羅針盤 夢を持って、世界とつながれ

カテゴリ:式典

平成28年度 第2学期 始業式 校長講話

平成28年度 第2学期 始業式 校長講話

「ポケモンGO配信開始」
~続 変容する世界と社会の中で未来を「想像⇒創造」する~

平成28年9月1日(木)


 夏休みが始まったばかりの7月22日、いよいよ「ポケモンGO」の日本での配信が始まりました。先行したアメリカでは大ブームが巻き起こり「スマホユーザーの行動が変わる」とまで報道していました。何か大変なことが起きたという印象でした。「ポケモンGO」で何が変わるのでしょうか?

 ポケモンGOはゲーム世界のユーザーがびっくりしただけではありません。ビジネス世界の投資家を驚かせるもうひとつの仕組みが組み込まれていました。
 ユーザーが外に出て「ポケストップ」でポケモンをゲットしたり、「ジム」に所属してそこでポケモンを育てたり、対戦したりするという仮想現実の導入です。ポケモンGOは消費者を「外へ連れ出す」能力を身につけていたのです。

 もしこの試みが成功すると、任天堂はこれまで持っていなかった物凄い力を手に入れることになります。それは、任天堂と組んだ店舗に消費者が動く、つまり任天堂は消費者を自在に動かし、小売店や飲食店に大量に集客できるようになるという広告集客力を持つのです。
 マクドナルドとの提携が終わったら、次に別の企業が手を挙げることになるでしょう。そしてどこが手を挙げても、その企業は圧倒的な集客力を手にいれることになります。
 もしポケストップに設定されている美容室とそうでない美容室が存在したら消費者はどちらに行くでしょうか?もし消費者が外食の目的地をグーグル検索や食べログ検索の代わりにポケモンで検索するように行動が変わってしまったら?

 終業式で述べたことを覚えていますか?
 この30年での世界の変容を3つ挙げました。
 ①ドイツ「ベルリンの壁」崩壊
 ②アメリカ「世界貿易センター」同時多発テロ
 ③イギリス国民投票EU離脱派の勝利

 ひょっとしたらこの3つより大きな分岐点であるかもしれません。

「ゲーム世界」が「現実世界」と融合していく世界、皆さんはどう思いますか?
 30年後の未来、振り返って「未来の現在」へ繋がった選択肢の分岐点が平成28年7月22日と記録されることになるのでしょうか。


 インターネットは私たちの生活を変化させました。30年後の未来、インターネットと切り離した生活は考えられないでしょう。誰かが思いを巡らし、想像さえすれば、コンピューターは最適な創造のために全力で思考するでしょう。あっという間に答えは出るでしょう。「OK!○○○○」
 インターネットの仮想現実世界で時を過ごせば、現実世界の人との人間関係、結びつきはどうなるのでしょうか。仮想現実で友達を作れるけど、現実の人の声や接触を煩わしく思う人が増えてきたらどうでしょうか。
 仮想現実世界の結果は決して真実ではありません。現実世界にリセットもききません。ポケモンGOがもたらすものは、未来の新しい光となり、新たな夜明けをもたらすものになるのでしょうか。私は怪しげな未来の想像、不安ばかりです。「杞憂」に終わって欲しいと思います。
 想像力を駆使して、クラスの仲間と、先生たちと話し合ってみるのもいいかもしれません。どんな世界になるのでしょうか。

平成28年度第1学期終業式  校長講話

平成28年度 第1学期 終業式 校長講話

平成28年7月20日(水)


