徒然雑記帖

徒然雑記帖

明日から期末テスト

いつも本校のHPにお越しいただきありありがとうございます。

また月曜日が始まりました。梅雨の中休みでしょうか、朝から青空が広がって気持ちがいい一日です。

 

先ほど校内を回った時は、明日から期末考査ということで考査前の最終確認や試験勉強をする授業を多く見受けました。

今日は私たち教職員の完全定時退勤日に合わせて、生徒の皆さんたちも部活動がない日になります。さっさと下校して、ラケットやバットを鉛筆に持ち替えて、しっかり勉強に励んでください。

勉強に疲れたら夜空を見上げてみてみるといいかもしれません。左側がちょっと欠けた大きな月がぽっかりと浮かんでいることでしょう。淡い月の光が目を優しく癒やしてくれるはずです。満月は3日後の6月28日(木)です。

 

ところで、「最近アクセス数を話材にした記事が最近出ていませんね」と、私自身も気にしていたことについて、何人かの先生方から声をかけていただいています。

今年、4月6日に6桁から7桁へと1桁あがり100万台になりました。100万に達した後は(およそ1週間後に110万になりそうではありますが)、なかなか興味をひく数字が出現しなかったことによるものです。

 

本日6月25日16時25分現在の総アクセス件数は、1095470 です。正直、食指が動く数字ではありませんが、久々にやってみます。(数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れて、今日の日付である625を作ってみます)

 

1095-470=625 → 6月25日

 

あっという間に立式できましたが、全く面白みがありません。もう一ひねりしてみます。

 

(1+0!)+5!-4-[√7]―0!=625 → 6月25日

 

【注】 中学生の皆さんへ !は「階乗」または「ファクトリアル」と読み、詳しいことは高校の数学で学習します。ここにある5!なら、5×4×3×2×1を計算して120になります。このようにn!なら、n×(-1)×…×3×2×1の自然数の積を計算します。そして、0!(ゼロの階乗)は1です。これは約束(決め事)ですから、「どうしてそうなるの?」とか考えたらいけません。

 

    この式にはもう一つ見慣れない記号([  ])があります。これはガウス記号と呼ばれ、その数を超えない最大の整数を表す記号です。私の記事では初めて登場する数学の記号になりますが、そんなに難しくはありません。例えば[.14]=3になりますし、[-0.23]=-1となります。

従って、上の式では√7≒2.645・・・ですから、[√7]=2です。

 

数学の先生に聞いたところ、ガウス記号は教科書に載っていないので、本校では扱ってないそうですが、教科書に載っていなくても『実数xを超えない最大の整数を[x]と表すこととする』という注意書きを問題文に明示したうえで、大学入試には出題されていますので注意が必要です。就職試験でも前述の [-0.23] =? 程度の問題でしたが、出題されていたのを受検報告書で見た覚えがあります。

ちなみにガウスは、19世紀のドイツの超天才数学者・物理学者です。彼の業績は極めて多岐に渡り、数学や電磁気などの物理学で彼の名を冠した定理や法則が多数存在するんだそうです。

 

 

話は大きく変わって、朝のテレビで言っていたことになります。本日、6月25日は、1960年(昭和35年)の今日、自動車による交通が発達し、道路における危険の防止と交通の安全と円滑、道路交通による障害の防止を目的とした「道路交通法」が施行された日なんだそうです。

 

道路交通法と聞いて、私たち教職員がいつも気をつけておかなければならないことは、「第65条第1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」だと強く思っています。

 

* 法律解説書の注釈には、「何人」というのは、運転免許を受けている人にかかわらず、全ての人が対象で、車両等とは、自動車はもちろん、電車や軽車両等(自転車等)までを含むとありました。

 

先月、熊本市で自転車に乗って登校していた高校3年生の女子生徒が酒気帯び運転の人が運転するワゴン車にはねられて死亡するという大変痛ましい事故がありました。どんなに気をつけていても飲酒運転のクルマに巻き込まれたらどうしようもなく、この報に接して大きな無力感を感じました。

生徒の皆さんたちも、もうすぐクルマの運転免許証を手にするはずです。お互いに良き交通社会人でありたいものです。

【校長】

サイン・コサイン何になる・・・♪

公開授業週間の今週、2年生の各教室では、数学で三角関数の加法定理をやっています。「ここって苦労する所なんだよな・・・」と、自分自身も三角関数に手を焼いていた高校時代を思い出しました。

自分が数学教師だったら入門程度の三角関数の範囲でどんな問題を出すだろう・・・と、10問作問してみました。

生徒の皆さん、三択式ですからよかったら解いてみてください。

一部おふざけの問題も入ってますので、あくまでも暇つぶしにどうぞ。

でも、1問20秒のペースで解いていって、7問以上正解だったら、「三角関数検定3級」位の力はあるのでは?と思います。


1 三角関数で、sinは日本語で「正弦」といいますが、cosは何という?

