2019年9月の記事一覧

あとから来る者のために ~ 教育実習

 「先生と呼ばれる喜びと、その責任の重さを感じた二週間でした。」と教育実習生の水町さん(平成音楽大学音楽学科4年)が職員朝会で挨拶されました。9月9日(月)から20日(金)まで2週間、水町さんは教育実習に取り組まれました。19日(木)の2限目、1年A・B組(電子機械科)の音楽選択者対象に研究授業が行われました。「ボディパーカッションでリズム表現を工夫しよう」という主題で、生徒たちは楽器ではなく自らの身体の部位を叩きリズムを表現します。四つのグループに分かれての発表では、それぞれ創意工夫した表現がありました。生き生きと活動する生徒たちの様子を見て、水町さんの指導力の高さを実感しました。

 教員免許を取得するには、実際に学校で教育活動を体験する「教育実習」が原則必要となっています。教員になるために誰もが通る関門と言えます。母校で実習することが一般的で、水町さんも御船高校普通科芸術コース音楽専攻を卒業し、現在、平成音楽大学音楽科でファゴットを専門的に学んでいます。生徒たち、特に音楽専攻者にとっては先輩が教育実習に来てくれたことは大きな影響を受けたことでしょう。音大の学生として、音楽の面白さや奥の深さ等について熱心に伝えたもらったことは、学校として誠に有り難いことです。

 また、教育実習生の存在は、教職員にとっても貴重な刺激となります。自らの若き実習生の日々を思い出し、教師として初心に返ったような気持ちになります。さらに、教育実習生が高校生だった頃に指導した職員にとっては更に感慨深いものがあります。水町さんの担任は残念ながら他校へ異動していますが、副担任、または教科を指導した職員が数多く留任しています。当時、英語を教えたS教諭は、「本当に立派に成長していて、嬉しかった」と私に思いを伝えられました。まさに、論語で云う「後生畏るべし」です。年若い者は努力しだいで、どんなにも優れた人物になりうることを大人は畏(おそ)れなければならないのです。「出藍(しゅつらん)の誉(ほま)れ」という言葉もあります。

 高校生が進学し、母校へ教育実習に帰ってきて、改めて教師という仕事の魅力を認識して、教職を目指していくというのは理想の流れなのです。私たち教師は、自分よりも「大きな者」をつくっていく使命があります。

 教える者が一番教わります。水町さんも教育実習を通じて、音楽教育についてさらに深く学んだことでしょう。この経験を原動力に教職を目指していってほしいと期待します。そしてまた、フレッシュな教育実習生の姿に自分の将来を投影した御船高校生が幾人もいたであろうことを信じています。