上天草プロジェクトの活動の様子をお伝えします
上天草プロジェクトⅠ~先進出前講座②「デザインの基礎」~
11月の上天草バザールでは、中間発表としてポスター展示を行います。
文字の大きさや色彩など工夫をし、生徒の伝えたい内容をしっかり伝える技術を身につけさせるために、先進出前講座②「デザインの基礎」を実施しました。
本日の講師の先生は、
崇城大学芸術学部デザイン学科岩上孝二教授です。
「デザイン」について本題に入る前のアイスブレイク。
デザイナーを目指す者に求められる力である「社会性」について話されました。
社会性を身につけるためには、「あいさつ」と「時間を守る」。
2つとも社会で通用するために必要な力でもあります。
さて内容です。
生活の中にあるデザイン。社会の中にあるデザイン。
デザインは「生き物」。時代の流れを表現する「生き物」です。
では「デザイン」とは何でしょうか?
デザインとは『頭の中のイメージをどのように形(視覚化)にするのか』ということだそうです。
良いデザインとは何でしょうか?
デッサン能力でしょうか?
カッコイイデザイン、目立つデザインでしょうか?
表面の体裁を取り扱うことではなく、物事の本質を見極め、目的・シーズとニーズ・魅力を分析して可視化することが「良いデザイン」「良い結果」につながるのです。
※シーズ(seeds)とは、顧客の求めるニーズ(needs)に対して、企業が新しく開発、提供する特別の技術や材料のこと。【デジタル大辞泉より】
デザイナーになるためには…。
才能<感性=気づく力
気づく力とは、人のために・社会のために、気づいたことを口にすることから始まります。
その気づいたことを発信する手段がデザイナーの仕事です。
『気づく』
美しい、楽しい、驚き、面白い、美味しい、喜び、新鮮・・・
自然・人・社会の中から気づくことが大切。
『思考・分析』
気づいたことを、なぜ?どうして?こうすればいいかも!?と考えることが大切。
『表現・アレンジ・コーディネート』
組み立てて具現化する。情報を集めるだけでなく、集めた情報を編集することが大切。
『評価』
自己評価・他者評価。客観的に評価してもらうことが大切。
これらを上昇スパイラルしながら精度を高めていくことが大切なのです。
デザインとは「インフォメーション」である。
デザインとは「コミュニケーション」である。
デザインとは「本質の視覚化」である。
今回の上天草バザールの中で行われるポスター展示。
本講座では「本質の視覚化」について学びました。
1年生の皆さんが中間報告会で地域の方々に伝えたいことを整理しましょう。
そして、「伝える」ためのアイデアや工夫を色々と試行錯誤して、ポスター作品を作ってみましょう!
校外研修~天草高校ポスター報告会~
今回の上天草プロジェクトの取り組みとして、天草高校の生徒さんによる『ポスター中間報告会』に参加しました。
天草高校は、平成29年度より「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定校になっています。
このSSHとは、将来の国際的な科学技術関係人材を育成するため、先進的な理数教育を実施する高等学校として文部科学省が指定するものです。
ASⅠ・Ⅱの活動をとおして研究してきた成果をポスターにまとめ、生徒さんが発表していきます。
上天草プロジェクトでも、11月9日(土)にオープンする『上天草バザール』でも、上天草プロジェクトⅠの中間報告として、各班に分かれてポスター展示を行います。
ポスターを見学することで、自分たちの考えや思いをどのように表現したら良いかを学べたと思います。今回作成するポスターにそのアイデアをたくさん盛り込んで下さい。
ぜひ上天草バザールにお越しいただき、生徒たちの研究の成果をご覧ください。
地域理解講座⑤「上天草の地場産業を知る(内航海運業)」
本日の上天草プロジェクトでは、地域理解講座⑤「上天草の地場産業を知る(内航海運業)」が行われました。
前回の地域理解講座でもありましたように、上天草は水産業が盛んな地域ですが、今回は、海運業がテーマです。
今回の講師は、
株式会社雄和海運 浦山 秀大 様
上天草市産業政策課 係長 小松野 洋己 様
上天草市産業政策課 主事 宮崎 克也 様
でした。
日本は資源が乏しく、海外からの輸入に頼る割合が非常に高いです。
海上輸送は日本の貿易の重要な役割を担っています。
また、国内の約4割が「内航海運」であることも説明されました。
生活や産業に必要な物資の輸送に海運が重要なのです。
さらに、内航海運は環境に優しく、今、大量輸送は陸路から海路へとシフトしています。
上天草市の内航海運業の現状をみてみると、
※熊本県に占める上天草市の割合
事業者数 101社/169社
船舶隻数 148隻/204隻
船員数 887名/1186名
上天草市は熊本県の内航海運業を支えているんですね。
しかし、現状は「人手不足」「若手不足」という課題を抱えています。
船員の年齢構成割合をみても、50%以上が50歳以上という現状です。
この状況が続くと、5~10年後の若手不足が心配されます。
今回の講座では、船員の仕事について紹介がありました。
船長を中心とした、船内での様々な職種や仕事の内容。
仕事のサイクルでは、4時間勤務・8時間休憩などの、初めて知ることばかりでした。
特に、船員と他産業との給料を比較されましたが、高い水準にあることが分かりました。
船員の魅力とは・・・
「一般的な陸上職より給与がいい。」
「まとまった休暇が取れる。」
「若い船員は、引く手数多。」
「通勤地獄がなく、色んなところへ行ける。」
とのことです。
それでは、どのようにして船員になることができるのでしょうか?