「万物流転」~変容する世界と社会の中で未来を「想像⇒創造」する~
 「万物流転(ばんぶつるてん)」はこの世の常であります。この世にあるあらゆるものは、絶え間なく変化します。そんなことは当たり前とわかっていても、その変わりよう、変化にびっくりさせられることがたびたびです。
 先日、イギリスで欧州連合(EU)残留or離脱の国民投票が行われ、「離脱支持派」が多数を占めることになりました。離脱支持派は、EU加盟で失ってしまった国家支出(お金)や政策決定における自己決定権を取り戻すという「主権回復の戦い」であると主張していました。まさに、過去の栄光「グレートブリテン(偉大なる大英帝国)」復活を目指し、歴史の針を巻き戻そうとしたのです。
 しかし、この結果を受けて、逆に「残留支持派」が6割を超えたスコットランドからは、「独立」の是非を問う住民投票を行うという動きも出てきました。EU離脱で、「歴史の針を巻き戻す」どころか、イギリスという国家の歴史的解体という「歴史の針を先に進める」ことになるのではないだろうかと、危惧しています。

 私は何事も30年の期間で考えるようにしています。ちょうど30年前、国連人口基金が世界人口が50億人に到達したと推計される1987年7月11日を「世界人口デー」と制定しました。ちなみに現在は約73億人と言われています。世界の人口は、1分に137人、1日で20万人、1年で7千万人、増えているそうです。世界で最も変化したのは「人口」かもしれません。
 平成元年の牛深高校卒業生は225人でした。およそ30年が経ち、昨年度(平成27年度)卒業生は61人でした。世界の人口爆発とは反対に、この30年、牛高は右肩下がりで生徒数が減少しています。変化は数だけではありません。進路面を観ると、元年に進学3割、就職7割であった割合が、平成10年前後を境に逆転、現在は進学7割、就職3割という様相へ変化しています。進学先も大学・高等看護学校等の割合が、平成元年度に4.4%(10人)であった数字が、昨年度は37.7%(23人)、約9倍と激増しています。明らかに生徒・保護者・地域の要望(ニーズ)が変化しています。
 この30年間の変化を見ると、世界が一変した事件、国家体制が変わってしまった例は数え上げたらきりがありません。
 ●東欧革命から始まる新しい社会体制と社会秩序
 ・東西ドイツの統一(1989年11月10日に東西ベルリン市民による壁の破壊)
 ・ソ連邦の崩壊(超大国として君臨したが、1991年12月25日に崩壊した。)
 ●テロの頻発とグローバリズム
 ・アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日に同時多発的に発生した4つのテロ事件。
 ・先日のバングラデシュの首都ダッカで起こった立てこもりテロ事件。邦人7名の犠牲者。
 ●不透明感漂う未来
 ・EU(欧州連合)の未来
 世界と社会の変容はあまりに凄まじく、私たちの想定を遙かに超えています。しかし、たとえどんなに変化しようとも、皆さんには「笑顔の未来」を作って欲しいと思います。
 30年後の未来を逞しく生き抜くことのできる人材とは「与えられた枠組の中で機能する人材ではなく、自ら新しい枠組を創造しようとする人材」だと考えます。

 必要なものは「能力」以上に「意欲」である。
 ⇒ジリツ・プラスα・カクシン
 ⇒自立+自律・付加価値・革新(現状打破)
 ⇒「さらに もう一歩 高みへ」 ⇒『挑戦』

平成28年熊本県高校総体選手激励会 講話

平成28年度 熊本県高等学校総合体育大会選手激励会 校長挨拶

平成28年5月25日(水)


●熊本県内の全日制高校の生徒数は平成27年度資料によると、県立29448人、私立16973人、市立1672人、合計48093人である。

●熊本市内に高校が公立13校、私立14校あるが、すべての学校がGWまでを休校措置にした。再開できたのはほとんどの学校が5月10日からである。
 阿蘇地区、宇城地区の学校を含めると、GWまでの休校措置は公立高校20校 /57校(18811人)、熊本市内私立高校14校/22校(13146人) 計31957人/48093人(66.4%)であった。県内高校生のうち、3人に2人はおよそ1ヶ月学校を離れた生活があったわけである。

◎この地震は学校の施設、設備、教室にも多くの被害をもたらした。体育大会を中止にした学校も多くある。無念である。ありふれた日常であるが、仲間とわいわいやりながら部活動や授業に取り組んでいたことがなんと「幸福」であったか。

