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平成30年度入学式 校長式辞

平成30年度入学式 校長式辞


 春の香りが満ち溢れる、春爛漫の今日の良き日、熊本県議会議員 西岡勝成様、天草市副市長 金子邦彦様をはじめ、多数の御来賓の皆様方、並びに保護者の皆様の御臨席を賜り、入学式を挙行できますことは、誠に喜ばしく衷心より厚く御礼申し上げます。

 只今、入学を許可いたしました66名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、9カ年の義務教育の課程を修了し、本日晴れて高校生となりました。
皆さんの胸の中には、これからの期待と不安が大きく膨らんでいることと思います。

さて、本校は、平成27年に、長い歴史と伝統を築いてきた牛深高等学校と河浦高等学校が一つになって生まれた若い学校です。校訓「敬愛・勤勉・創造」のもと、生徒と教師が一体となり、日々の教育活動を営んできています。


 この機会に本校で3年間学ぼうとする皆さんに、高校生としての自覚と実践をしていただきたいことを述べたいと思います。

まず、第一は、「高校は学問をするところである」ということです。

志を立て、稚心を去り、すなわち、親への甘えや勉強に対する怠け心を捨て、勉学に励むことが肝要です。勉学は、皆さんの第一の責務であり、勉学なくして高校生活の充実はありません。勉学により、人としての確かな土台を築いてください。さらに、高校生活の学びの中から、「あの人は、凄いな、頑張るなあ、優しいなあ、感心するなあ・・・」などそんな言葉をかけられたり、思われる生徒になってください。

第二は、強く逞しい心と身体をつくることです。健全な精神は健全な身体に宿ると言われます。まずは、毎日、規則正しい高校生活を送り、スポーツに大いに励み、たくさん本を読み、成長盛んな、今この時に身体と精神をしっかりと鍛えてください。

第三は、学校は集団生活の場であり、連帯と友情の輪を広げていく所です。自分自身の行動に責任をもち、人の忠告に素直に耳を傾け、行動できる高校生となってください。

皆さん一人一人が集団生活のルールや規則を守り、自分の責任や役割を果たし、共に力を合わせ協力する、言葉遣い一つにもお互いに配慮ができる居心地のよい学校をみんなで作って欲しいと思います。「勉学に励む」、「逞しい身体と精神を育成する」、「友情の輪を広げる」この3つのことを心に留めて、自分の目標に向かい努力を続けて欲しいと思います。


 保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日は、お子さまのご入学おめでとうございます。今後3カ年間、皆様のご期待にこたえるべく私ども教職員一同、誠心誠意、全力を尽くしていく所存でおります。特に、学校と家庭が一つになってこそ、教育の成果は期待できるものであります。御協力と御支援を賜りますようお願い申し上げます。


 最後に、本日御臨席を賜りました関係の皆様方に改めて感謝と御礼を申し上げ、式辞といたします。

 平成30年4月9日
 熊本県立牛深高等学校
 校長 中島 一成
 

平成30年度1学期始業式 校長講話

成30年度1学期始業式 校長講話

平成30年4月9日

先程新しく着任された先生方をご紹介いただきました。

本日の午後入学してくる1年生を含めて、初々しい雰囲気の中に平成30年度がスタートすることになります。みんなも心を新たにして始業式に臨んでいると思いますが、最上級生としての新3年生、中堅としての新2年生、ともに、本校を支えてくれる柱として皆さんへの期待は大きいものがあります。


 いよいよ、平成30年度の1学期が始まりました。
私は、今、ここにいる皆さんのそれぞれの頑張りは、以前勤務していました遠い阿蘇の地では聞いていたくらいで、まだ詳しくは知りません。私は、皆さんに、物事を行うときに思い出す言葉をまずは贈りたいと思います。 アメリカ大リーガーの伝説的ホームランバッターのベーブルースさんの言葉からです。

まず、昨年度までにすばらしい成果を上げることができた人へ。

「昨日のホームランでは今日の試合に勝てない」

また、失敗したりうまくいかなかったりして、今ひとつ自分の思うとおりの結果が出せなかった人へ。

「昨日のエラーで今日の試合は負けない」

どうかな?

