徒然雑記帖
興味深い性質を持つ回文数
汗ばむ陽気の土日でしたが、生徒の皆さんはいかがお過ごしでしたか?
私は、昨日鹿児島市の平和リース球場で行われた第144回九州地区高等学校野球大会2回戦の応援に行きました。今年度新たに25名の新入部員を迎え、グラウンドの練習もますます熱がこもっている野球部、強豪校である福岡大学附属大濠高校相手にどのような戦いを繰り広げるのかと大変楽しみにしながら向かったところでした。
三回1死一、三塁で内野ゴロの間に1点を先制したものの五回に1点を失ってしまい、1対1のまま延長戦になりました。息詰まる投手戦を制したのは大濠で、十回表にホームランなどで一挙4点を入れられ結局1対5で敗れました。
選手の皆さん、白熱した試合を見せていただきありがとうございます。この後、RKK旗、NHK旗、夏の予選と続きます。見つかった課題を分析して捲土重来を期待します。また、第1試合で北九州の真颯(しんせい)館高校を相手に9対6で勝利し、8強入りを決めていた熊本西高校の選手の皆さんも五回まで応援をしていただきました。学校を代表してお礼を申し上げます。
写真には、飛行機雲の跡が沢山残っています。スマホのアプリ(flightradar24)で調べたところ、大阪や福岡と沖縄(那覇空港)を往復する国内線の他に、アンカレッジやバンクーバ(カナダ)、ロサンゼルス等から香港やタイペイ、シンガポール等に向かう国際線が頻繁に鹿児島上空を飛んでいることが分かりました。桜島の雄大な眺めとともに、日常と違う風景を久々に見て楽しい一日でした。
話は大きく変わりますが、昨年12月9日の記事で総アクセス数 1248421 という回文数を取りあげていました。これは初めの4項が初項1、公比2の等比数列でした。それからおよそ4ヶ月半後、またしても面白い回文数(右から読んでも左から読んでも同じになる数)が現れました。
私は夢の中でしたが、多分真夜中の午前1時20分頃に総アクセス数 1357531 を通過したはずです。これは、初めの4項が初項1、公差2の等差数列になっています。
これは素数でしょうか?
2002÷11=182のように、偶数桁の回文数は必ず11で割り切れるという興味深い性質がありますが、これは7桁で奇数桁です。ひょっとして素数かと胸が高まります。
でも違います。7で割り切れます。7の倍数の見分け方は昨年9月1日の記事で触れているとおり*ですが、3桁ずつ区切ってまとまりの和の差(1+531-357)を求めると392で、これは7の倍数(392÷7=56)になっています。ということで素因数分解すると、
1357531=7×19×59×173
従ってその約数は、1, 7, 19, 59, 133, 173, 413, 1121, 1211, 3287, 7847, 10207, 23009, 71449, 193933, 1357531の16個です。
ところで、7×173 の結果 1211 と 19×59 の結果 1121 を見て何か気付きませんか?
1357531=7×173×19×59=1211×1121
となって、なんと4桁×4桁に分解したらそれも回文数の形になっています。割と有名な事実ですが、知らなかった生徒の皆さんも多いかもしれません。いくつか例示してみます。
11×11=121 12×21=252 22×22=484
101×101=10201 102×201=20502
111×111=12321 1001×1001=1002001
1002×2001=2005002
1102×2011=2216122 2002×2002=4008004
・・・・
このように回文数は、入試に出ることはあまりないかもしれませんが、興味深い性質を持っていることが多く、趣味の数学の分野ではよく研究の対象になっています。
最後に、今日取り上げた1357531について、数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れて、この数字が現れた日にちであり、4月22日をそのまま並べた422を作ってみます。
(-1+3!)×5!!!+7×53+1=422→4月22日
皆さんだったらどのような式を作りますか?
