羅針盤 夢を持って、世界とつながれ

校長室より

平成28年度 第3学期 始業式 校長講話

平成28年度 第3学期 始業式 校長講話

「挑戦の気概」

平成29年1月10日(火)


 挑戦の数だけ、成功があります。偉人と呼ばれる人たちは、誰よりも「挑戦」をした人たちです。何かに迷ったとき、自分を奮起させたいときに、彼らの「言葉」はきっと役立つはずです。


●「今度も立派に乗り越えてみせるぞ。朝の来ない夜はないのだから。」
(吉川英治/作家)
 誰だって苦しい日々がある。それを乗り越えていくことで、人は成長する。だから、いつも吉川英治の小説には、「今度も立派に乗り越えてみせてほしい」との願いが込められている。『宮本武蔵』を読んで、自殺しようとした人が思いとどまったという逸話が残されている。
 吉川が小説家として一本立ちを決意したのは、関東大震災を経験することによってであった。たくさんの人が死に、当時吉川が勤めていた新聞社も潰れた。そのなかで生き残った者として、人々をそして自分を励ましていこうと決意したのだ。吉川の小説には、それぞれの登場人物の人生への賛歌がある。見方を変えれば、一生懸命に生きているみんなを「頑張れ」と応援している。
 
●「やってみなはれ。やらなわからしまへんで。」(鳥井信治郎/サントリー創業者)
 外国のウイスキーに学んで成功したサントリーだが、その後、本場のスコッチに負けない味で評価を伸ばした。成功の原因の大本は、鳥井信治郎のつくり上げた社風「やってみなはれ」が、ずっと生きていたおかげであろう。
 試行錯誤してはじめて本物はできていく。これを認め、当たり前とする経営、社会が企業を強くしていく。ただやってみろではない、やって失敗してみんなで学ぶ。この姿勢が大切である。日本社会で長く成功していくのもそういう人と会社である。

●仕事は自分で見付けるべきものだ。また職業は自分でこしらえるべきものだ。その心がけさえあれば、仕事、職業は無限にある。(豊田佐吉/トヨタグループ創始者)
 社会に出て初めて仕事に就いたり、転職して新しい仕事を覚えたり、その会社の流儀を学んでいるときには、ひたすら先輩に学ぶことが大切である。
 つべこべ言わずに、人に学ぶのだ。一応の基本をマスターして、そこのやり方になじんだら、そろそろ自分らしさを出すのだ。ここで自分で仕事を創り始める人が本当にできる人である。仕事は時代の変化とともに常に新しく変わっていくので、旧態依存の人は使えない。さらに独立する人、ベンチャーを起こす人は、職業も自分でこしらえる人であろう。新しい仕事、新しい職業は、常に従来の仕事の延長線上にある。豊田佐吉は大工から自動織機の世界的発明家になり、息子に自動車づくりを研究させた。こうしてトヨタができた。

◎木村進(総合法令出版)さんの『日本人なら知っておきたい名言100』から、所収の言葉を三つ紹介しました。

昨年から『挑戦』をキーワードとして教育活動に取り組みました。今年も変わることなく、引き続き『挑戦』の旗を掲げたいと思います。