ようこそ先輩!井上幸喜先生

 8月22日、セミナーハウスにて美術科外部講師講演会を開催しました。
 講師は美術科卒業生、井上幸喜先生です。宝塚大学東京で教鞭をとるかたわら、デザイナーであり、デザイン会社を経営されている方です。大学内に事務所があり、学生たちはデザイン会社の仕事ぶりを間近に見ることができるそうです。
 井上先生の講演でデザインとは「物事をわかりやすく誘導すること」示されました。CGや映像メディアのデザインを多く手がける先生のお話から、デザイナーやアーティストの役割は自分の作品を発表するだけでなく、洪水のように現代人に押し寄せる情報や技術革新をいかに「わかりやすく、誘導するか」が重要なのだと感じました。
 そして、一番デザインしなければならないのは何より「自分自身」であること、を伝えられました。

 さらに、表現者にとって報酬とは「やったことの対価ではなく、どれだけ喜んでもらえたか」による、という言葉は生徒たちに心に響いたのではないでしょうか。

 ところで、井上先生と言えばある伝説的ゲームの制作者でもあります。

 講演ではVRの実演もあり、クーロンズ・ゲートの世界に少しだけ入ることができました。体験した生徒たち、大喜びでした。
※後ろのモニターが実際に見えている画像です。
 
 美術大学を卒業され、また未開拓の分野であったCGの世界に飛び込み、誰も見たことがない風景を誰よりも早く創造した先生のキャリアに圧倒されるばかりでした。輝かしい面だけでなく、苦労して制作した作品への酷評が出ることもあったそうです。デザイナーとして精神的にも体力的にも、また経営者としても相当の苦労があったのでしょうが、苦しみを楽しみに変えて、軽やかに振り返る先生の姿に皆勇気づけられた思いです。生徒たちの感想にも、「どんなにつらい状況でも先生がにこやかに乗り越えられたのが印象的でした」とありました。貴重なお話、ありがとうございます。