生物部 アセビの花満開

 第二高校バス停の横にアセビの花が満開です。枝先に10cm程度の花序を垂らし、多くの白いつぼ状の花を咲かせています。一見地味ですが、一つ一つの花を観察すると10本のおしべなどを確認することができます。

バス停から見えるアセビ

 アセビはツツジ科アセビ属の常緑の低木で、一般に樹高は2~4mほど、日本全国に自生しています。学名は、Pieris japonica subsp.japonicaで、Pierisは「アセビ属」、 japonicaは「日本の」を意味しています。ちなみに、Pierisはギリシャ神話のの女神「Pieris」の名前に由来しています。

 アセビは漢字で「馬酔木」と書きます。明治36年に長塚節・島木赤彦・斎藤茂吉らによって寄稿、創刊された「馬酔木(あしび)」という短歌雑誌があります。学名Pierisの由来であるにちなんだものです。

 「池水に影さへ見えて 咲きにほう あしびの花を 袖に扱入れな」万葉集にある大伴家持の歌です。その他にも万葉集には「馬酔木(あしび)」が登場する歌があります。どこかでギリシャ神話とつながっているようです。

 アセビは、「馬酔木」と表記されるように、有毒植物で枝葉にアセボチンという有毒成分を含んでいます。葉を煎じて殺虫剤に利用されます。そのため草食性の哺乳類は、アセビの摂食を避けます。例えば、奈良公園にはアセビが比較的目立ちますが、これはシカがアセビを食べるのを避けているからだと思われます。

 このようにアセビは毒性があり、厄介者という感じですが、課題研究の材料としては面白い一面もあるかもしれません。