①余接 ②正接 ③余弦


2 三角関数の主役、sinさん、cosくん、tanさんのうち、いつも自虐的にひがんでいると思われるのは誰?

sinさん ②cosくん ③tanさん


3 アンケートで「三角関数が嫌い」と答えた日本の高校生が、その理由として挙げた中でいつも最上位にあるものは?

① 公式が多い。 

② 三角関係を思い出して苦しくなるから。

③ sincostanとの出会いが「超唐突!!」で「何、コイツら?」の思いをずっと引きずってしまったから


4 三角関数のイロハともいえる三角比(三角形、特に直角三角形の辺の比を考える分野)は、いつ頃どこで産声をあげた?

① 紀元前約2000年頃のエジプト

② 紀元前約200年頃のギリシャ

③ 1740年頃のスイス


5 人吉市役所と八代市役所間の直線距離は36.368km36368m)で、標高差は103mである。右図のような三角形を考えるとき、勾配(こうばい)に相当するΘはおよそ何度?

0.016° ②0.16°  ③1.6°


6 次の角度のうち、sincosの値が等しくなるのは?

135° ②225°  ③315°


7 sin75° と sin30°+sin45°の大小関係は?

sin75°>(sin30°+sin45°)

sin75°=(sin30°+sin45°)

sin75°<(sin30°+sin45°)


8 中学校で習った「三平方の定理」というのは、【  】定理の特別な場合(θ=90°の場合)だった。

①正弦  ②余弦  ③正接

 

9 次の勉強嫌いの生徒のほざきに、教師になったつもりで力強く論破してください。一番説得力のあるものは?

「何でcos135°を求める必要があんの?やってる意味ねぇし、人生に三角関数なんか必要ねぇし」

① 三角関数が必要な職業が選べなくなり、人生の選択肢を狭めてしまうよ!

② 私は今その三角関数を君たちに教えることでお金をもらってま~す。

③ 「何の役に立つの?」って疑問は「そもそも何で必要なの?」って疑問なわけで、その答えは「じゃあ、あんた何で生まれたの?」に帰結するよ!


10 右図で加法定理を考えてみた。
xに相当する長さは?

cosβsinα

sinβcosα

cosαsinβ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【答え】

1:③  2:③  3:①  4:①  5:② 

6:②  7:③  8:②  9:①②③(どれを選んでも正解) 10:③


【解説】

    1: 数学Ⅰの教科書で確認してください。

既に習ったように、sin(サイン)とcos(コサイン)の間には、sin2θ+cos2θ=1(サインの2乗とコサインの2乗の和は1)という強力な関係があります。その意味で「サインとコサインは一対」であると言っても過言でありません。コサインの英語表記cosineは、cosineco-は「~と共に」という意味を作る接頭辞です。なるほど、コサイン(cos)はサイン(sin)と常に共にあるので、この英語表記は分かりやすいです。しかし、日本語になるとcosがなぜ「余弦」と名付けられたのか?

「余」に込められた意味等を追究してみるのも一興かもしれません。


2: 次のサイトを見てみてください。tanさんの嘆きが聞こえてきそうです。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/18/news049.html

数学Ⅰでよく出題される三角関数の式の証明では、tanΘが出てきたらsinΘ/cosΘに直して計算すればうまくいくことが多いです。でも、とかく分数の計算はややっこしくなりがちで、tanΘを見ると「うわ…」と引かれる原因なのかもしれません。

A+B+C=π のとき、tanA+tanB+tanC=tanAtanBtanCなんていう美しい公式もあります。tanさんの良いところを見つけて、エールを送ってください。


3: あるアンケート(自由記述)で②の回答を見たとき笑ってしまいました。

私、三角関数ほど単純なものはなく、三角関係ほど複雑なものはないと思うのですが・・・。

皆さん方が学習してきたように、三角関数はまず直角三角形による定義をしますが、次に単位円による定義に拡張されます。その拡張された定義の元では三角関数は「円関数」と呼ばれることもあります。従って、三角関数からどうしても三角関係を連想される方は、「円関数!!」と5回ほど唱えれば邪念が払われるかもしれません?


