平成二十七年度入試を振り返って
新教育課程入試始まる
平成二十七年度入試から数学・理科で新教育課程対応の入試が実施され、センター試験における教科の内容、科目選択のパターンが大きく変わった。特に理科については、A=基礎科目二科目、B=専門一科目、C=基礎科目二科目+専門一科目、D=専門二科目の四パターンの中から一つを選んで出願することとなった。当然ながら、科目選択のパターンによって出願できない大学も出てくるので、早い段階で十分な進路研究をしておくことが重要である。たとえば、医療系や食物栄養系の学科では、Dパターンでないと受験できない大学が多いが、中には、A・Bパターンで受験できる大学もあり、方針が曖昧なままでは、勉強の方向性も定まらない。
また、数学についても、数ⅡBで史上最低の平均点を記録し、本校でも想定した得点が取れずに、出願変更を余儀なくされる生徒が多く出た。
さらに、教育課程の変更とは直接関係ないが、熊本県大では、二十七年度入試から新たに小論文が加わった。この影響があったかどうかはわからないが、出願者数が大幅に増加した。特に、前期A方式(五教科)では倍率が前年の2.3倍から一気に10.2倍に跳ね上がるなど、これまでの傾向からは予測できない事態が発生した。
このように、入試制度や科目の変更があった場合には、これまでとは違う動きが出てくることが多いため、明確な目標設定と早め早めの準備、状況に応じて対応できる柔軟性を持つことが重要になる。
二十七年度入試の反省としては、志望校の選定が遅れたために、自分がどの教科に学習の力点を置くべきなのか、明確に意識できていなかった生徒もいて、センター試験後の対策が間に合わないまま、2次試験を迎えてしまった点がある。
美術科 今年度も躍進!
ここ数年、美術科の躍進については目覚ましいものがあるが、今年度もさらに躍進し、国公立大学の現役合格者数三十二名は、全クラスの中で最も多くなった。この躍進を支えているのは、一人一人の努力であることはいうまでもないが、各教科の学習を決しておろそかにすることなく、結果としてセンター試験の各科目において結果を出している点が大きく影響しているように思う。広く積極的に学ぶ姿勢が、科のよき伝統として浸透しているのである。
また、一口に美術系といっても、学ぶ分野は多岐にわたっており、求められる力もさまざまである。生徒たちは、美術科の先生との三年間のかかわりの中で、自分の強みと克服すべき課題がどこにあるのか、そのことを把握して(指摘してもらって)、きちんと準備したことが今回の結果につながった。
広く積極的に学ぶ姿勢を身につけ、自己の適性の把握とそれを生かすためのしっかりとした準備をすること。ここに、合格をつかむための大きなヒントがあるように感じる。
受験は今まで知らなかった自分との出会い
この一年を振り返ってみると、卒業した三年生が一年間で見違えるように成長し、それぞれの目標を達成していった姿が強く印象に残っている。 明確な進路目標と大学進学後の目的意識を持って、推薦入試で合格をつかんだ多くの生徒。センター試験でD・Eの判定がついてもあきらめることなく、二次試験では得意教科で勝負をかけて見事合格をつかんだ生徒。また、面接や集団討論の練習の中で、自分のコミュニケーション力や個性に気がついてすっかり自信をつけた生徒。センター試験が終わってから各大学の個別試験までのもっとも苦しい時期を学年全体で乗り切り、多くの生徒が、「がんばれる自分」を発見した。中には、前期日程で不合格となり、その報告に来た足で中期試験に出発し、「価値ある合格」をつかんだ生徒もいる。
受験は、大学に入るための手段に過ぎないが、その取り組みの中で、多くの生徒が、今まで知らなかった自分との出会いを経験している。この経験は、不安と戦いながら必死に努力した結果として得られたものであり、次のステップで苦しいときに自分を支えてくれる糧になると確信する。