この小町算、やり始めると困ったことにポテチと一緒で「やめられない・止まらない」なんですよね、これが(..;)
【校長】
*7の倍数の見つけ方(昨年9月1日の記事より引用)
証明は省略しますが、次のように面倒です。7で割った方がよっぽど速いので7で割ることをお勧めします。
①例えば、数字を (abcdefghijkl) とします。
(<例> a=6, b=7, c=3 の場合 (abc) は 673 すなわち 六百七十三 を表します)
②この数字を、1の位から3桁ごとに分けていきます。
abc,def,ghi,jkl
③3桁の塊(かたまり)を一つ飛ばしにグループ化します。今回は色分けして赤と青のグループにします。
abc,def,ghi,jkl
④グループ毎に和を求めて、その差を計算します。 ( abc + ghi ) – ( def + jkl )
(もしも、青の和の方が 赤の和よりも大きいのであれば、青 – 赤 の計算をします)
⑤この 差 が 7の倍数であれば、もとの abcdefghijkl は7の倍数です。
<検証> 813297496970 という数字の場合
(813+496)–(297+970)
=1309 – 1267
=42
(7の倍数なので7で割り切れる。実際、813297496970÷7=16185356710)
「ノー レイン ノー レインボーって・・・」
昨日、始業式に引き続き行われた頭髪服装検査が終わって校長室に帰るとき、多くの生徒たちと一緒になりました。前を歩く生徒たちが(私に気付いていないのか?)今年度のテーマ「飛躍」に添えたサブテーマの“No rain, no rainbow. ”についてさっそく話をしていました。別に聞き耳を立てたわけではありませんのでよく聞き取れませんでしたが、ポジティブな感想を述べあっているようで嬉しく思いました。
ひょっとして英語の授業でもう習った人たちがいるかもしれません。私が高校生だった頃、「・・・すればするほど、ますます~だ」という意味の《The + 比較級 …, the + 比較級~》の構文を初めて習ったときのことです。
英文で「…」や「~」の部分が省略された“The sooner, the better.”と先生が板書され、「訳してみろ!」とおっしゃったのを鮮明に覚えています。
正解は、「早ければ早いほどよい」「早いにこしたことはない」です。今になって思えば、大げさかもしれませんが「心の琴線にふれる」とはこういうことを言うのかと考えるほど、面白い表現だと思いました。そして、先生の「これはわずか4語からなる英語で一番短い諺(ことわざ)だ!」という解説も当時の私は全く疑問を抱くことはなく、脳裏に刻み込まれました。
それから何年経ってからでしょうか?多分20~30代の頃だったと思います。サブテーマに定めた“No rain, no rainbow. ”という含蓄ありすぎる諺に出会いました。
直訳は『雨がなければ、虹はない』ですが、勿論、雨は『試練』、虹は『夢』や『希望』の象徴です。頑張らなければ結果は出ない、目的を遂げる前には苦しまないといけないなど、色々と解釈できることも知り、その奥の深さも含めていっぺんに好きな諺になりました。
と同時に、やり切れない複雑な思いで一杯にもなりました。というのも、私、英語の先生の言ったことを間に受けて、一番短い英語の諺は唯一“The sooner, the better.”とばかり信じ切っていたので、他にもあることを知って驚いたというか、了見が狭いままその歳まで生きてきたことをとても不甲斐なく思ったからです。「唯一」とか「絶対」、「一番」などという形容詞は、万人が話し常に揺れ動く言語の世界ではあり得ないということを悟ったところでした。色々調べてみたらわずか4語の諺、結構ありました。今、ぱっと思いつくだけでも次のようなものがあります。
Easy come, easy go.
直訳は「簡単に手に入るものは、簡単に出て行ってしまう」、つまり「得やすいものは失いやすい」という意味ですから、日本の諺でいう「悪銭身につかず」が近いでしょうか?
Tomorrow is another day.
「明日は別の日なんだ」、そうポジティブに諭しているように思います。「明日は明日の風が吹く」のように楽観的に訳すといいかもしれません。
Better late than never.
「遅くなってもやらないよりはましだ」と訳すことが多いようですが、待ち合わせの時間に遅れて来た場面で「遅れても来ないよりはましだ」という意味で使われているのを見たことがあります。
諺、名言、格言は長い時代を経て受け継がれてきた貴重な人生訓です。特に、英語の諺は日本語の諺にない文化的背景が感じられたり、口ずさみたくなるような語感があったりと、含蓄が深いように思います。就職試験にも出題されているのを見たことがあります!