4: これは数学史の問題です。その手の本を紐解くと、①の紀元前 2000 年頃、エジプト人がピラミッドの建設で原始的な三角比(1年の最初の頃に習った三角関数)を使っていたとあります。

そして、今2年生の皆さんが習っている三角関数や加法定理は、②の古代ギリシャ時代には確立されていたというので驚きです。

なお、③の1740年ごろというのは、オイラーが次の公式を発見した記念すべき年です。

 ei xcos+ isinx 

実数の世界では全くの無関係のように思われていた指数関数と三角関数が、複素数の世界では親戚どころか兄弟であったことを意味する重要な式です。

この式は、大学の工学部や理学部等に進学すると数学で学びます。今の段階ではこんな式があるんだ・・・という理解で十分です。オイラーはスイス生まれの数学者で、人類史上最も多くの論文を書いた数学者であったと言われています。


5: これは直感で正解してほしいところですが、ある意味難問かもしれません。

実際、人吉から八代方面に向かって国道219号線を車に乗っていると、道がずっとゆるやかな下り坂になっていることに気付くはずです。一体どのくらいの勾配なんでしょう?

これは、逆三角関数と呼ばれる計算をすることで求めることができます。

逆三角関数は数学では習っていないと思いますが、設計などの専門科目で学びますし、計算技術検定2級を受検した人にはおなじみのはずです。

Θtan-1103/36368)を関数電卓に入れると、約0.16と表示されます。


6: 三角関数を単位円で再定義した際に、sinはy座標、cosはx座標になります。従って、第1象限と第3象限でsincosが等しくなることがありえます。

ちなみにこの問題は競技クイズ日本一決定戦の予選第1回戦(1問平均10秒のペースで解答する力が要求)に出題されました。


7: 頭の中に単位円を描き、30°、45°、75°それぞれのy座標をイメージしてください。30°のy座標と45°のy座標を重ね合わせた(足し合わせた)高さと75°の高さの比較になります。頭の中に図が丁寧に描ければ答は自ずと③と分かるはずです。

ここでは計算で求めてみます。

sin30°=1/2(=0.5)、sin45°=√2/2です。

ここで√2を約1.4として計算すると右辺は、

sin30°+sin45°=0.50.71.2

では、左辺のsin75°はいくらでしょう?

既に「加法定理」を学習した皆さんなら簡単です。

sinαβ)=sinαcosβcosαsinβを使って

sin75°=sin45°+30°)

sin45°cos30°+cos45°sin30°

(2/2)( 3/2)(2/2)( 1/2)

(6+√2)/4

ここで、先ほどと同様に、√6を約2.4、√2を約1.4として計算すると、

sin75°=(√6 + √2/4=(2.41.4/43.8/40.95

従ってsin75°<(sin30°+sin45°)となります。

ここで覚えておいてほしいのは、

sinαβ)=sinαcosβcosαsinβ

であって、

sinαβ)=sinαsinβ 

にはならないということです。

では、この問題は加法定理を知らないと解けないのでしょうか?

思い出してほしいことがあります。45°の直角二等辺三角形と30°と60°の直角三角形について、それぞれ辺の比が「 11:√2 」と「 12:√3」というのがありました。中学校のときからお馴染みのとおりです。

実は、75°と15°の右図のような直角三角形では、辺の比が「 4:√6 + √2:√6 - √2」というのが成り立ちます。

これを覚えておくと15°と75°について、sincostanの値が図を見ながら、sin75°=(√6 + √2/4とか、たちどころに分かりますので非常に便利です。

某電力会社の就職試験問題で、sin75°=(□+√2/4という穴埋め問題で、□に√6を入れさせる問題が出題されたことがあります。加法定理を万一忘れていてもこの辺の比を思い出せば楽勝です。

余談ですが、sincos加法定理そのものの証明が1999年(平成11年)の東京大学の入試で出題されました。「公式は証明してから使うべき」というメッセージなんだろうか、それとも「教科書の内容すら身に付いていないのに難しい問題集を解いている受験生に対する警告」なのだろうかとか色々騒がれました。出来も非常に悪かったそうです。勿論、皆さんは習ったばかりなので証明はバッチリですよね?


