きく変わりますが、紫式部には、ほろ苦い思い出があります。私は、前任校に勤めていたとき世界最古の長編恋愛小説「源氏物語」に魅せられて、かなりのめり込んでいた時期がありました。そして、何を隠そう『勝手に源氏物語検定』と称して、全国の同好の士を相手にネット上の検定を主催しようという壮大な計画を立てて、検定問題(4択)をせっせせっせと作っていました。

 作問は全く苦労しません。強引に関係を持つことに長けている主人公の光源氏だけでも、その恋愛嗜好は実にバラエティ豊かです。不倫、略奪愛、ロリコン、男色、熟女愛など何でもありです。しかし、問題を150問位作ったころでしょうか、当然のように行き詰まってしまいました。

 

 古典の文法に関する知識や理解が全然ないので、原文を読んだことは全くありません。漫画をはじめ、色々な作家や予備校の先生たちの現代語訳を読んで得た知識のみが頼りの作問です。原文を読んだことさえない者がそんなことをするのは、やっぱり罰当たり、無謀過ぎると気付いたのです。

 それ以来、源氏物語は封印していたわけですが、退職直前になってあることを確かめてみようという思いが湧き上がってきました。

 

 本校のホームページの「校長室より」に3年間でアップしたブログの総文字数と源氏物語の総文字数とではどちらが多いのか確かめたいということです。

 

 当時、入門程度(3級)に次のような問題も作っていたはずです。生徒の皆さんは知っていますか?

 

 Q 源氏物語の総文字数はどのくらいですか。

 A  ①約200万字 ②約150万字 ③約100万字 ④約50万字

 

 答は、③の約100万文字です。

 

 源氏物語は、一般的には夫藤原宣孝(ふじわら の のぶたか)が没した半年後に書き始められたと言われています。宣孝が亡くなったのが1001年と記録されていますので、源氏物語の執筆開始は1001年~1002年頃になります。完成したのは1008年頃(2008年が源氏物語の源氏物語千年紀に当たるとして、様々な催しものがあり、11月1日が「古典の日」と定められたことを思い出します)とされていますので、7年位で書き上げたことになります。

 源氏物語の文字数は、400字詰めの原稿用紙で2,400枚位なので、執筆から完成までの約7年(2,555日)で平均すると、だいたい1日に原稿用紙1枚弱位のペースで書いていた計算になります。あくまで平均です。沢山書いたり、全く書かなったりした日もあったはずです。

 

 では、私の3年間のブログの総文字数はというと、この記事も2,470文字(原稿用紙約6枚)ですから結構な文字数になりそうな気がします。

 これまでの全ての記事をワードに張り付けて、ワクワクしながら総合計を電卓で求めてみました。

 3年間でこの記事まで含めて全部で157本アップしていることが分かりました。気になる文字数の総合計は・・・

 307,197文字(原稿用紙約768枚位)でした。

 3年間、自分としても結構書いていたように思いますが、彼女の3分の1にも及ばなかったことを知りました。

 別に張り合おうとか、そんなことは思ってもいませんでしたが、「やっぱり紫式部という人は凄い女性だな・・・」、それが今の正直な感想です。

【校長】