◎相手があって初めて試合は成立する。審判員の方がいて初めて記録を確認できる。本当に「あたりまえ」のことであるが、君たちのできることは、この「あたりまえ」に感謝する気持ちを忘れず、一心不乱に堂々と試合・競技の場に臨むことである。一人一人の力は、微力ではあるが、決して無力ではない。君たち一人一人の笑顔とプレーが見ている人と対戦した同じ熊本の高校生に勇気と元気をもたらしてくれることをどうか、まずお願いしたい。


◎「ゾーン体験」
★中田久美(なかだ くみ)さん 1965年9月3日生まれ



 
中学入学と同時にバレーボールを始め、日立や全日本で監督を務めた名将、  山田重雄氏に見出され、セッターに転向する。1981年に日立に入団し、セッター転向後、わずか1年でスタメンを獲得。日本リーグ6連覇、リーグ戦88連勝という、いまだ破られていない快挙を成し遂げた。1983年からは、全日本でもスタメンセッターとなる。オリンピックには3度出場。日本リーグ、V・プレミアリーグ時代を通じて、女子最多4度の最高殊勲選手賞受賞者。性格は強気で負けず嫌い。天才セッターと呼ばれた。


●彼女のエピソードから
 「生涯の何百、何千の試合でどうしても忘れられない試合がある。10m後ろの5m上からの視点から、コートを見て試合ができた。まるで負ける気がしなかった。」極度の精神の高揚と緊張がもたらした視覚と言われ、これをゾーンに入るという言い方をするようです。集中力を切らすことなく、体と心が一体化していて、何もかもがうまくいく状態のことで、「ゾーン体験」とも言われ、よくメンタルトレーニングの目指す一つの境地と考えられます。トップアスリートが到達できる感覚といえばその通りですが、君たちもこの「ゾーン」体験に挑戦して欲しい。集中して、冷静に、常に視野を全方位に放射しながら笑顔で試合、競技に取り組んでください。

◎陸上競技部、サッカー部、男子ソフトテニス部、バスケットボール部、女子バレーボール部、弓道部の皆さん、スポーツができる喜び、そして仲間との絆をしっかり感じて、大会を楽しんできてください。

平成28年度 第1学期始業式講話

平成28年度 第1学期 始業式 校長講話

「志高く、夢に向かっていきいきと生きる生徒」になろう

・昨年6月、公職選挙法などの一部改正(今年6月19日施行)
・7月夏の参議院選挙から投票できる年齢:20歳→18歳
・年齢引き下げに対する様々な意見

 13世紀モンゴル帝国の領土、支配地域は、東ヨーロッパからアジア東端にまで及ぶ。まさに世界史上最大級の帝国であった。そんな巨大帝国であるから、辺境の小国であった日本ならば使者を送れば、すぐに降伏するに違いない――。そう考えたモンゴルからの使者は『家来になれ、武力を使わず済ませたいのでよい返事をしろ』といった内容を伝えてきた。しかし、当時の日本はこのことばに従わなかった。このときその決断をしたのは北条時宗、なんと18歳。
 18歳でモンゴルと戦うことを決意した時宗が、文永の役で勝つのは23歳のとき、この間、彼は軍事政権をつくり、戦う準備を着々と進めていた。モンゴルは、武力に任せるだけでなく、敵の内乱に乗じた侵略を得意としていました。しかし、日本は北条時宗によって挙国一致体制を築いており、その隙を与えなかった。 
 最後は台風による被害でモンゴル軍は大打撃を受けるものの、決して上陸させない作戦を展開し、台風を待ったのも北条時宗の戦略だったとか。ちなみに北条時宗は、二度目の元寇である「弘安の役」を防いだ3年後の34歳でこの世を去りました。
 当時、世界最大の帝国に対して敢然と対峙して「来るなら来いっ!」 と言い放ち、アジアの辺境、東の端の我が国を背負って立った18歳がいたのである。