8: 余弦定理とは、a2b2 c22bccosAという形の公式です。

今、A=90°のときcos90°=0ですから、a2b2 c2となり、これは中学校で習った三平方の定理そのものです。

正弦定理とは、a/sinA b/sinB c/sinC という形の公式です。

ちなみに、正接定理と呼ばれているものはありません。

余弦定理を用いることにより、三角形の「2辺の長さとその間の角度」から「残り1辺の長さ」を求められます。また、三角形の「3辺の長さ」が与えられた場合に、すべての角の余弦が求められ、すべての「角の大きさ」を考えることもできます。これに対して、正弦定理は三角形の「1辺の長さ」と「2つの角の大きさ」が与えられた場合に、「残りの2辺の長さ」を求めることができます。慣れるまでどちらの定理を使えばいいのか悩むことがあるかもしれません。


9: これはどれを選んでもマルにします。あなたなら先生からどう言われたいですか?私、自分で解答を作りましたが、3つともとても気にいっています。

この問題の作問のヒントになったのは、「サイン・コサイン何になる・・・♪.」と歌詞の中に出てくる『受験生ブルース』でした。日本のフォークソングの源流を作った男と言われる高石友也の代表曲で、1968年(昭和43年)に大ヒットしました。今でいう「団塊の世代」が大学受験地獄(この言葉は今、死語かも?)を経験していた頃で、当時私は小学3年(9歳)でした。テレビやラジオから毎日のように流れるその哀しい曲を何度も聞いているうちに、サイン・コサインという数学用語がしっかりインプットされました。

高校になって初めてサイン・コサインを習い、「こんなの勉強して何になる?」とその歌詞の意味するところが分かったような気が私自身しましたし、誰でも一度はそう思うのではないかとか考え込んでしまいました。

そういえば、鹿児島県の伊藤祐一郎前知事が2015年(平成27年)8月、「サイン、コサインを女の子に教えて何になる?」などと発言してちょっとした話題になったことがありました。

「いろいろな人生の問題があるため、今の均一な教育の仕組みを変えた方がいい」との思いからの発言だったと釈明されましたが、知事もきっと『受験生ブルース』を聞いて育った世代なのかな・・・と思った次第でした。

私自身も昔、生徒指導部で交通係をしていた頃、多分通学自転車のマナーの悪さに憤慨したドライバーだったんでしょう。苦情の電話の中で「アンタの高校、サイン・コサインとか難しいことを教えなくてもいいから、信号の見方をきちんと指導してくれ!」と罵声を浴びたことがあります。悲しい思い出です。


10: 三角関数はまず直角三角形による定義をします。これはまさにその範囲です。図をよく見ながら丁寧に読み解いていくと必ずわかるはずです。

私は昔からこの図を見るたびに、「本当によく出来た図だな!」と思っていました。あくまでも、α、β、α+βがいずれも鋭角という制限付きではありますが、加法定理がこんなに分かりやすく図の中に表現できるなんて、ある意味凄いです。

是非、sin(α-β)やcos(α-β)が表示できる図も考えてみてください。

【校長】


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひよどり越え」の名前の由来を探る(その2)

 中庭のあじさいの花が二輪咲いています。なぜ紫陽花と書いてアジサイと読むのか知りません。でも、この淡い紫色を見ていると夢見心地の気分にひたれます。

 今朝、高校総体の行進の練習がありました。総体が終わるまで梅雨入りは待ってほしいと願っていましたが、とうとう熊本も昨日梅雨入りしてしまいました。




 注:以下の記事は、昨年7月20日にアップした「アクセス数682962→鵯(ひよどり)越えの戦い)」の中編になります。(昨年7月20日の記事は→こちら

本校生が「ひよどり越え」と呼んでいるのは、平家物語の中でも語られる平家滅亡の前兆となる戦い(一ノ谷の戦い)に出てくる呼称です。

いつ頃誰が列車通学生が上ってくるあの坂を「ひよどり越え」と名付けたのか、人吉市史や本校の30周年記念誌などで調べましたが結局分かりませんでした。それどころか意外なことを知りました。それは・・・

「黒坂」

昭和41年4月8日号の人吉新聞に「黒坂の登校階段完成」の見出しに続く次のような趣旨の記述があり、その当時は「黒坂」と呼ばれていたようです。

球磨工業高校通学生徒の一部父兄(主に汽車通学生から市に対し整備を陳情されていた市内城本町の西校登校道路(人吉駅裏の通称黒坂)がこのほどコンクリート階段に整備され、通学生徒をはじめ、地元の利用者は喜んでいる。