1.大学へ進学し、3級海技士(航海・機関)を取得する。
2.海上技術短期大学校へ進学し、4級海技士(航海・機関)を取得する。
3.海技学院へ進学し、6級海技士(航海・機関)を取得する。
資格を取得し、船員として就職し、実務の中で経験を積むことが必要になってきます。
上天草市を支える産業のひとつでもある「海運業」。
熊本県、日本の産業の発展を担う「海運業」の中心が、私たちの住む上天草市にあったこと。
生徒たちも新しい発見。地域の魅力を感じ取れたのではないでしょうか。
今回も、積極的に質問をしていました。
「船員には、どのような人材が求められるのか?」
→船内は狭い世界。コミュニケーション能力が必要。
「高校時代に学んでおくことは何か?」
→航海技術など専門的な知識や技術が必要。学力は大切。
「船での生活では、どのような食事が出されるのか?」
→乗船中は魚が多いかもしれないが、陸上では肉など好きなものを食べている。
「船員の職種で給料が異なるのか?」「船酔いは慣れますか?」
今回もたくさんの質問が出され、丁寧にお答えいただきました。
ちょっとしたことでも疑問を持ち、積極的に質問して知識を増やすことが大切ですね。
地域理解講座④「上天草市の水産振興について」
本日の上天草プロジェクトⅠ。
地域理解講座④「上天草市の水産振興について」を行いました。
本日の講師の先生として、
上天草市経済振興部農林水産課
課長 水野 博之 様
参事 桑田 桂 様
主事 渡辺 孝二 様
の3名の方々にお越しいただきました。
最初に、水野様より上天草市の水産振興についてお話しされました。
上天草市は、有明海・八代海に囲まれた地域であり、観光業だけでなく、水産業にも力を入れている地域です。
上天草市の有名な海産物をご存じでしょうか?
「マダイ」「カザミ(ワタリガニ)」「ハモ」「車エビ」が有名です。
特にハモについては、キラキラと輝く姿から『大矢野黄金のハモ』として、関東関西の市場でも高い評価を受けています。
また漁獲量については、「コノシロ」「タコ」「カタクチイワシ」が上天草市の漁獲量の約半分を占めています。
しかし、コノシロ、カタクチイワシについては、年々漁獲量が減少している状況だそうです。
上天草市では養殖業も盛んです。
海水温の寒暖差が激しいため、出荷までに時間がかかると言われてますが、時間をかけた分、身がぎっしり詰まっていて絶品だそうです。
しかし、課題もいくつか抱えています。
まず「人手不足」が挙げられます。人口減少・高齢化に伴い、養殖業者の数も減少傾向にあるそうです。
次に「エサの管理」。畜産はエサの量を目で見て判断することができます。しかし、魚は海の中で育てるので、容易に判断することができません。えさを与えすぎると、食べきれなかった分のエサは無駄になります。エサが少ないと痩せてしまいます。このバランスが難しいそうです。
そして「赤潮被害」。上天草市でも赤潮被害の報告があったそうです。自然を相手にすると予想できないことが起こるものです。
現在生徒たちが取り組んでいる上天草プロジェクト。地域の課題に対して、解決に向けて取り組むか。水産業の課題を解決するためのアイデア生まれてきそうですね。
また、本日の授業のもう一つのテーマに「質問をする」がありました。
ちょっとしたことでも質問をしてみることを課題にしてみました。
生徒からも、
「どうして漁獲量が減ったのか」
「赤潮対策の手立てについて」
「実際、水産業は儲けるのか」
など質問がありました。
これらの質問に対し、桑田様、渡辺様よりご回答いただきました。
本日は、上天草市の産業についてお話しいただきました。
上天草市は観光資源豊かな地域です。
しかし、観光のメインである上天草の美味しい魚料理を楽しんでいただけるのは、水産業などの第1次産業が観光業の「土台」としてしっかり支えているからです。
観光客をたくさん呼び込むアイデアを考えるとともに、地元の産業界の活性化について取り組むことも大切だと感じることができました。
上天草プロジェクトⅠ~フィールドワーク~
