令和7年度修了式 校長訓話

令和7年度修了式 校長訓話(R8.3.24)

皆さん、一年間の学びを締めくくるこの修了式を迎えました。まずは、令和7年度、皆さんが今日まで頑張ってきたことに対して心からお疲れ様と言いたいです。今年度は、御船高校にとって大きな飛躍の年でした。皆さんの勉学、部活動、学校行事、そして地域との関わりの一つひとつが積み重なり、その成果は、先の入試の志願者数大幅増加という形で表れました。新入生がこれほど多く入学するのは、十年ぶりのことです。222人ですよ。皆さんの日々の姿が、地域の方々や中学生、保護者の皆さんにしっかりと伝わった証です。たくさん入ってくる後輩たちを、先輩としてかわいがって、本校の三綱領に則った船高生となるようしっかり導いてくださいね。

今日は、2つのことについて話します。

1つ目は、「城山の松」の復活と立ち入り禁止解除

本校の校歌にも歌われる「城山の松」が、地域の方々の尽力により見事に復活しました。当の昔に無くなっていた城山の松ですが、1月31日に植樹され、地域にとっても本校にとっても大きな喜びです。当日の植樹式では、音楽専攻の生徒たちが寒風の中、校歌を歌って地域の方々とその復活を祝いました。

しかし、皆さんも知っているように、城山は長らく本校生立ち入り禁止となっていました。その理由は、過去に本校生が城山で不適切な行動をとり、しかもその場所が御船小学校の目前であったため、地域の信頼を大きく損ねてしまったからです。高校生が小学校の目の前で悪さをしている、その事実は、学校として本当に恥ずかしく、深く反省すべき出来事でした。だからこそ、私たちは長い間、城山への立ち入りを禁じ、信頼回復に努めてきました。城山の松復活を機に、城山への立ち入りを許可することにします。ただし、これは「自由にしてよい」という意味ではありません。過去の出来事を忘れず、二度と同じことを繰り返さないという強い自覚が必要です。城山は御船の象徴であり、地域の宝です。そこに立つ皆さんの姿が、地域の人々にどう映るかを常に考えてください。新学期始まったら、ぜひ、クラスで遠足と思って一度「城山の松」を確認しに行ってください。そして城山からの眺めと桜の美しさも見て、令和8年度に向ける思いを新たにしてください。

 2つ目は、「物にも魂が宿る」

日本人は、日々の生活で使う道具にも魂が宿ると考え、物を大切にいたわる文化を持っています。付喪神(つくもがみ)という妖怪がいるのを知っていますか。長い年月を経て使った道具や物などに宿る精霊のことです。ここである雑誌のコラム記事(日本講演新聞中部支局長 山本孝弘 氏 記事 R7.1.13)を紹介します。

栃木県のある会社では、その会社で長年頑張ってくれた特殊車両や社用車を廃車にするときに「廃車式」を執り行っているそうです。感謝を込めて車をよく洗い、ワックスをかけ、みんなで見送るそうです。「廃車にする車にそんなことをする意味はない」と思われる方もいるかもしれませんが、針供養の文化が残る日本には、役目を終えたものを大切に見送るこの精神に共感する人も多いのではないでしょうか。そして、その会社に思わぬ変化が起きました。社員一人一人が車両を丁寧に扱うようになり、事故が激減。保険料が大幅に下がり、廃車式を行う前に比べて、経費が約200万円も削減できたそうです。物に宿る魂が穏やかな気持ちになり、それが人にも伝染してよい循環が生まれたのかもしれません。

 また、別のある会社の社員がガソリンスタンドで給油をしたところ、そこで働いていたアルバイトの高校生が、「御社では高卒の採用はしていませんか。」と尋ねてきたそうです。社員がそれを社長に報告すると、後日別の社員からも同じ報告がありました。気になった社長は、「今度その高校生にどうしてうちの会社に興味を持ったのか聞いてほしい」と頼みました。質問した社員に、高校生はこう答えたそうです。「どの社員の社用車も道具箱がいつも整頓されている。こんな先輩たちのいる会社で頑張りたい。」と。心動かされた社長は急遽高卒の求人手続きを行い、彼を面接。家計のためにアルバイトをする親思いの姿を知ることもでき、即座に採用を内定したそうです。

物を大切にする心が経営をよくし、また良い縁を運んでくる。この2つの話はとても大切なことを教えてくれた気がします(ここまでがコラム記事です。)

 

ついでにもう一つ。日本ハムファイターズの監督は知っているでしょう。新庄 剛監督。有名な話だから知っているかもしれませんが、新庄監督はプロ入り後、初任給で7500円のグラブを購入し、それを現役引退まで17年間使い続けました。高給取りのプロ野球選手がですよ。破れても買い替えず、修理しながら使い続けたのは、父親からの教えが理由です。植木職人だった父親からは、よく「商売道具を大切にしろ」と教えられたそうです。その教えを胸に、道具を粗末に扱うことを嫌ったといいます。

 君たちも普段から同様のことをやっているでしょう。電子機械科の実習棟に行けば、代々何十年と使いこなされた道具類が整理整頓されています。私は今年度赴任して初めて実習棟に入ったとき感心したことです。芸術コースの楽器や絵画道具、書道道具もそうでしょう。それぞれの部活動の部室も同じだと思います。私も自分の子どもたちには、使い古したり小さくなったりしたシューズ等をゴミ箱に捨てる時には、必ず袋に入れて「ありがとうございました」と言わせていました。私自身もずっとそうしています。

 さあ、年度末に皆さんは、新年度の準備をするために令和7年度の教科書やノート、プリント類を整理したり、処分したりするでしょう。他にも自分の衣類や道具の類も片づけるかもしれません。その時に、どういう行動しますか。付喪神、「物に宿る魂」を思い出してみてください。「物に宿る魂」に感謝の気持ちを忘れなければ、物の魂と皆さんの魂が共鳴し合い、幸運のスパイラルが展開すると思います。

 では、4月8日の始業式に元気な顔でみんなと再会できることを楽しみにしています。