同道路は急勾配のため、整備しても一雨降ればすぐ土砂を洗い流し、路面が悪くなり地元民からも整備方が陳情されていた。昨年は悪路を通行する生徒の姿を見て、同町民政委員谷川源昨さんが老身を問わず道路整備に汗を流し生徒から感謝されたこともあったが、今回の整備で通学生も安心して通れると言っている。同道路は延長140m、巾員1mを全長階段にしている。工費は11万6千円。

一方、「大悲坂」とも

相良三十三観音の一つ、九番村山観音(写真右)はJR人吉駅の裏手にあります。案内のパンフレットには「大村横穴群にある『大悲坂』が登り口」とありました。

そのパンフレットには、「西暦1764年紺屋町の商人達が協力し合い、観蓮寺の観音堂に行く参道を苦労して切り拓き、その事業を後世に残そうと「大悲坂碑」(だいひさかひ)を建てています」とあります。従って、この登り坂は250年前頃は、「大悲坂」と呼ばれていたことになります。

左の写真では読み取れませんが、実際に石碑に近づいて見ると、確かに大悲坂と彫り込んであります。

村山観音が安置されているお堂は「大悲殿」と呼ばれているところから来ているのかもしれません。手元の国語辞典によると、「大悲」とは「他人が悲しみ苦しんでいるのをみて助けてあげたいと思う人の心」とあり、どうやら仏教用語のようです。

結局「ひよどり越え」とは?

私、赴任当初から気になっていたことがあります。それは、平家の落人伝説が色濃く残る地域に所在する学校だからある意味当然かもしれませんが、本校も色々と落人伝説と関わりがあるのでは?ということです。どんな点にそれを感じたかと言うと・・・

① 今、話題にしている平家物語にも出てくる「ひよどり越え」のネーミングがまさにそれ。

隣の人吉西小学校の先生方を含め十人近くの行き交う地元の方々に坂道の名前を尋ねてみましたが、その全員が「この坂に名前があるの?」とか「知らない」といった答えばかりでした。人吉西小学校の某先生は、「球磨工生が上がってくる坂」と呼んでいると言われ、「ナルホド!」と思いました。

また、学校評議員をお願いしている1期生の馬場上氏にも尋ねてみたところ、「当時何と呼んでいたか忘れたが、そういう(=ひよどり越え)呼び方はしていなかったはずだ。初めて聞いた」という証言をいただきました。

② 建築科の実習工場の前にキジ馬が3騎積み上げてありました(右写真)。フラワーポットとして生徒が作った作品だそうです。言うまでもなく、キジ馬は平家の落人たちが都での華やかな生活を思い返しながら作る手慰めとして作り出した民芸品だと言われています。


*  大村横穴古墳群(Omura side hole tomb)は、JR人吉駅の北側にあり、岩の崖には27の横穴が掘られています。1400年ほど前の古墳時代後期の墓だと言われています。左の写真のように、人吉駅のホームからぽっかり口を開いている穴が見えます。何も知らなければきっと「あれはなぁに?」と思うはずです。古代人が闊歩していたことを彷彿させる場所のすぐ隣に停車場がある光景は日本広しといえどもあまりないかもしれません?

パンフレットには、「この中の7基の外壁に馬などの動物、武具、文様等の装飾が残っていることから、早くから学界にも注目され、大正10年(1921年)3月3日に国指定史跡となりました。昭和58年から毎年7月第4土曜日には地元城本町住民が中心となって「古墳まつり」が続いています」とありました。

この古墳に沿って、約240人の列車通学生が毎日登下校で使っている365段の階段があり、本校関係者が「ひよどり越え」と名付けているのです。

途中に2箇所外灯があるものの、夜はとても暗く、生徒総会でも外灯増設の要望が出ていました。その道を使っているのは本校生がほとんどだからということでしょうか、外灯の電気代は何と本校が支払っています。4月分は735円でした。

人吉市に外灯の増設を陳情しても国指定の文化財(大村横穴古墳群)だから形状の変更が難しいらしく、なかなか進んでいないのが現状です。

後編に続きます。

【校長】


 

Why don’t we go to see a firefly tonight?


いつも本校のHPにお越しいただきありありがとうございます。
 
  
朝夕は半袖では少し肌寒いけど、日中は汗ばむ爽やかな初夏の陽気です。そろそろ梅雨入りも気になるところですが、いかがお過ごしでしょうか。

昨日は私たち教師の「完全定時退勤日」ということで、生徒の皆さんは部活がありませんでした。嬉しそうな表情で下校する何人かに「早く帰って何するの?」と水を向けたところ、にこにこしながら異口同音に「勿論、勉強です」と。何かしら可笑しかったです。

私は昨夜8時頃、歩いてコンビニに買い物に行く途中、川べりの草むらに蛍が光を放っているのを目にしました。蛍、今年になって初めてでした。綺麗な清流に恵まれたここ人吉は蛍が舞うんですよね!