現在、「第7回高校生ビジネスプラン・グランプリ」へ出品するビジネスプラン作成に取り組んでいます。
1年生を17の班に分け、それぞれ地域の課題を解決するプランを考えました。
今回の上天草プロジェクトでは、3つの班が、自分たちが地域の課題と思うことについて解決を目指してフィールドワークを行いました。
今回のフィールワーク先は次のとおりです。
・藍のあまくさ村(藍の村観光株式会社)
・上天草市役所企画政策課
・上天草市役所産業政策課
あまくさ村では、商品の開発や販売について教えていただき、上天草市企画政策課では、バスを中心とした公共交通の現状と町づくりについて。産業政策課では、市の特産物やブランドについて、時間をかけて教えていただきました。
商品の開発や販売についてのインタビュー(あまくさ村)
公共交通の現状と町づくりについて(上天草市企画政策課)
市の特産物やブランドについて(上天草市産業政策課)
ここで学んだことを活かして地域課題の解決につなげていきます。
地域協働だより第2号
「地域協働だより」第2号が発行されました。
今回は、文部科学省より指定を受けた20の高校マップを掲載しています。また、今後の上天草プロジェクトについて掲載しています。
全国に先駆けた授業を通じて、地域課題の解決を行っている高校20校。上天草高校は全国の注目の的になっています。
上天草プロジェクトⅠ「地域との語り合い~私たちの地域のハナシ~」
8月27日(火)。地域住民の皆さまにお越しいただき、上天草プロジェクトⅠ「地域との語り合い~私たちの地域のハナシ~」が行われました。
今回の「地域との語り合い」は、本校生徒が、生活する地域の悩みや困りごとを地域の住民と直接語り合うことによってその悩みや困りごとに「気付く」または「発見する」といった体験により、それをどのように解決していくかなどを探求するきっかけとするものです。
生徒と地域の方々が「地域の課題を知る」をテーマにグループ協議を行いました。
「上天草で生活をするなかで、困り事や不便なことは?」
「上天草にはこうなって欲しいのに現状ではそうでないコトは?」など、ブレーンストーミングを行いました。
ふせんに、アイデアを一言書いて、理由とともに貼り付けます。
出されたアイデアやご意見を見る度に、生徒たちは現状の訴えを知ることができました。
その訴えを感じた生徒は、課題を認識することと共感することができました。
生徒たちからも、若者目線で色々とアイデアを出し、地域の方々も思いを知ることができたようです。
グループ協議で提案されたアイデアについて、生徒が発表をしました。
「自然豊かな上天草。たくさんの観光スポットをPRしなければならない」
「アウトドアなアクティビティはあるが、雨の日でも楽しめる施設が必要だ」
「バスや鉄道など、交通インフラを整備すると、観光客が増えるのではないか」
「防犯上、街灯を増やして欲しい」などたくさんの提案をいただきました。
上天草高校生の若い力で、少しでも解決するきっかけを作って欲しいという地域の方々の願いがこもっています。
地域の方々からも「上天草高校の生徒は地域の宝」と応援のメッセージもいただきました。
最後は、参加者全員で「上天草はひとつ。頑張ろう!」と声を上げました。
今回提案されたアイデアなどをもとに、新しいビジネスの創造に向けて2学期も頑張っていきます。
第2回コンソーシアム委員会
地域との協働による高等学校教育改革推進事業にかかわる「第2回コンソーシアム委員会」が開かれました。
会議には、コンソーシアム委員である、上天草市、観光協会、農業・漁業関係、地域中学校、熊本県教育関係および上天草高校職員が出席しました。
会の内容としては、1学期中に行った「上天草プロジェクトⅠ「ビジネスプランを創ろう!」」の報告やプロジェクト学習で行われるフィールドワークなどへの協力のお願いがありました。
特に協議の中では、本校のカリキュラム開発等専門家である元田先生より「ロジックモデル(案)の提示・説明」「地域人材に求められる能力の共有」「地域人材に育成に求められる能力の育成方法の検討」について話されました。