新しい年度にあたり、さらなる飛躍を皆さんに期待します。
 

さて、今日は、はじめて皆さんの前でお話するというので、おまけです。

(実演)

どうですか?紙の帯の真ん中を切るだけで多くの不思議が隠れているし、自分で実際にやってみるとその仕組みが分かってきます。

私は数学の教員です。数学は、「怠け者の学問」と言われています。もっとほかのやり方はないか?もっと楽なやりかたはないか?など、考える姿勢と行動は、仕事や生活をよりよくすることのひとつと考えます。

皆さんの学力はそれぞれ伸びていますが、先生から付けてもらうのではなく自ら興味を持ち、勉強をする人はその伸びは驚異的です。皆さんも授業、実習、部活、委員会活動、学校生活のあらゆることについて昨年度以上に興味を持ち、工夫をしてみてください。

最後になりますが、本年度の1学期は7月20日に「終業式」を行います。温かく心地の良い春の季節に始まり、暑い夏へと季節が移り変わる1学期ですが、くれぐれも健康に留意して、友人と助けあい、励まし合い、志を高く持って、1学期を過ごしてください。

卒業式式辞

卒業式式辞

 息吹を感じる今日の佳き日に、熊本県議会議員西岡勝成様、城下広作様をはじめ、同窓会、育友会、県教育委員会などから多数のご来賓、並びに、保護者の皆様のご出席のもと、平成29年度卒業証書授与式を挙行できますことを心から感謝申し上げます。卒業生の皆さん、業おめでとうございます。そして、新生牛深高校1期生として、すばらしい校風をつくってくれたことに心から感謝します。ありがとう。また、今日の晴れ姿を心待ちにしておられた保護者、ご家族の皆様に心からお祝いを申し上げます。

卒業生の皆さん、この牛深高校で翼を鍛え、鴻(大きな水鳥)となって、社会に飛び立つ時がいよいよ来ました。今、皆さんは、高校生活を終える喜びや未来への希望に胸ふくらませるとともに、ここで過ごした日々が鮮やかによみがえり、感無量のことと思います。そんな卒業生の皆さんには、本校1期生としての誇りを胸に、本校の建学精神である社会に貢献する有為な人材になることを自らの使命とし、未来を切り拓いていって欲しいと願っています。卒業生の門出にあたり所懐の一端を述べ、餞の言葉とします。

一つ目は、建学精神にある挑戦をこれからも続けてもらいたいということです。オリンピックが開催された韓国に、「たくさん皿を洗う人は、たくさん皿を割る。」という言葉があります。皿を割ってもいいからとにかくたくさん皿を洗おう、つまり、失敗を恐れずに、挑戦しようということです。新生牛深高校の一期生であった皆さんは、入学時から普通総合学科の発展と希望を託され、プレッシャーもあったかと思いますが、そのプレッシャーを新しい牛深高校の未来を自分たちの力で切り拓くんだという決意に変えました。何事に対しても自ら進んで挑戦し、チーム牛高で一丸となって多くの成果を残してきました。1期生として見事に役割を果たしてくれたこの挑戦をこれからも続けていってもらいたいと思います。

二つ目は、新たな進路先を愛せよということです。これから、皆さんが進む新たな学校、仕事、職場をとことん好きになって欲しいということです。皆さんの進路先には、皆さんを成長させ、人生を豊かにする宝の泉があります。汲んでもつきない、汲めば汲むほど湧く宝の泉があります。進路先を愛し、直向きに学習に仕事に打ち込み努力を重ねていけば、人生が好転し、新しい未来が必ず開けます。そして、本校で身に付けた牛高スピリッツは、皆さんを助け、励まし、苦難を乗り越える大きな財産となることでしょう。

結びに、本日、卒業生を祝しご臨席いただきましたご来賓の皆様には今後ともご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。また、保護者の皆様には、本校教育の推進と充実発展に多大なるご支援ご協力を賜りましたことに対して厚くお礼申し上げますとともに、今後とも保護者OBとして側面からご支援をお願いいたします。

今日からは牛深高校は皆さんの母校となります。同窓会の一員として、また本校のサポーターとして、母校の発展を見守り、応援してください。教職員、在校生ともども惜別の情を抱きつつ、巣立ちゆく卒業生一人一人の前途に幸多かれと祈り、式辞といたします。


