【授業の取組(政治・経済)】防災学習①(水ろ過(天草市水道局訪問)・避難所運営ラーニング)

 3年生の「政治・経済」の授業では、10月から1月にかけて「実践型防災学習」に取り組んでいます。いつどこで自然災害に遭遇するか分からない昨今の状況を考え、自分たちに出来ることを考えて実行できる力を身につけられるようにしています

 図書館の田中先生、理科の濱田先生、防災主任の村嶋先生に協力をいただきながら、防災学習の前半部分で学んだ内容を紹介します。

 まず、過去に熊本で起こった災害を調べてレポートにまとめたり、天草市が発行している資料をもとに、オリジナルのハザードマップを作成しました。

 次に、災害時に停電や断水になっても水を確保する(ろ過)方法を体験しました。また、水の専門家である天草市水道局の皆様にご協力いただき、ろ過した水の水質調査をはじめ、浄水場や天草市所有の給水車などを見学させていただきました。

 そして、卒業後、公務員として災害時に住民対応をする立場になることを想定し、避難所運営ラーニングや、避難所で起こりうるケースをグループ討議しました。

 

◎水ろ過装置製作

材料:ペットボトル・脱脂綿・ガーゼ・砂・砂利・活性炭

ろ過する水:入浴剤入り水(お風呂の水を想定)・プールの水・池の水・海水

性質調査:pH測定・硝酸銀水溶液(塩素の有無を測定)

 ペットボトルに砂などを層になるように詰め、各自が学校周辺で得ることの出来る水を集めてろ過しました。ろ過の前後でpH測定と硝酸銀水溶液を用いて塩素が含まれているか調べました。

 参考に、日常生活の中で使用する洗剤や飲料などもpHを測定しました。

 

 

◎天草市水道局訪問

 11月9日(火)に、天草市水道局を訪問しました。

 まず、城の平浄水場を見学させていただき、市民が飲用している水がどうやって作られているか説明を受けました。さらに、漏水箇所を見つけるための器具の使用体験をさせていただきました。

 また、市が所有されている給水車を見せていただきました。平成30年7月の西日本豪雨時に、愛媛県宇和島市に給水活動に行かれたこと、また、天草地域でも自然災害などにより断水が起こった際には出動したことを教えていただきました。自分自身が卒業後公務員として仕事を始めた際に、災害時に出動する姿を想像し、その任務の重大さを自覚しました。

 ちなみに、学校で採取した水4種類(ろ過前後)を調査していただいた結果は・・・

検査項目:「濁度」

検査結果:「池の水を除いては水道法水質基準に適合」

 ということでした。今回の検査項目はあくまでも「濁度(にごり)」の検査のみですので、飲用に適しているかどうかは判断できませんでした。しかし、水の成分が分からないので「ろ過装置を通したから飲用可能だ!」と安易に考えるのは危険だと言うことが分かりました。

 

◎避難所運営ラーニング

 防災主任の村嶋先生のご指導の下、避難所運営ラーニングを行い、自分が運営側だったら何に気をつけなければならないかを考えました。また、「配給された食糧が避難者の数より少なく、誰から優先に配布するべきか」というケースを想定し、グループ討議を行いました。

 「正解のない問題」を考えるのはとても難しいですが、起こりえるケースです。正しい答えはありません。しかし、「その状況における最善策を、様々な人の立場で考えること」が大切だと思いました。

 

 防災学習後半では、避難所に指定されている施設に実際に足を運んだり、自分の力で火を熾したり、災害食を作ります。

  

参考文献(天草工業図書館にあります)

『災害に役立つスキルを手に入れる!もし時サバイバル術Jr.』 2018年 太郎次郎社エディタス

『自衛隊防災ブック2』 2019年 マガジンハウス

『インフラってなに?①水道~飲み水はどこからくる?~』 2017年 筑摩書房