美術科ブログ(~平成30年度)

子ども美術館:レオナール・フジタってどんなひと?

 5月27日、熊本県立美術館で小中学生向けワークショップを行う子ども美術館のお手伝いに3年生5人が行ってきました。
 当日は参加者は少なかったのですが、その分アットホームな雰囲気で行うことができました。

 今回はフジタの作品の下地と墨で描かれた線に注目した内容でした。フジタの作品の特徴は肌などに使用される乳白色です。学芸員さんの解説によると、その方法はフジタの生前は極秘だったそうですが、没後の研究によって明らかになりました。ベビーパウダーや様々な素材を使用したそうですが、今回は少しでもそのエッセンスを味わうために胡粉ジェッソという下地材を色紙に塗り、筆ペンで描写しました。

 猫とフジタは密接な関係があり、フジタの自画像には表情豊かな猫の姿がよく一緒に描かれています。パリの貧しい暮らしの中でもいつも猫がそばにいたようです。過去の子ども美術館で解説があったのですが、キリスト教美術で聖人の側には聖獣が描かれることがあるように、フジタにとって猫はペットとしてだけでなく、画家としての自己を高め、勇気づける存在だったのかもしれません。
 
 また、実際にフジタの作品をトレースし、筆ペンでなぞることであの緻密な線を引くのにかなりの技量が必要であることも理解できました。今回、素材と技術の両方からフジタを体験的に理解し、展示室での実物の鑑賞がより深まりました。さらに、ギャラリートークで学芸員さんの深い知識に裏付けされた解説に心打たれた時間となりました。

 最後はみんなで感想を発表し、学んだことをシェアしました。
 参加者の皆さん、ボランティアの皆さん、美術館の皆さん、ありがとうございます。

美術科三角スケッチ旅行

 今年も7月に開催される県下高校生写生大会に向けて、スケッチ旅行に行ってきました。場所は世界文化遺産三角西港です。



 朝からあいにくの雨でしたが、昼からは晴れるということで、出発。午前中は雨をしのいで制作できる場所を探しつつ、美しい建物に感動しました。


 このバルコニーから海が一望できます。

 雨が上がるのを待っている間に、こんな催しも。

 昼前にようやく雨が上がりました。上手に雨宿りしながら制作ができた人と、ペースをつかめなかった人がいましたが、これも経験だと思いました。同じ5時間をどう使うか、意識を高く持つことの大切さを生徒・教師共に学びました。

 悪天候の中、お疲れ様でした。

美術科団画

今年の団画も学年縦割りで行いました。今年も頑張りました。





熊本地震以降、規模は小さくなりましたが、運動会を美術科なりに盛り上げる彩になればと思います。

花畑公園にてライブペインティング


平成30年4月14日(土)~15日(日)に花畑公園で行われた防災食フェアにて、美術科の生徒がライブペインティングを行いました。画面には「力を合わせて復興 熊本」の文字と、熊本城の雄姿を描きました。

2年生自画像講評会

今回の授業の優秀作品です。

 総合力と完成度で選んでいます。観点別評価ではさまざま課題がありましたので、当人たちはあまりほめられた気分にはならなかったかもしれません。
 今回の講評の中から浮き出てきたテーマは「自然と明解」、つまり対象をよく観察し印象をつかむ「現象」の表現と、表面的には見えない構造を理解する「本質」の表現の両方が必要ということです。
 どんな学問にも言えることですね。次は静物デッサンです。今日の学びをいかしましょう。

2年生春の大作講評会

 2年生は春休みに制作した油彩画の大作(F50~F100)の発表会を行いました。春休みといってもほとんどの生徒が毎日部活動に来て、制作に励んでいました。
 作品のコンセプトや工夫した点を発表しました。10月の高校美術展の励みになることと思います。
 次の授業は木炭による自画像、来週からは静物デッサンです。2年次はそれぞれの作家性を育む学年となります。がんばりましょう。 


ようこそ1年生

 遅くなってしまいましたが、4月9日40人の仲間が入学しました。

 4月12日・13日は玉名市で集団宿泊。

 LHRでは、美術科で不安なこと、楽しみなことを3つずつ書き出し、シェアしました。「みんな絵がうまそうで不安」「勉強についていけるだろうか」など皆同じような悩みを持っていることがわかりました。楽しみなことは「美術に打ち込みたい」「早く絵が描きたい」など絵に関わることが多く、嬉しくなりました。まだお互いに名前を覚えるのに大変な時期だったでしょうが、グループワークはリラックスした様子で進み、運動会団席画リーダー決めもスムーズでした。

 4月20日美術科3学年が揃い歓迎会と、運動会団席画の顔合わせ会がありました。先輩たちの楽しい出し物に大笑いし、和やかな雰囲気で、美術科の一員になったことを実感したひと時でした。