平成30年3月1日

熊本県立牛深高等学校長 平田浩一

平成29年度 第2学期終業式 校長講話

平成29年度 第2学期終業式 校長講話

平成29年12月22日

2学期の終業式を迎えましたが、2学期は皆さんにとってどんな学期でしたか。

2学期の始業式で、3年次生は新生牛深高校1期生として実績を残してほしい。1・2年次生は1年後2年後には進路実現の時期を迎える。実りの秋と言われる2学期となるようしっかり頑張ってほしいと話をしましたが、いかがだったでしょうか。また、1年の締めくくりでもありますが、どんな1年だったでしょうか。


 私なりに2学期を振り返ってみますと、皆さんが活躍し牛高生のパワーを感じた学期ではなかったかと思います。

先ほど表彰したように、部活動においては多くの大会で優秀な成績を残しました。文化祭では、笑いあり、感動あり、ドラマありの楽しいもので、総合学科発表会では高い表現力を発揮するなど、学習の成果を遺憾なく発揮してくれました。保護者、地域の方々からは高い評価を得て、参加した中学生からは牛深高校で学びたいとの声が聞こえました。初めての大会で大変な面もありましたが、前向きに挑戦しようとする皆さんの頑張りの成果が出ました。マラソン大会では、一生懸命な姿とお互いに励まし合う友情の深さを感じました。

アサヒ若武者育成塾では、地域活力向上賞を受賞しました。2006年に始まり今回12回目となりますが、熊本県からの選出は初めてであり快挙です。大学進学後も研究を続けるという意向がすばらしいと思います。

その他にも仕事のやりがいと難しさを実感した2年次生のインターンシップ、小中高合同避難訓練、各種検定試験、地域ボランティアなど、多くの場面で力を発揮した2学期でした。一生懸命な姿に感動し、成長を実感し、可能性を感じた2学期だったように思います。


 しかしながら、考えるべき点もあったように思います。それは、スマートフォンの利用時間です。生徒保健委員会の生活習慣アンケートによると、1日に2時間以上使っている生徒が約半分いました。この時間を勉強時間に充ててほしい。1・2年次は、進路を控えている。今年3年次生を見ていて、試験直前の学習だけでは大変で、年間を通して筆記試験の学習、文章を書く学習、思っていることを伝える学習に取り組む必要があります。毎日の授業、そして家庭学習で力を付ける必要があります。総合学科発表会で3年次生の発表にあった「頑張らなければわからないことがある。頑張らないといけない。」という言葉が印象に残っています。自分の将来を切り開くためには、社会に出て人の役に立つためには学習時間を増やし、努力できることが大切です。

3年次生の中にはこれから試験を受ける人がいます。センター試験を受ける人、不安もあるかと思いますが、慌てず、焦らず、諦めず自分を信じて頑張ってほしいと思います。そうすれば力は必ず付いてきます。牛高は団体戦で戦います。合格・内定している人もこれから試験を受ける人をしっかり応援していきましょう。


 今年のノーベル平和賞授賞式で、被爆者として初めて演説したサーロー節子さんは「あきらめるな!隙間から光が入ってくるのが見えるだろう。そこに向かって、はって行きなさい。」と被爆の逆境の中で生き抜いてきた体験をスピーチされました。皆さんも一人一人目標を持って冬休みを迎えると思います。課外に参加する人もいます。寒さに負けそうになるときもあるかと思いますが、「花の咲かない寒い日は、下へ下へと根を延ばせ やがてでっかい花が咲く」です。
 マラソン大会にあったように「自分史上初」といえる充実した冬休みを過ごしてください。新学期に元気に会えるのを楽しみにしています。

総合学科発表会あいさつ

総合学科発表会あいさつ

平成29年12月16日

牛深高校生はもちろんですが、多くの保護者、地域、中学生の皆様にお集まりいただき感謝申し上げます。総合学科発表会をこのように盛大に開催できますことを嬉しく思います。

これまでも、行事等を通して学習の成果を発表してきたところですが、新設牛深高校開校3年目を迎え、全年次がそろったことから、今回、第1回の大会を開催させていただきました。第1期生となる3年次生代表を実行委員長に、準備を進めてきたところです。

本日は、生徒が主体的にテーマを選び、考え、分析し、判断し、仲間と協働した取組を掲示やICTを活用し発表します。まさに、変化が激しい情報化社会を生き抜く力として身に付けておくべき実践力の発表です。本校では、全員がこのような学習に取り組んでおり、本日は、その一端を発表します。

