徒然雑記帖

「ノー レイン ノー レインボーって・・・」

 

 昨日、始業式に引き続き行われた頭髪服装検査が終わって校長室に帰るとき、多くの生徒たちと一緒になりました。前を歩く生徒たちが(私に気付いていないのか?)今年度のテーマ「飛躍」に添えたサブテーマの“No rain, no rainbow. ”についてさっそく話をしていました。別に聞き耳を立てたわけではありませんのでよく聞き取れませんでしたが、ポジティブな感想を述べあっているようで嬉しく思いました。

 

 ひょっとして英語の授業でもう習った人たちがいるかもしれません。私が高校生だった頃、「・・・すればするほど、ますます~だ」という意味の《The + 比較級 …, the + 比較級~》の構文を初めて習ったときのことです。

英文で「…」や「~」の部分が省略された“The sooner, the better.”と先生が板書され、「訳してみろ!」とおっしゃったのを鮮明に覚えています。

 

 正解は、「早ければ早いほどよい」「早いにこしたことはない」です。今になって思えば、大げさかもしれませんが「心の琴線にふれる」とはこういうことを言うのかと考えるほど、面白い表現だと思いました。そして、先生の「これはわずか4語からなる英語で一番短い諺(ことわざ)だ!」という解説も当時の私は全く疑問を抱くことはなく、脳裏に刻み込まれました。

 

 それから何年経ってからでしょうか?多分20~30代の頃だったと思います。サブテーマに定めた“No rain, no rainbow. ”という含蓄ありすぎる諺に出会いました。

 直訳は『雨がなければ、虹はない』ですが、勿論、雨は『試練』、虹は『夢』や『希望』の象徴です。頑張らなければ結果は出ない、目的を遂げる前には苦しまないといけないなど、色々と解釈できることも知り、その奥の深さも含めていっぺんに好きな諺になりました。

 と同時に、やり切れない複雑な思いで一杯にもなりました。というのも、私、英語の先生の言ったことを間に受けて、一番短い英語の諺は唯一“The sooner, the better.”とばかり信じ切っていたので、他にもあることを知って驚いたというか、了見が狭いままその歳まで生きてきたことをとても不甲斐なく思ったからです。「唯一」とか「絶対」、「一番」などという形容詞は、万人が話し常に揺れ動く言語の世界ではあり得ないということを悟ったところでした。色々調べてみたらわずか4語の諺、結構ありました。今、ぱっと思いつくだけでも次のようなものがあります。

 

 Easy come, easy go.

 直訳は「簡単に手に入るものは、簡単に出て行ってしまう」、つまり「得やすいものは失いやすい」という意味ですから、日本の諺でいう「悪銭身につかず」が近いでしょうか?

 

 Tomorrow is another day.

 「明日は別の日なんだ」、そうポジティブに諭しているように思います。「明日は明日の風が吹く」のように楽観的に訳すといいかもしれません。

 

 Better late than never.

 「遅くなってもやらないよりはましだ」と訳すことが多いようですが、待ち合わせの時間に遅れて来た場面で「遅れても来ないよりはましだ」という意味で使われているのを見たことがあります。

 

 諺、名言、格言は長い時代を経て受け継がれてきた貴重な人生訓です。特に、英語の諺は日本語の諺にない文化的背景が感じられたり、口ずさみたくなるような語感があったりと、含蓄が深いように思います。就職試験にも出題されているのを見たことがあります!

 “No rain, no rainbow. ”に出会ったのをきっかけに、皆さんもお気に入りの英語の諺を見つけて座右の銘にしてみてはいかがでしょうか。

【校長】