グループに分かれての協議では、地域における課題や人材育成の手段とその方法についてグループでブレーンストーミングを行いました。
「地域の魅力を発信できる」
「地域の課題を発見できる」
など地域に求められる能力が必要であると感じられました。
その能力を身につけさせるためにも、
「解決に向けて動く手立てを探る力」
「自らの手で情報を入手し、情報を活用する力」
が必要であると参加した先生方が共感し、今後の展開について様々なご意見をいただきました。
第1回運営指導委員会
地域との協働による高等学校教育改革推進事業における第1回運営指導委員会が行われました。
参加された委員の方々は、
運営指導委員から、
東海大学九州キャンパス長 荒木朋洋様
熊本ソフトウェア株式会社代表取締役社長 足立國功様
熊本大学熊本創生推進機構地域連携部門 田中尚人様
熊本日日新聞社上天草支局長 大倉 尚隆 様
県教育委員会、上天草高校関係者が参加しました。
今回の協議では、田中様を座長とし、「上天草高校の今後の取組の方向性」について協議を進行していきました。
生徒が「上天草高校を卒業して良かった」と思える未来を委員で共有するために、様々なことを「自分事」として考えました。
高校生が伸ばすべき大切な「3つの力」とは、
【考える力】地方創生の先に何があるかを自分の頭で考える。
【やってみる力】先のことを考えすぎて先に進めない。やってみて失敗することも経験。
【振り返る力】やったことを自分で評価することができる。
この3つの力について、高校生と一緒に協議する必要あるとのご意見をいただきました。
また、高校生自身がこの取組を十分に理解し、中学生に説明できることができれば、自らの達成感を味わい、取組に弾みがつくのではないかというアドバイスをいただきました。
そして、上天草の「中学生が入りたい」「保護者が入れたい」と思うような、上天草高校の魅力化が必要であり、「上天草高校で大学進学」や「地元に就職できる」「上天草高校生を採用して良かった」という声を発信する必要があるとご助言いただきました。
運営指導員の方々からも貴重なご意見をいただきました。
高校生が地域のためとして学習活動を行っているが、どの社会でも通用する技術を習得するための活動であることを理解させると、もっと効果が高くなるという期待感を語られました。
また、大人の都合で生徒振り回していないかを考え、生徒の本当のニーズがどこにあるのかを考えるべきであると、我々職員がきちんと分析・改善を行っていく必要があるとご助言いただきました。
そして、他の高校と連携して取組、上天草高校が発信源である「天草はひとつ」で取り組めるように期待の言葉をいただきました。
まだまだスタートしたばかりのこの教育活動でありますが、地域の方々、各産業界からの大きな期待を感じています。生徒のために上天草高校ができることを捉え、生徒の成長につながる取組を行って行きます。
上天草プロジェクトⅠ~収支計算の演習およびプランの作成~
本日の上天草プロジェクトⅠは、前回の日本政策金融公庫様の御講演の延長線上にある「収支計算の演習」と「プランの作成」についてです。
前回のお話でもありましたが、ビジネスのヒントは【誰が】【困っていることは】【解決するためには】でした。
アイデアのタネを花咲かすためには、やはり『お金』が必要です。
自分がやろうとするビジネスにはどれくらいの『お金』が必要なのかを把握することはとても大切なことです。
今回の上天草プロジェクトでは、より現実味がある内容となりました。
売上高の計算方法。売上原価の計算方法。人件費や家賃、広告宣伝費やその他の経費など支出額の計算をした結果いくらの利益が出るのかをシミュレーションしてみました。
情報会計科の生徒は簿記の授業で聞いたことがあるキーワードでしたが、他の生徒は初めて聞く言葉ばかり。実際のお店の経理について、分かってもらえたでしょうか?
ビジネスプラン・グランプリでは、このような経営に関する知識も求められます。
ビジネスとお金。とても大切なつながりですので、日頃から意識するようにしましょう。