また、牛深・河浦地域の生徒が、地域の学校で学び、地域の魅力などを発表することを誇りに思います。地域への思いを熱く語る姿を見ていただければと思います。本日午前中には、地域への感謝を込め、清掃ボランティアも行いました。

本日の発表が、本校生の更なる表現力・実践力の向上につながればと思います。また、中学生の皆様の参考になればと思います。

第1回ということで準備不足もあるかと思いますが、最後まで温かく見守っていただきますようよろしくお願いいたします。

全国高等学校野球選手権熊本大会選手推戴式あいさつ

全国高等学校野球選手権熊本大会選手推戴式あいさつ

平成29年7月5日

いよいよ皆さんが最大の目標としている全国高等学校野球選手権熊本大会がはじまります。皆さんは、暑い中、先生方の指導のもと、汗にまみれ、土にまみれ、ひたむきに白球を追い一生懸命に練習をしてきました。それを見ながら、いつも頑張っているなと感心しています。学校の中でも、『明るいあいさつ、意欲的な活動、けじめのある生活』とまさに牛高スピリッツを実践してくれており、学校を引っ張り、元気にしてくれていることに感謝しています。いつも頑張っている皆さんだからこそ、是非、全力を出し切って欲しいと思います。
 さて、本年6月3日、本県出身で熊本工業高校卒業、プロ野球中日ドラゴンズの荒木雅博内野手が48人目となる
2000本安打を達成しました。2000本安打は打者としての快挙で、ニュースでも大きく取り上げられました。
 
ところで、荒木選手は他の2000本安打達成者とは違うところがあります。通算ホームラン数が33本と最小なのです。また、打撃タイトルにも縁がない選手です。入団当初、打撃で結果を出せず、解雇されることを覚悟していたそうです。2000本安打を打てる選手になるとは誰も予想していなかったそうです。荒木選手は、打てなくても守備や犠打、走塁でチームに貢献しようと、こつこつ努力したそうです。そんな努力が監督の目にとまり一軍で試合に出だしたのは入団から6年目。派手さはないが、チームに貢献する姿勢が認められ、22年間の永きにわたりプレーしてきたことで2000
本安打を達成しました。

皆さんには、荒木選手のように、怖れず気負わず、侮らず、ただひたむきにチームのために全力でプレーしてほしいと思います。うまくやることよりも全力でプレーすること、そして、応援し、陰で支えてくださる人に感謝の気持ちを忘れてはなりません。勝ったとしても、仮に負けたとしても惜しみない拍手を送ってもらえるような試合をして欲しいと思います。緊張もするだろうし、プレッシャーもかかるでしょうが、自分を信じ仲間を信じ、青春の記憶に残るような大会にしてもらいたいと思います。

今年の生徒会のテーマは「Step to the Future(未来への前進)です。何事にも挑戦し、自分で自分の限界をつくらず、ステップアップしていこうというものです。高校野球熊本大会でも、このテーマのもと南風ならぬ牛高旋風を巻き起こし、頑張ってください。

牛深高校はいつも団体戦です。後方に座っている生徒の皆さんも先生方も全力で応援しています。本大会をとおして、皆さんの絆がより深まり、誇りがより高くなることを願っています。
 野球部 浦本侑弥主将以下17名の選手を牛深高校代表選手として認めます。皆さんの健闘を祈ります。

平成29年度 第1学期 始業式 校長講話

平成29年度 第1学期始業式 校長講話

平成29年4月10日

 桜の花が咲き、新緑が鮮やかな季節を迎えました。いよいよ新年度がスタートしますが、今、皆さんはどんな気持ちでこの始業式に臨んでいるでしょうか。”春風や闘志いだきて丘に立つ”という句がありますが、新年度を迎え新たな決意をもって、今日の日を迎えたと思います。
 3年生は、進路を決める大切な1年となります。最上級生として学校を引っ張るとともに、新生牛深高校の第1期生として後に続く2期生3期生に方向性を示せるようにそれぞれの進路目標の実現に向け取り組んで欲しいと思います。2年生は中堅として新入生が入り先輩という立場になります。リーダーシップを発揮し本校を支えてくれる柱として期待しています。各自、年度当初に当たり、まずは目標をしっかり持って欲しいと思います。
 
