徒然雑記帖

drive a nail とは?

 昨日、崇城大学で開催された平成29年度熊本県工業高等学校生徒研究発表大会で、本校機械科が発表した「世紀を越えて・・・~『一打入魂』和釘製作への“熱き”取り組み」が審査員特別賞(熊本大学工学部長賞)を受賞しました。

熱く”御指導いただいた石川先生に、発表した7人の生徒たちがよく応えた賜であると思いました。私も発表練習に5回も“熱く”お声をかけていただき、アドバイス求められるなど随分関わりましたので、受賞をとても嬉しく思っています。

正直、私が「和釘」の存在を知ったのは40歳を過ぎてからです。発表の中でも紹介されていましたが、法隆寺や薬師寺などの飛鳥時代の木造建築物が遥か1300年経った今でもきちんと立ち続けている秘密の一つに、和釘があるというのをテレビで見たのがきっかけでした。

また、本校機械科が鍛造の授業で製作した和釘を「くま川下り株式会社」に長年に渡って贈呈していることは新聞等で知っていましたが、和釘が洋釘に押されて絶滅の危機にあることや、頭部の形状が色々あることなどは、今回の研究成果に触れて初めて知りました。

地味な研究テーマであり、しかも多分、多くの高校生にとっても和釘はあまりなじみがないはずだと思われます。従って、どのように興味を引き出しながら、和釘の何たるかを伝えるか、そこに焦点を置いてプレゼンをするようにアドバイスをしたつもりです。


 学校からは堀事務長も午後1番からの発表に間に合うように大学に駆けつけられ、科主任の藤崎先生、担任の城本・大森両先生も含めて皆で固唾を飲みながら見守りました。

生徒たちは、大きな声で抑揚をしっかりつけながら堂々と発表できたので、全体の発表が終わった段階で「何か賞は取れるのでは・・・?」と予測していましが、見事に「熊本大学工学部長賞」を受賞しました。生徒の皆様、本当におめでとうございます。


 話は変わりますが、私は釘と聞けば鮮烈に思い出すことがあります。その様子をあえて英語で表現してみました。


   You can
drive a nail with a banana.
 

"drive a nail"とは、「釘を打つ」という慣用的な言い回しで、「バナナで釘が打てる」という意味になります。


 もう何のことかお分かりと思います。薔薇の花も砕けてしまうマイナス40℃の世界でもモービル社の自動車オイルはサラサラだということを強調するために、マイナス40℃の環境下で、バナナで釘を打っている様子のテレビCMが昔ありました。衝撃的なシーンで見覚えがある人もきっと多いはずです。

いらないことを書きましたが、とにかく関係の皆様、おめでとうございました。

【校長】


driveには動詞として「(乗り物を)運転する」とか「駆動する」といったよく知られた意味の他に、(釘などを)「叩き込む」という意味があります。普通には「打つ」はhitが思い付きますので、"hit a nail" でも良さそうな感じがしますが、工業校長会が実施している工業英語に関するリスニング英語検定でも"drive a nail"で作問されているようですので、"drive a nail"のほうが言い回し(コロケーション)として普通なのかもしれません。

ただ、辞書には、hitnailを使った慣用句として、"hit the nail on the head"というのが載っています。うまく釘の頭を打ったということで、「まさにその通り」や「(あなたの言ったことは)核心をついている」といった意味なんだそうです。確かに釘をきちんと打つには、それなりに精神を統一して釘の頭を狙ってハンマーを振り下ろさないと、曲がって入ってしまいます。これはアメリカ人が好んで使う熟語と聞いたことがありますので、覚えておくといいでしょう。


 ついでに・・・、弓道部の人は、「正鵠(せいこく)を射(い)る」(正鵠=弓の的の中央)という言葉を日頃から耳にしているはずです。そこから、「核心をつく」という文脈で使われます。"hit the nail on the head"と同じ意味だと思いますが、釘の頭をうまく打つより、「正鵠」を狙うほうがはるかに難しいというのが弓道をしている人の実感かもしれません。