校長室からの風

近づく高校総体

 「コミュニケーション!コミュニケーション!」と部員同士が声を掛け合い、楕円のラグビーボールを回し、走っています。ラグビー部の練習は見ていて迫力があります。隣のサッカー部でも、シュート練習に多くの部員が交代で流れるように取り組んでいます。次々とゴールネットに突き刺さるボールは勢いがあります。また、柔道、剣道、なぎなたの各道場では邪魔にならないように隅で見るのですが、私の姿を目にすると生徒がパイプ椅子を持って走ってきます。「お客さんではないから、気を遣わないように」といつも言っているのですが、その迅速な対応は有難く思います。

 体育部活動の練習を見て回ると、日ごとに熱を帯びてきていることがわかります。早朝、また放課後、自主練習として校内を走っている生徒の数も増えました。高校総体が近づいています。一部の競技は5月22日(土)~23日(日)に先行実施、そして本番は28日(金)から30日(日)です。

 陸上競技の練習風景はチーム競技と異なります。トラックやフィールドの種目毎に数人が固まり、黙々と反復練習を行っています。本校はやり投げ、円盤、砲丸などの投てき種目を専攻している生徒が比較的多いのが特色です。中には、中学時代から取り組んでいるスペシャリストもいます。彼らは一投一投、確かめるように投げ、一定のインターバル(間隔)を置くトレーニングを行っています。小休止の時に言葉を交わすと、皆、高校総体そして南九州大会、さらには全国高校総体(インターハイ)への思いを語ってくれます。恵まれた練習環境がある西高で陸上競技に打ち込みたいとの気持ちで、球磨郡はじめ遠隔地から本校を志望してきてくれた生徒が幾人もいます。

 高校3年間と言いますが、多くの生徒にとって部活動に専念できるのは2年数ヶ月です。大部分の生徒たちは3年の高校総体を区切りに部活動を退き、入試・就職の進路対策に移行することになります。3年生は今、「時間は有限だ」ということを実感していることでしょう。仲間と過ごす限られた時間の集大成が高校総体と言えます。

 5月15日(土)に熊本県が梅雨入りしました。異例の早さです。雨天が続くと戸外での練習に大きな支障が出てきそうです。そして、より心配なことが新型コロナウイルス第4波の広がりです。5月16日(日)から本県は蔓延防止重点措置の対象となりました。この困難な状況の中、感染対策を取りながら、高校総体で実力を発揮できるよう、各部活動で創意工夫が必要となります。

 2年ぶりの高校総体に向け、生徒たちをどう支援していくか、私たち教職員に大きな責任が求められています。

            体育大会での部活動対抗リレーの様子