さて、牛高のスローガンは”挑戦”です。新生牛深高校として何事にも挑戦していきたいと思いますし、皆さん一人一人が志を高く持ち、自分の夢に向かっていきいきと生きる生徒であって欲しいと思います。そのためには、私は、皆さんに牛高スピリッツの中の一つ”意欲的な活動”について話をします。
 私は、昨年、熊本市内に住んでいて、私自身が熊本地震を経験し、被災しました。避難所生活を送り、大変な思いをしましたが、その中にあって、全国から世界から”がんばろう熊本”の合い言葉の中、多くの支援が寄せられ元気と勇気を与えていただきました。人の温かさやすばらしさをあらためて感じたところです。
 ある避難所では、小学校低学年が夜トイレの前で水が一杯入ったやかんを両手で抱えて立っていました。トイレに行かれた高齢者の手を洗うためだったそうです。また、進んで高齢者の話し相手になったり、自分より小さい子の遊び相手になったりしていたそうです。また、中学生がすすんで避難された方におにぎりを配ったり、高校生が学校の駐車場に避難してきた車の誘導を行ったりと頑張ってくれました。皆、自分自身が被災して大変だったにもかかわらず、何か自分にできることはないかと考えて主体的に行動してくれたのです。誰かがしてくれるだろう、頼まれたらやろうではなく、今、自分にできることは何か、自分としてどう動けばよいのかを常に考えて行動したのです。この考えや行動は、人を助け人に勇気や感動を与えるとともに、将来に渡り、自分を成長させる考え方や行動です。牛高生として何ができるのか、受け身ではなく意欲的に行動することが大切です。
 先生方も含め全員で力を合わせ、牛高の元気づくりに取り組んでいきましょう。皆さんにとって、目標が達成される1年となることを祈念します。

平成29年度 入学式 校長式辞

平成29年度 入学式 校長式辞

 桜の花が咲き誇り、新緑の息吹あふれる今日の佳き日に、県議会議員 西岡 勝成様、城下 広作様をはじめ多くのご来賓の皆様並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、平成二十九年度熊本県立牛深高等学校の入学式を挙行できますことは誠に喜ばしく、心から感謝申し上げます。
 ただ今、入学を許可しました五十一名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。晴れて本校への入学を果たされた皆さんを、教職員、在校生一同、心から祝福し歓迎いたします。
  今、皆さんは本校に入学した感激と同時に、新しく始まる学校生活への大きな期待に胸ふくらませていることと思います。
 どうか今の気持ちを忘れず、それぞれの夢実現に向けて、果敢に挑戦してください。


 君たちの入学した牛深高校普通総合学科は牛深高校普通科と河浦高校普通科を母体として、一昨年開校いたしました。本日、三期生として入学した皆さんをお迎えし、新生牛深高校として三学年がそろいました。本年は新生牛深高校がその基礎を固め躍進する年であり、皆さんには大きな期待を寄せています。今日から君たちの母校となった牛深高校の発展のために、ともに最善を尽くしていきましょう。
 さて、入学に当たり、本校建学の精神ともいうべき校訓を紹介し、その心構えについてお話しいたします。
 まず「敬愛」です。互いに本校で学ぶ者として思いやりや、いたわりの心を持って助け合い、信頼し、一生涯の友を得るよう、温かい人間関係を作ってください。
 次に「勤勉」です。一心に勉学に励み、志を高く掲げ、自分の目標を明確にして、充実した毎日を送って下さい。君たち一人一人には優れた才能があり、大いに伸びる可能性があります。先輩や先生方は君たちを温かく迎え、熱心に指導してくださいます。素直に耳を傾け精一杯努力してください。
 そして「創造」です。作り出すものは、自分自身の将来であり、未来です。強く逞しく、心身共に健康な生徒であってほしいと願います。闘志を内に秘め、共に切磋琢磨し、何事にも積極的に挑戦してください。創造とは挑戦する意志のないところに生まれることはありません。
 「敬愛」・「勤勉」・「創造」、この三つの言葉を大事にすることが「心構え」となります。この「心構え」から、「高い志」は生まれます。三年間の学校生活の中で、自分の良さを見つけ、自分を磨き、目標を高く掲げ、果敢に挑戦して、自分の未来を切り拓いてください。この牛深高校で、人生の種を蒔き、根を張り、葉を広げて欲しいと思います。