美術科の春休み、あと少し

3月1日に卒業生を送り出し、あっと今に4月になってしまいました。

その間、美術科ではデッサンコンクール2回。

後期試験を終えた3年生が駆けつけて熱い指導をしてくれました。

新2年生、新3年生は大作を制作。

新3年生は彫刻も制作。



そして、5月の運動会団席画制作の準備と毎日忙しい日々でした。
そんな中でもできるだけリフレッシュしてくれたらいいなと思います。

3月退任式の日に撮影したテニスコートの桜です。
4月9日は始業式、みんな元気な姿で会いましょう。
新入生の皆さん、お待ちしています。

1年生最後の講評会

2月26日、1年生最後の石膏デッサン課題が終わりました。



一週間と短い制作期間でしたが、土曜もほとんどの生徒が制作に取り組んでいました。皆、自分の持っている実力を出し切ったと思ったのではないでしょうか。

 講評会直前の昼休み、誰もいない彩画室で一人だけ作品に向かい合う生徒がいました。その背中に貪欲にうまくなりたいと思う強い意思を感じました。

 講評は美術科先生全員でした。

 1年生の締めくくりの講評として穏やか始まりましたが、終盤になると課題も浮き彫りになり、技術的な面に加えて、絵を描く姿勢、デッサンの意味、美術を学ぶ意味にまで指導の内容は広がりました。「頑張ったこと=達成感」ではなく、「頑張ったからこそ、もっとやれたのではないかと思う深い後悔と反省」、先生たちの言葉が心に刺さった時間だったと思います。
 最後は「お疲れ様」ではなく。「さあ、一から出直そう!」と新しいスタートを切ることができました。
 3月は2回1・2年合同デッサンコンクールがあります。みんなで頑張りましょう。

美術・普通・理数科→手でみる造形展(2/6~12)

 「びとろぐ」に代表して掲載しましたが、美術科・普通科・理数科の三科が出展した「手でみる造形展」、2月6日から12日まで県立美術館分館で開催します。

 28回目を迎える「手でみる造形展」、熊本県文化協会の主催で、「手で触ってみる、そして感じ取る」展覧会です。「造形作品を視覚障がいの方々に見て、触れていただきたいということ、誰もが手に取ってみる、或いは、手で触れてみるという本来の鑑賞方法を実現してみようという、二つの目的からこの展覧会が企画されました(パンフレット挨拶より)。県内の彫刻家、造形作家、県内大学学生、県立盲学校児童生徒、さらに特別支援学校、小中学校、高校から出展されています。

 第二高校からは、美術科2年生のカービング「こころのかたち」、1年普通科美術選択の立体造形「これ、なーんだ!?当ててみてね」、1年理数科のフィギュア「空を飛ぶ私」です。

 この作品を制作するにあたって、「触ってみて危なくないか」、「手で触れたときどう感じるか」、「触感でどう伝えるか」、「造形物で何を伝えるか」など、普段なかなか気づくことのない配慮が必要でした。「つたえる」ということは相手のことを思う想像力が大切なのだと感じる学びになったかと思います。

 展覧会開催の日程は以下のとおりです。
★熊本展 平成30年2月6日(火)~2月12日(月)、熊本県立美術館分館
★天草展 平成30年2月23日(金)~3月4日(日)、ふれあいスペース如水館
★不知火展 平成30年3月7日(水)~3月18日(日)、宇城市不知火美術館
※普通科、理数科は熊本展のみの出展です。

1年生静物講評会

 タイヤや土の入った袋を積み上げたモチーフのデッサン、2週間で2枚と、これまでの倍以上のスピードで制作しました。
 大きく、早く、目の前の対象の本質をつかむトレーニングの成果は出たでしょうか?

 今回対話型鑑賞の取り組みの工夫として、前に発言した人の内容について次に発言する人がコメントし、自分の考えを話すという順序にしました。

 このような活動を繰り返しているためか、自分がどこにつまづいているのか、どこまではうまくできているのか、言語化するのに慣れてきたように思います。意見交換も論理的で、相手への配慮もある、いい集団に成長しました。



生徒の感想より
「今回タイヤと袋という二つの課題で学んだことは、まず、ただ見たまま描くだけではつまらないなと思いました。もっと与えられたモチーフの特徴、手触り、硬さなどモチーフのことをよく知ったうえで描くことで表現が広がり、モチーフごとの差をつけることができるので全体感が増すのではないかと思いました。そして、モチーフの中で最も重さがかかっている部分に軸があるんだと理解することで、より形をとりやすくなり、モチーフの存在感が出てくるんだと思いました。」

