主権者教育Ⅰ・生活体験作文作成
5月23日(木)は、主権者教育Ⅰ及び生活体験作文作成にあたっての解説がありました。
〇主権者教育Ⅰ
日本では、成人年齢は平成28年(2016年)6月より18歳に引き下げられました。8年になります。
18歳という成人年齢が高いか低いかは、それぞれの人の感覚があるかと思いますが、世界各国の「選挙権年齢」を見てみますと、高い国ではアラブ首長国連邦の25歳、低い国ではオーストラリアの16歳と、結構幅があります。
「難しい…」「よくわからない…」個人の力では政治に影響を与えられないのでは?と生徒は思っているかもしれませんが、若い人の声をもっと政治に!ということで、選挙権年齢が満20歳以上から満18歳以上に引き下げられました。
ちなみに、2017年の衆議院選挙投票率をみると、熊本県は57.02%、うち18歳投票率は51.47%、19歳投票率は32・93%という結果になっています。この数値を高いとみるか低いとみるかは、個々の感じ方によって変わるかもしれませんが、その一方で、2022年に行われた熊本県議会熊本市選挙区の補欠選挙では、投票率18・57%、当選者を有権者全体でみると、5.79%と4.82%の得票しかありませんでした。
昨年4月の選挙の結果をみていきますと、熊本県議会選挙水俣市区の有権者数19,234人、55.55%の投票率で、A候補が5384票(51・1%)で当選、B候補が5159票(48・9%)で落選といった結果で、実に8691人もの棄権者が出ていることになるのです。
水俣市議会議員選挙の定数は16人です。立候補者は18人。投票率66・02%で、当選16人目の得票率は512票、次点の落選者が504票。実にわずか8票差でした。
「権利をもつ」とは、政治について重要な役割を持つ事、「選挙等に参加する権利をもつ」ということです。
有権者としてあるべき姿勢とは、人任せにせずに、選挙を通じて積極的に政治に参加していくこと、これは権利であり、国家・社会の形成者としての責務であるということなのです。
選挙権について考えることで、探究する力を育み、主体的な学びで夢(願い)を実現するためにも、主権者とは自分たち自身であることを自覚して、18歳になったら、あるいは18歳になっている人は、次回の選挙までによく考えて投票所に行ってほしいと願います。
〇生活体験作文作成
生活体験発表会とは、正式には全国定時制通信制生徒生活体験発表大会と言います。教育支援団体の全国高等学校定時制通信制教育振興会(公益財団法人)が主催する発表大会です。同法人の設立は1964年で、以降毎年開催され続けており、2023年時点で70回目になる歴史のある大会です。定時制や通信制で学ぶ生徒がお互いの体験を発表し、今の自分の学校生活うや自分自身に誇りを見出すための行事として開催されています。
何のために発表するのかというと、定時制・通信制高校に通う生徒の中には不登校・いじめの経験者や、家庭内での問題などの不安を抱えている生徒も多いです。自身の体験を語ることは、自分の心の整理になりますし、同じような体験をしている人への「私だけじゃなかったんだ」という勇気付けにもなります。
これから定時制・通信制高校への入学を考えている人にとっては、この発表を通して、定時制・通信制高校で学ぶとこんな風になれるんだなというモデルにもなっています。
どんなことを発表するのかというと、最近の発表の中から、ある公立の通信制高校で学ぶ生徒の発表を一部引用したものを見てみますと、「まわりと同じでなけらばいけない」と思っていた中学時代とは、全く違う世界があったそうです。それからは、あまり人目を気にしなくなり、「人と違ってもいいんだ」と思うようになり、だんだんと気持ちが落ち着くようになってきたそうです。今、通信制で学んでいる自分が、中学校の頃の自分に会えるとしたら、こんなふうに言ってあげたいということです。「学校に行けないからといって、自分を嫌いにならないで。人より少し遅くなったけれど、スタートはいつでもできるから、ゆっくり学んでいいんだよ。」と。
入学したきっかけがとても素直に書かれている所が、自分自身に対して誠実だと思います。「知り合いに会わなくてすむから」という所は、見方を変えれば心機一転して新しい自分をつくっていきたいという前向きな気持ちも感じられますね。
辛かった体験を人に話せるようになると、その体験が自分の中で消化できてクリアになります。ですが、思い起こすのがまだ苦しいひとは無理に書く必要はありません。できる範囲でやってみましょう。
作文作成をとおして、探究する力を育み、主体的な学びで夢(願い)を実現するためにも、しっかりと自分を見つめなおし、今後の自分の姿を想像しながら、少しずつ成長してほしいと願います。