 さて、保護者の皆様、お子様のご入学を心からお祝い申し上げます。
 私どもはこれから、長い人生の中で最も理想を追い求め、心を燃やすであろうお子様をお預かりすることになりますが、教育は学ぶ者の意欲と教える側の熱意、そしてご家庭の協力が一体となった時、最大の効果があるものです。 私ども教職員一同、皆様の御期待にそうべく、お子様の教育に愛情と情熱を持って全力を尽くす所存です。 どうぞ本校の教育活動充実のために、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。

  最後になりましたが、ご来賓の皆様にはご多用の所ご臨席を賜りましたことに改めてお礼申し上げますとともに、本校の更なる発展のために、御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 新入生諸君が、今の胸の高まりを大切に、大きく飛躍されんことを願い、式辞といたします。

  平成二十九年四月十日


熊本県立牛深高等学校 校長 平田 浩一

平成28年度 修了式 校長講話

平成28年度 修了式 校長講話

「天才」

平成29年3月24日(金)


 ある大企業で新入社員の中から4人が選ばれた。会社は彼らに不可解な命令を下す。給料やボーナスは特別に多く払う。経費も好きなだけ使ってよい。その代わり何もしてはならない。生産的なことは一切してはならない、というのである。
 海辺の寮に隔離された彼らは、釣りをしたりトランプや麻雀に興じたりして過ごすが、じきに飽きて世界中の遊び道具を集めはじめる。しかしついにそれらにも飽きてしまう。

 そしてどうなったか。彼らは新しい遊びを考え出したのだ。
 地面に複雑な図面を描き、ボールを使い、人間がチェスの駒のようになって遊ぶというそのゲームは、スポーツと知的ゲームとギャンブルの長所がうまくミックスされたような画期的なものだった。すると、本社から重役が飛んできた。
 「よくやった。管理人からの報告で、急いでかけつけてきたのだ」
 「やったとおっしゃいましたが、わたしたちはなにもやっていませんよ。遊んでいるだけです」
 「いや、いまやっているじゃないか。新しいゲームを開発してくれたではないか。それが目的だったのだ」
 重役の言葉を聞いた4人は不満げに訴えた。「それならそうと、はじめにおっしゃってくれればよかったのに」
 すると重役はこう答えた。「いや、それではだめなのだ。現在あるスポーツやゲームは、どれも19世紀以前に生まれたものだ。そして現在、いまほど新しい遊びが強く求められている時代はないのだが、人々はせかせかし、開発する精神的余裕を失っている。面白い遊びというものは、理屈からはうまれない。そこで優秀なきみたちを、昔の”暇人”の環境に置き、アイデアがにじみ出て形をとるのを待ったのだ。よくやってくれた」

 星新一の『盗賊会社』(新潮文庫)所収の「あるエリートたち」という作品の概要である。


◎「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」(新潮社)二宮敦人・著
 東京藝術大学の学生とはいかなるものたちか。
 ある男子学生は、楽器を荒川に沈めようとしているという。沈めて錆付いた楽器を引き上げて展示したり演奏したりしたいのだが、企画書を持っていても国土交通省から許可が下りないと悩んでいる。
 ある女子学生は、アスファルトの駐車場の上にアスファルトでつくった車を置いてみたという。タイヤもアスファルト製で、押せばちゃんと走ると嬉しそうに胸を張る。
 表現には彼らなりの理由や背景があるのだ。彼らにアート、芸術をどう考えているか聞いてみると、そのことがよくわかる。

 アートとは――。
 「知覚できる幅を広げること・・・かなあ」
 「ちゃんと役に立つものを作るのは、アートと違う。この世にまだないもの、それはだいたい無駄なものなんですけど、それを作るのがアートなんで」

 彼らは前に紹介した星新一のショートショートのエリートたちを髣髴とさせる。このようにひたすら役に立たないことをやり続けることの中から、やがて天才的なアイデアが生まれるのかもしれない。実際、藝大では「天才」という言葉がふつうに使われているらしい。たとえば学長からして新入生たちに対してこんなことを言っている。