 この課題は2月の人物デッサンにつなげ、理学療法の先生から「身体の構造を理解し、それをデッサンとして視覚的に表現する」レクチャーを受けます。こちらも楽しみです。

静物画★1年生と2年生

 3学期最初の課題は1年生も2年生も静物画です。
 2年生は「より作家性を高めるデッサンにすること」という指令の元、様々なモチーフを集め、構成しています。





1年生のテーマは「ごっついモチーフ」です。対象の本質をとらえること、構造感、量感、質感を表現することが目標です。






建築家光嶋裕介さんとの合作

 昨年10月に建築家光嶋裕介さんの講演とワークショップがありました。
 ワークショップでは12センチ×12センチの正方形の紙に右から任意の風景を描いていきます。そして、左端は3センチくらい開けておきます。そして、隣の人と紙をくっつけて、隣の右端の絵に合わせて左端を埋めます。すると一枚のながーい絵になります。理数科、2年生普通科文系も行ったのですが枚数が多すぎるので、美術科を紹介します。(理数科は例えば「地下にトンネルを掘る」など、法則を共有すると一致団結するんだなとわかりました。)
 システムの関係上、頭を横にしてみてくださいね。





















一つだけレベルが違う作品が光嶋さんです。
いつか全校生徒でこのワークショップをできたらいいなと思ってます。

新春デッサンコンクール

 12月23日のクリスマスデッサンコンクールに続いて、1・2年生合同で、1月5日「新春デッサンコンクール」を行いました。





 今年もよろしくお願いします。

美術科デッサン講習会

 12月25日から28日は冬季課外。美術科はその午後に、1・2年有志でデッサン講習会を開催しています。2年生の企画運営ですが、授業とほとんど変わらない人数、そしてそれ以上の熱量です。

 冬休みだからこそ、思い切りデッサンできて幸せですね。運動部が毎日トレーニングをするように、美術を志す美術科の生徒たちも毎日頑張っています。
 年末年始はしっかり休んで、楽しんで、心も体もエネルギーを満タンにして、新学期を迎えてくださいね。

この人だかりは・・・


2年生デッサン講評会でした。

どうしたら作品がもっと良くなるか、ディスカッションしていました。

充実しつつも、とても楽しそうでしたよ。

第1回全九州総合文化祭沖縄大会

 平成29年12月15日から17日まで、沖縄で開催された第1回全九州総合文化祭に行ってきました。第二高校からは二人が参加しました。

 会場の沖縄県立博物館・美術館。

 生徒交流会、九州各県から約80人の生徒が参加しています。

 グループで作品鑑賞を行います。

 自分の作品について説明します。また、初対面ですが質問もたくさん出たようです。

 初日の夜は夕食交流会が行われ、和気藹々とした雰囲気で各県の紹介やテーブルでの会話を楽しみました。

 二日目交流会は島草履の制作です。並べるとデザインがつながるのがポイントです。

 沖縄には沖縄県立美術大学もあり、キャンパスも沖縄の空気を感じました。

 九州各県の美術部生徒たちの交流が密に深まった全九州総合文化祭でした。この経験を大いに活かし、また、後輩たちに繋げていってほしいと思います。

油彩画 振り返り

1年生2枚目の油彩は技法研究です。
前回コラージュデッサンしたモチーフを油彩で描写します。
グリザイユという白黒で明暗の調子だけの画面をつくり、固有色を重ねます。そうすると、立体的な絵になります。


次に、逆に色面で下地をつくり、それを活かし描写します。印象派の技法をイメージしています。


 このことによって、二次元で表現する空間とは何かを意識できるようになりました。




 お互いへの批評も冷静かつ論理的になりました。「二つの方法では空気感が全く異なり、ものの距離感にも特徴が見られた。ものとものとの間の色のつながりは美しいと感じた」など、1学期とは感じることも重さが変わりました。
 また、段取りなど気にする意見も多くありました。指導者としてももっと工夫が必要な教材でしたが、まずはやってみる。やってみて考えることの大切さも感じました。

美術科の秋

あと数日で散ってしまいます。
2年生の修学旅行が終わる頃には美棟の風景も本格的な冬になります。

薔薇と交代で、毎年美しい花を咲かせてくれます。

紙立体2

 最近、たくさんの方に「びとろぐ」を見ていただいているように思います。ありがとうございます。
 前回アップした紙立体の帽子、力作ぞろいでしたので、写真を紹介します。
 ここでの狙いはスモールステップではなく、大きな課題に対し、自分たちで解決方法を考え、必要な知識・情報を集めるトレーニングをすることです。ASのテーマ研究と学習の方向性は同じです。美術科では、知識や技能を重ねることと、自分で学ぶ能力を身に付けること、この二つを両輪として捉え、指導しています。

やはり、最初は動物から・・・

ヘッドドレス的な作品にも秀逸なものが多くありました。エリザベス女王の帽子のデザインを手がけられている方も日本人ですね。

物語を感じます。ブラウスの素材感もちょうどいいです。このような、プレゼンに対する細やかな配慮、クリエイターとして大事にしてほしいです。

左右非対称の作品。切り紙を応用して、立体をつくります。立体制作へのアプローチも構造的なものから、折り紙の応用まで、さまざま。美術科は40人がそれぞれの学びをして、切磋琢磨しています。

 民族衣装の応用です。女子の作品はどれも花嫁衣装に見えてしまい、写真を撮っていて勝手にしんみりしたことでした。
 どんどん作品を紹介したいと思います。