“No rain, no rainbow. ”に出会ったのをきっかけに、皆さんもお気に入りの英語の諺を見つけて座右の銘にしてみてはいかがでしょうか。
【校長】
167名が入学しました
今日は午前中が始業式、午後が入学式でした。天気にも恵まれ、幸いなことに桜もまだ残っているという絶好の日和の中、2つの式を滞りなく終えることができました。
特に入学式では、多くの御来賓の皆様方の御臨席を賜りましたことに改めてお礼を申し上げます。
さて、本日、晴れて入学を許可された新入生は本科163名、専攻科4名の計167名です。この数字をもとに、今朝家を出るときからやってみたかったことがあります。それは、学校に着いてすぐHPを開けたときの総アクセス数で167を作る小町算をすることです。
式後にじっくりと考えてみようと、朝とりあえず数字をメモしておきました。7時24分現在の総アクセス数は、1344667でした。
この数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れてみます。
134+46-6-7=167
偶然でしょうか?あまりにも簡単にできて拍子抜けです。ということで、もう1問挑戦します。今日4月8日の数字をそのまま並べた48を作ってみます。
1+3+44+(6-6)×7=48
こちらも簡単にできました。皆さんだったらどのような式を作りますか?
ところで、「167って何て思い出深い数字だろう・・・」と「入学許可」の時、壇上にいながら思っていました。というのも、167は私が学生の時の学籍番号で、4年間試験の答案用紙など色々な折に167を記入していたことを思い出したからです。
いつかはこんなこともありました。私が素数好きということを知った教授から不意に問題を出されたことがあります。「167の3桁の数を並び替えてできる数字のうち素数じゃないのは何~んだ?」というものです。
167は素数っぽいです。ひっくりかえした761は? 617は? 671は?
皆さんは瞬間的に動物的勘で答えることができますか?
実は、671だけが素数ではありません。671=11×61と素因数分解されます。671は11の倍数なんです。
3の倍数、4の倍数、5の倍数とかを見分けることは簡単ですが、皆さんは11の倍数を見分けることができますか?
証明は省略しますが、各位を一つ飛ばしに足した”和”の”差”が11の倍数又は0であれば、その数は11の倍数になります。
例えば、175428 を計算してみましょう。
一つ飛ばしに色を塗り分けてみますと 175428 。
そして、それぞれの和を計算します。
赤の和 1+5+2=8
青の和 7+4+8=19
19-8=11
これは11の倍数ですから、175428は11の倍数です。
先ほどの671は、(6+1)-7=0ですから、11の倍数ということです。皆さん知っていましたか?全く有名ではありませんが、知っておくと約分とかするときに使えることがあるかもしれません。
167の3ケタの数字を全部かけると42、これをひっくり返した24は風水5大吉数の1つで、金運・仕事運アップをもたらすラッキーナンバー、しかもその音「に・し」は私の名前のオノマトペ。これもなかなかいいです。
【校長】
「令和」に思う
4月1日、平成31年度がスタートしました。新着任された11名の先生方を御紹介した後、最初の職員会議を行いました。引き続き、学年会や部会、教科会などが開かれ、生徒の皆さんが年度当初スムーズに学校生活が送れるよう様々なことを協議しました。明日からは時間割の編成も始まります。
ところで、昼前に新元号が発表されました。私も固唾を飲んで事務室のテレビを見守った一人です。詩人の伊藤比呂美さんと作家の瀬戸内寂聴さんの対談で「荒波」とか出てきていたのを思い出しながら、そんなのだったらきっと面白いだろうな・・・とか思っていたら、まさかまさかの「令和」。
菅官房長官が額縁を掲げた時、「命令の『令』?、冷たい響きの語感だな」というのが第一印象でした。テレビで色々予想しているのを見て、自分なりに様々考えていましたが、ことごとく外れてしまい、正直Rで始まるとは全く予想もしてなかったので大変意外でした。後でよく考えてみたら、令には「令息」や「令嬢」のように使われ、「よい」「立派な」という意味があることを思い出しはしましたが・・・。
私、つい先日から来年1月の試験に向けて奈良検定の勉強を始めていました。昨年受けた京都検定と違って、神社仏閣や史跡、歴史、年中行事、伝統工芸の他に、万葉集と古墳が結構出題されています。万葉集の中の有名な和歌の一部分が隠されていて、そこを埋める問題(4択)です。「この歳で万葉集を勉強しないといけないのか、やっかいだな・・・」と思っていたまさにその矢先に、「令和」の出典が万葉集と知ったわけです。「何と素敵なことだ!」と驚くと同時に「勉強のし甲斐がある」と嬉しくなりました。
安倍首相の談話によると、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」そうです。
で、出典の「初春令月 気淑風和」って一体何?
