夏雲の湧きてさだまる心あり (^^♪
梅雨が明けた途端、太陽がぎらぎらと照り付け、積乱雲(俗に入道雲)*1がモクモクと立ち昇っていました。夏本番です。 ところで、皆さん、青空にくっきりと力強く湧き上がる入道雲を見てどのように感じますか。
このように、俳句の夏の季語になっている 入道雲には、誰もが特別な記憶や思い入れがあるのかもしれません。そういえば、この3月に卒業した生徒が3年の時に使っていた国語(現代文)の教科書の表紙に入道雲の写真が載っていたことも思い出しました。(卒業生の皆さん、懐かしくありませんか?この教科書!) さて、表題の「夏雲の湧きてさだまる心あり」、これは本県出身の俳人である中村汀女*2によるもので、83歳の時に母校の第一高校の創立80周年を記念して建立された句碑除幕式で披露された俳句です。母校においでの汀女先生が、次のように在校生に語りかけられたようです。【同校の80周年記念誌からの抜粋】 「・・・白い湧きたつような夏の雲を見ながら(今は東京に住んでいますが)、私の心の一隅には熊本の夏雲があります。あーもう夏になったなあ、といふ気持ちの中に、何か心に期するものがあるはずだ、思ひ立つことは実行することだ、そういふ気持ちが湧くといふ気持ちでしょうか・・・」
夏休み中に、空を見上げて入道雲が目に入ったら、この句のことを思い起こしていただけると嬉しいです。 *1積乱雲は、地上付近と上空の温度差がもたらす大気の不安定によって生じる雲で、その高さはゆうに10キロメートルを超え、成層圏まで達することもある。大雨や雷、竜巻など激しい気象の変化を伴うことが多く、俗に雷雲と呼ばれることもある。積乱雲は条件が整えば季節に関係なく発生する。一方、入道雲は夏に発生した積乱雲を指す場合が多い(入道雲は夏の季語)。なお、入道雲の「入道」とは仏道に入ることを意味し、入道雲のモクモクした部分の一つ一つが坊主頭のように見えるところから名付けられたといわれている。 *2中村汀女(なかむら ていじょ) 1900(M33)年~1988(S63)年、熊本県出身の昭和を代表する女流歌人、1980(S54)年文化功労者、1984(S59)年日本芸術院賞受賞、名誉都民、熊本市名誉市民 |