美術科アーカイブ

美術科×家庭科「コーヒーの味覚実験」

 10月18日5時間目、美術と家庭科のコラボ授業行いました。「コーヒーの味覚実験」です。
 なぜ美術科で実験?かといいますと、美術科にとって色彩理論の勉強は非常に大切なものなのですが、それが実生活でかなり活用できるものであることを気づいてもらいたかったからです。
 色彩は心理的にも生理的にも影響を及ぼすことがあります。部屋の色によって体感温度が変わることもあるくらい。
 SSH事業で1年生は全クラス味覚実験を行っていますが、美術科はさらに踏み込んで色が味覚に与える影響を実験し考えてみました。



 写真でわかる通り、同じ素材、大きさで色が異なる三つの容器にコーヒーを注ぎます。生徒たちは目の前で注がれるのでそれが同じコーヒーであることは知っています。しかし、実際に飲んでみると・・・
 透明の容器に入っていたコーヒーは「お茶のような感じがした」、「薄い感じがした」、白い容器は「苦みを感じ、黒はもっと苦く感じた」、または「白はまろやかさを感じた」、黒は「匂いや味が濃い感じがした」など変化を感じました。また複数の意見で、「三つともあまり変わらない感じがした」もありました。ただし、色が視覚以外の感覚に影響を受けるのを全員で共有しました。
 また、その受け取り方の違いはどこから来るのか考えたところ、コーヒーが好きか、嫌いかで味わい方がまた変わったこともわかりました。高校生ですがコーヒー通の意見は「酸味が変わった」という感想を述べてくれました。つまり視覚の刺激が他の感覚へ及ぼす影響は、受ける側の経験によって変わるということです。


 一般的に、白い器は高級感を、黒い器は本格派の印象を与えやすい、ということができます。透明の器は試飲用に感じる、期待感が持てないという感想がありましたが、まさにその軽快さがコーヒーに期待する味わい方に反するのでしょう。気づいた生徒もいましたが、アイスコーヒーだと透明がいいですよね。
 これから本格的にデザインの勉強も始まりますが、見る人がどう捉え、また見る人の心をどう動かすか、考えられる人材に育ってほしいと思います。
 指導者としてはこの研究、食事制限のある人に有効ではないかと思っています。今度テーマ研究でやってみたいですね。