さっそく調べてみました。万葉集の梅花(うめのはな)の歌32首の序文なんだそうです。
「初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」
【現代語訳:新春の好(よ)き月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香りの如きかおりをただよわせている:中西進氏「万葉集全訳注原文付」講談社文庫】
1300年も昔に誠に風雅なことを考えたその人に思いを馳せました。そうこうしていたら、ちょっと馴染んできたのか、「令」はキリッとして「和」は温かい感じがしてきて、響きも綺麗な言葉のようにも思えてきました。不思議です。
一週間後に迫った始業式で元号に触れない校長は皆無のはずです。色々と伝えたいことはあります。何を話そうかと今から悩んでしまいます。
【校長】
見慣れない列車が人吉駅に
学校は今日が修了式。先立って行った表彰式では皆勤・精勤賞や成績優秀賞などの校内表彰も含めてのべ493人を表彰しました。凄いことです。
生徒たちが昼前に放課になった頃、「今日の人吉駅清掃ボランティアは中止します」と校内放送が入りました。「エッ?なぜ??」と担当の先生に連絡をとったところ、「人吉駅でイベントがあっていて清掃どころじゃなさそう」ということでした。
すっかり忘れていました。今日は人吉駅にJR九州のD&S列車*が大集結する日でした。早速、1時間休みを取って駅に向かいました。黒山の人だかりです。私、人吉駅が足の踏み場もないほどこんなに賑わっているのを見たのは初めてです。図書館にあった「人吉市史」によると、昭和30年~40年代は、青井阿蘇神社の「おくんち祭り」の日だけは臨時列車が出るほど人吉駅が賑わっていたという記事を読んだことがありますが、本当に凄いことになっていました。
頂いたパンフレットには、「観光列車サミット in 人吉球磨」とありました。それによると、「『SL人吉』をはじめとするJR九州のD&S列車が3本も運転されている熊本県人吉球磨で、『観光列車と街づくり』について大人から子どもまで楽しみながら考える参加形のイベント・・・」とありました。
主催者らしい方とお話したところ、「肥薩線人吉駅に『A列車で行こう』、『いさぶろう・しんぺい』、『かわせみやませみ』、『SL人吉』、『指宿のたまて箱』、くま川鉄道の『田園シンフォニー』の6つもの観光列車が勢揃いするのは『最初で最後だろう』」ということでした。
何でも、『いさぶろう・しんぺい』号が人吉駅に到着して出発するまでの13:08~13:22までの14分間が6つの観光列車が一堂に会する奇跡の瞬間だったそうで、私も立ち会えて幸せでした。
↑左の写真(1番ホーム:A列車で行こう、2番ホーム:いさぶろう・しんぺい) 右の写真(庫1番:SL人吉、庫2番:指宿のたまて箱)
↑左の写真(3番ホーム:かわせみ やませみ、くま鉄ホーム:田園シンフォニー)
*D&S列車とは、個性溢れる外観や内装で運行され、乗ること自体も楽しんでもらうための仕掛けやイベントも用意されているJR九州の観光列車の総称(現在11種類)で、「デザイン&ストーリー」の略なんだそうです。
【校長】