 「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人は天才の礎。ここはそういう大学なんです」
 とは言うけれど、何年に一人どころか、この本には天才と呼びたくなるような人物が何人も出てくる。たとえば藝大生をして「あいつは天才」と言わしめるある学生は、口笛の世界チャンピオンだ。彼は口笛をクラシック音楽に取り入れるという前人未到の道を切り拓こうとしている。

 この本を読んでいると、いかにこちらの頭がコチコチに固まっているかに気づかされる。常識や世間体、役に立つか立たないか。そんな固定観念でがんじがらめになっていることを思い知らされるのだ。
 ・「面白い!」という心の声に忠実になること。
 ・なにかの役に立とうなどゆめゆめ思わないこと。
 ・ひたすら手を動かし試行錯誤を繰り返すのを厭わないこと――。
 ・誰もやっていないことに果敢に挑戦すること。

 こういったことの先にいつか、この行き詰った社会を打ち破るような新しい芸術や思想が誕生するのかもしれない。

平成28年度 第2学期 終業式 校長講話

平成28年度 第2学期 終業式 校長講話

「夢と知りせば」

平成28年12月22日(木)


 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを
 
 あの人のことを思いながら眠りについたからあの人が夢に現れたのだろうか。もし、夢と知っていたなら目を覚まさなかっただろうものを。
 小野小町の詠んだ歌です。好きな人を思い続けていたらなんとその人が夢に現れた。でも目を覚ましてしまい、それが夢だと分かった。その時の「がっかり感」というものを歌ったものです。

●なぜ、『君の名は。』はヒットしたのか?新海監督の創作意図(狙い)とは?

①「一度見終わった直後にもう一度見たくなる」
 ・複数回鑑賞してもらえるような作品を目指しました。

②「映画の鑑賞時間を1分でも短くしよう」
 ・最初の脚本の段階では116分あったのを、107分にまで削って縮めました。

③「手をかけて、リッチな画面にしていく」
 ・星のまたたきや水のきらめき、特に自然表現における光の変化を意識しました。
新海監督「インタビュー」から

①「リアルさ」(背景など作画)の追求
②「安藤雅司さん」(作画監督)の起用
③「スピード感」(1カット平均3.9秒)の採用
④「日本伝統のモチーフ」(男女の入れ替わり)の活用
⑤「結び」という言葉(「日本的コンセプト」)の使用
NHK「クローズアップ現代+(平成28年11月28日放映)」

●作品『君の名は。』のインスピレーションとなったものは?
 ・アイデアの源は、「自分が興味あること、謎として残っていること」です。端的に言うと、「コミュニケーション」です。「どうして人と人というのは、気持ちを通わすことができるのか」、あるいは「気持ちを通わすことができないのか」と。また、発想のヒントを得るために古典を読みます。

・今回の作品は、出会えないはずの二人の出会いを描いています。男女が入れ替わることで物語は始まるのですが、入れ替わりは出会うための仕掛けです。

・『君の名は。』は、「夢と知りせば」という和歌がインスピレーションを与えてくれました。夢から覚めてなぜかさみしいという感情は、小野小町のいた平安時代から、いやそれ以前から今にいたるまで人の持つ共通の感覚だろうと思ったのです。そこで、「朝、目が覚めると、なぜか泣いている」と物語を始めることで、観客にも「それは分かる」という気持ちになってもらえるのではないかと考えました。

●新海監督の創作意欲の源は?
 こういう物語を作り続けるのは、「大きなものとの一体感」がほしいんだと思います。何か大きなものについて知りたいし、自分が何か大事な「意味のあるものの一部」なんだと思いたいっていう欲求がすごくあるんです。僕の10代の頃の真剣な望みは「他の惑星にいきたい」と「誰も観たことがない景色を初めて見る人間になりたい」でした。それが年齢を重ねて、イノセンスを失って、自分は社会の中で生きていくしかないんだってわからざるをえない年齢になっても、自分が社会的な存在になる前に強烈に憧れていたものにつながりたいっていう気持ちがどうしても消えなくて、それが物語になり、アニメーションになっているんだと思います。

◎新海監督の創作動機である「ゆかし」や古典作品からの着想「故きを温めて新しきを知る」も普遍かつ不変といえるものです。皆さんも、「知りたい」という感情を大切に、読書を通して常に研鑽に励んで欲しいと思います。これも普遍かつ不変であります。