◎まだ18歳ではなく、もう18歳である。
 本校で育てたい生徒像を「志高く、夢に向かっていきいきと生きる生徒」としました。理想を追い求める時期だからこそ、さまざまな挫折や苦難はつきものです。青春とはそのような季節であり、皆さんがまさにその時期にあるのです。高校生活の中で、様々な体験をする中で、成長の証を獲得できるよう、今年も牛深高校を大きく飛躍させる年にしたいと考えています。

 そこで、「地域への貢献」、「愛校心の涵養」を目的に2つの思い出作りを計画しました。
 ①牛深ハイヤ祭りへの参加(4月)
 ②全校生徒での応援(7月)
 心に刻む思い出こそ、成長の大きな糧になるものと思います。積極的、意欲的、自発的、能動的に「挑戦」することを今年のスローガンとします。

◎「挑戦」~志高く、夢に向かっていきいきと生きる生徒であれ~ 

平成27年度 修了式講話

平成27年度 第3学期 修了式 校長講話
◎今年のキーワードを「挑戦(チャレンジ)」としました。
・それぞれ一人一人が持っているテーマに「進路をどうするのか?」があります。
・参考としたいモデルがあります。君たちのすぐ前を歩いてくれた先輩、先日卒業式を終えたばかりの先輩達の例が良いお手本になります。進学、就職試験に果敢に挑戦して見事に結果を出してくれました。中でも、九州で最難関とされるレベルの大学、九州大学法学部に現役合格を果たしてくれた生徒がいます。先日、校長室へ合格の報告に来てくれました。
・「合格に不思議の合格なし、不合格に不思議の不合格なし」といいます。必ず、起こった出来事には原因と理由があります。「合格を自己分析すると、どういうことだと思いますか?」と聴いてみました。話してくれている時の様子は、常に真摯で素直な姿勢と態度が感じられました。まとめると、次の3点になります。
 ①あきらめなかったこと。             【勤勉】 
 ②先生方、友人、家族に支えてもらったこと。【敬愛】 →   《 校訓 》
 ③彼の人柄も大きな要因であること。     【誠実】 
・誠実な人柄は、素直でまっすぐな構えを生みます。そこで、あきらめることなく努力を続けたこと、周囲に対する感謝を忘れなかったことが、大いなる挑戦を成功に導いた原動力であったということになります。そして一つの結果に満足するのではなく、さらに「高み」を目指して挑戦したことも大いなる成長の糧になったのではないでしょうか。

●未在を知る
 もうこれで十分だ。自分には学ぶものはもうない、と思うのは、大いなる勘違いです。どんな道でも究めることは難しいものです。もう学ぶことはない、と思った時点でその人の成長は止まってしまいます。「未在」とは「まだまだ学ぶべきことがある。」という意味です。

◎将棋のプロ棋士で羽生善治さんがいます。1970年生まれ、中学3年でプロ棋士にり、26歳の時、7冠王に輝き、2012年、大山康晴十五世名人の持っていた生涯獲得タイトル数を超えて、歴代1位となりました。昨年棋士生活30年を迎えた人です。その羽生さんの言葉です。
 今の世の中は動きが非常に速いですが、それは将棋の世界も同じです。めまぐるしく新しい戦法が出てきます。そこで、ミスを覚悟で思い切って冒険的な手を指すことがあります。そうしないと進歩がなく、取り残されてしまうのです。勝ち負けということでいえば、型通りの手堅い方法をとった方がいいでしょう。
 ただ、今日最善の方法は、数年後には負ける確率が非常に高くなっている。長い目で見ると、リスクをとらないことが逆に一番のリスクになる、と私は思っています。
 経験や今ある情報にばかりしがみついていると、頭を使って考えなくなったり、新しいことに挑戦しなくなります。
 将棋でも生き方でも、今の自分にとらわれすぎると広がりがなくなってしまい、行き詰まりや心の乱れを感じることになるでしょう。ですから私は、チェスをやったり、講演やイベントをできるだけお引き受けして、将棋以外の世界を広げるようにしています。