昨年、こちらに越してきて、蛍が乱舞する光景を何十年ぶりかに目にして、自然が豊かなんだと改めて驚きました。

いつかは部屋の中に蛍が迷い込んできたこともあり(右写真)、淡い光の点滅を見ながら、女子から『今夜一緒にホタルを見に行こうよ』と高校生の頃に誘われていたらどんな返事をしただろう‥‥とか、ありもしなかったことを考えつつ幽玄夢幻の中眠りに落ちるという何とも贅沢な体験もしました。

そういえば、千年も昔に書かれた「源氏物語」にも、蛍が恋物語にふさわしい感じで描かれています。ズバリ「蛍」と名付けられた巻でです。

手元のシラバスによると、本校の国語では徒然と伊勢は学習しますが、源氏は扱わないみたいですから、生徒の皆さんの中でこのストーリーを知っている方は少ないのかもしれません。ごく大雑把にいうと、玉鬘(たまかずら)という姫君の姿を、ある男性に見せようと考えた光源氏が、暗闇のなかで蛍を放ち、その光に照らし出された姫の美しさに、男性がますます恋心を募らせていくというシチュエーションでした。

いよいよ明日から中間考査が始まります。試験勉強も気合いを入れてやらないといけませんが、窓越しに外を眺めてみませんか。

暗闇の中のロマンチックな光の明滅に癒されるかもしれません。

                                                                            
                                                                                                【校長】


五月ばかりなどに山里にありく

いつも本校のHPにお越しいただきありありがとうございます。

生徒の皆さん、連休後半をどのように過ごしましたか。

「部活三昧」と聞こえてきそうですが、1日位は休養日があったはずでは・・・?

  
さて、タイトルの「五月ばかりなどに山里にありく」とは、枕草子第223段の出だしです。毎年5月になると、なぜかこの一節を思い出してしまい「何と颯爽とした書き出しの筆だろう!」と、文言に誘われるかのように、野山を歩きたくなります。

ということで、私はこどもの日の5日、熊本市の金峰山中腹にある洞窟、霊巌洞1まで、徒歩で往復(16キロ位)してきました。晩年の5年間を熊本で過ごした宮本武蔵が、この洞窟にこもって兵法書「五輪書(ごりんしょ)」を著したことは、あまりにも有名です。

山麓に広がるみかん園は白い花が満開。目を下に落とすと、道沿いにはヨモギがびっしり生えていています。顔を近づけて、「これこそ野原の匂い!」と、その香りを楽しんでいたら、223段後半に「蓬の車に押しひしがれたりけるが、輪まはりたるに、近ううちかかりあるもをかし」2と続いていたことも思い出しました。多分、牛車の中にはヨモギの香りが漂っていたんだろうな・・・と。

そんなことを考えていたら、よもぎ餅を久しく口にしていないことを思い出し、どうしても食べたくなって、帰宅後近くのスーパーへ直行。

製菓・パンのコーナーに、最後の1パックが残っていました。某大手パンメーカー製のよもぎ餅大福5個パックで213円。北海道産の粒あん入りです。

そのお味は・・・?

餅の色こそヨモギ色でしたが、その香りはほとんどせず、「こんなものかな・・・」と少し残念でした。夕方のニュースでは温泉施設で「いい香り!」とか言いながら菖蒲湯につかる子どもたちの様子を報じていました。季節の匂いを楽しむ心のゆとりをいつまでも持ちたいものです。


  週の初めは大雨です。連休のせいか今週は少し長く感じるかもしれません。高校総体も近づいていますが、あと10日で中間考査。特に、1年生にとっては高校で初めての定期テストになります。ぜひ、計画を立てて学習を始めてください。



*1うっそうと茂る樹木におおわれ、神秘的な霊場として知られる雲巌禅寺(うんがんぜんじ)の裏山に所在します。洞窟内には岩戸観音(いわとかんのん)の名で呼ばれる観音像が安置されています。


*2【口語訳(意訳)】
車の車輪に踏まれた蓬が輪が回る時に、ふっと剥がれて車の御簾などに当たり、パシッと微かな音を立てて引っかかるのが趣(おもむき)がある。

 

【校長】