寄宿舎

2025年5月の記事一覧

男子棟 点呼シリーズ2025①

4月に新入生を迎え、在校生は一つずつ学年が上がりました。早速、上級生としての自覚を垣間見る出来事が2つあったので、点呼で紹介しました。

一つ目は阿蘇から来ているO君のことです。

寄宿舎生は毎週土日を自宅で過ごし、日曜日の午後から寄宿舎にもどってきます。たいていの生徒は単独で寄宿舎に戻ってくるのですが、O君は自力で帰舎することができず、昨年度は保護者に送ってもらっていました。何度も単独で帰舎するように言ってきたのですが、なかなか実行に移すことができないでいました。ところが、今年度に入り最初の帰舎日にいきなり自力で戻ってきたのです。

O君は経験のない事には、なかなかチャレンジしようとはしない生徒です。まったく練習することなく、なぜ単独帰舎ができたのか?本人に聞いてみると、「まあ、2年生になったし、このままではヤバイと思って(笑)」と答えてくれました。私が説得しても全く動こうとしなかったO君が、いとも簡単に自分の行動を変えたのは、上級生になったという自覚がなせる業だったのです。とても素晴らしいことだと思ったし、人というのは、自分自身が本気で変えようと思えば、行動は変えられるものだということを改めて思い知らされました。

 

二つ目は、荒尾から来ているU君のことです。

寄宿舎では食事の配膳は生徒が行います。通常は15分程度で終わる配膳ですが、1年生が不慣れなこともあり、いつもより多くの時間がかかっていました。そのため、食事開始の時間が遅れ気味になることがありました。その状況を見ていた2年生のU君が「配膳に時間がかかるので、配膳開始時間を5分早めてもいいですか?」と相談に来たのです。私は、自主的にそういう提案をしてきたことがとてもうれしくて、一も二もなくOKを出しました。おかげで、次の食事は時間通りに始めることができました。

私はこのことを次のように紹介しました。「 本当の賢さというのは、こういう行動をとれることです。つまり、①状況を客観的に把握し、②解決法を考え、③実際に行動に移せることが、社会を力強く歩むための知恵となるのです。世の中の大抵の事には正解はありません。あるのは自分の判断と行動だけです。U君は今の配膳の状況が良くないことに気付き、自分なりの対策法を考え私に提案するという行動を取ることができました。実に素晴らしい。」

 

この二人の行動を振り返ると、寄宿舎や学校での学びが主体性を育んでくれたものと感じました。日頃の淡々と繰り返される営みの中で、生徒は様々なことを感じたり考えたりしているのだなと思います。改めてひのくに生の力を確認する出来事となりました。