「命を大切にする心」を育む教育講演会

 「命を大切にする心」を育む教育講演会が今年度も実施されました。今回は水俣病の教訓を伝える高等学校訪問事業ということで、熊本県水俣病保健課の山内様より、水俣病の発生原因や症状、どのような被害があったのか、水俣病から学ぶべき事は何か等についての話をしていただきました。小学校5年生時に学習をしている内容ですが、工場排水に含まれるメチル水銀をプランクトンが食べ、それを魚が食べ、またそれを人が食べるという食物連鎖の過程で発症した水俣病は、当時奇病とされ激しい差別を受けたこと。公害は起こる前に防ぐ。もし公害が発生した場合は被害が広がらないようにすることが大切だということを確認することができました。
 

 山内さんのお話の後、水俣病資料館で語り部をされておられる杉本肇様に「水俣病患者家族に生まれて」という演題で講演をしていただきました。火傷や怪我をしても水俣病の影響で痛みがわからない家族に衝撃を受けたこと。小学5年生の頃に両親とおじいさんが同時に入院となり、5人兄弟で必死に生活していたが、全国からの支援者が来てくれて安堵したこと。そういった中で知った母の偉大さ等について話をしていただきました。
 「水俣病になった現実を受け入れ、水俣病は授かったものと『覚悟』を決めていた両親が、子どもたちに『希望』を託し、夢を諦めず、家族で漁をするという夢を叶えた。勉強でも仕事でも『魂』を込めて取り組まないといけない。」ということを障がいを持った両親から教えられたとも話されました。それを受けて生徒たちには覚悟を決めて、希望を持ち続けて、今できることをを込めてやってほしいというメッセージを伝えていただきました。水俣病は起こってしまったこと。そこから学んで、将来に繋げていってほしいとのことでした。生徒たちの中には、就職で県外に出て行く生徒も多くいます。水俣病についての正しい知識を持ち、自信をもって話ができればと思います。