2021年7月の記事一覧
中学生の皆さん、ようこそ西高へ ~ 中学生体験入学
朝8時を回った頃から、正門、西門から自転車で入ってくる中学生の姿が目立つようになりました。来校を歓迎する太鼓部の勇壮な太鼓の音が響きます。部活動紹介のチラシを配付する袴姿のなぎなた部の女子生徒たちが中学生を待ち構えています。この日のために用意したJR熊本駅及びJR西熊本駅と西高を結ぶ臨時貸し切りバス(2台)、そして送迎の保護者の車が次々と到着します。
令和3年度の西高オープンスクール「中学生の体験入学」を7月30日(金)に実施しました。新型コロナウイルス感染対策のため、分散・自律型の体験入学を企画しました。30日(金)を午前と午後の部に分け、8月の20日(金)の午前にも実施予定です。受付した中学生の皆さんは8人~10人の小班に分かれてもらい、先ず教室に入ります。そこで西高の概要及び体験入学の要領を担当の生徒が説明します。その後、各班の案内役の生徒二人が、中学生の希望も聞きながら、模擬授業(国語、数学、英語、公民)の教室や文化部活動体験の教室、そして広く校内を巡ります。それぞれのプログラムは10分~15分です。
西高の「中学生体験入学」は、生徒が前面に出て活躍します。駐輪案内、受付、教室での説明、班の案内(ガイド)、そして各部活動の参加体験型プログラムも西高生が運営するのです。この「中学生体験入学」のボランティアスタッフの西高生はおそろいの青のTシャツ姿です。また、職員はレモンイエローのポロシャツを統一で着ます。文化部のプログラムではパソコン教室でのeスポーツ体験、礼法室の茶道体験などは特に人気があるようで、班が順番待ちする光景が見られました。また、ユニークなものとして、西高の売店体験として飲み物とパンをプレゼントしました。
クライマックスが午前10時半と午後2時半から体育館で行われる体育部活動パフォーマンスです。それぞれの部活動の代表の生徒達がユニフォーム等の姿で精一杯のおもてなしのパフォーマンスを演じました。音楽に合わせての5人でのなぎなた演舞、肉体美を誇示しての男子水泳部の紹介など、観覧の中学生から拍手や歓声、笑い声が響き、会場は一体感に包まれました。
様々なプログラムを体験する中学生の皆さんの顔は輝いていました。ちょっと年齢が上のお兄さん、お姉さんである西高生の歓迎の気持ちが十分に伝わっていると思いました。数年先の少し未来の高校生の自分が見えましたか?
西高の校訓は「清・明・和」です。清らかで、明るく、和やかな西高の雰囲気を中学生の皆さんに感じてもらえたでしょうか?猛暑の中、午前の部に約200人、午後の部に約100人の中学生が来てくれました。心から感謝します。
8月20日(金)の午前にもう一回「体験入学」を開催します。
「GO WEST!」 中学生の皆さん、参加をお待ちしています。
吹奏楽部、「銀メダル」 ~ 熊本県吹奏楽コンクール
「今度コンクールに出演します! ぜひ演奏を聴きに来てください!」
7月の上旬に、吹奏楽部の部長の中川君(3年)と副部長の古賀さん(3年)が校長室を訪ねてきて、案内状を手渡してくれました。長引くコロナ禍で、高校生の吹奏楽大会はこの一年半、ほとんど中止となっていました。久しぶりにライブの演奏を聴くことができると、当日を楽しみに待ちました。
7月24日(土)、高等学校Aパート(大規模編成)の吹奏楽コンクールが県立劇場コンサートホールで開催されました。30校が参加し、朝9時45分から夜の7時半まで演奏が続きます。熊本西高校は19番目の出演で午後4時8分から20分までの12分間が演奏時間です。観覧は保護者と学校関係者に限られていましたが、会場のホールは大勢の観客で埋まっていました。コロナウイルス感染対策で、席は一つ空けで座ることになっていましたが、久しぶりのコンクールで期待感が場内に漂っていました。
いよいよ西高の出番です。部員は総勢25人。40人~50人台の大規模校が多い中、Aパートでは少人数の編成です。最初が共通課題曲「エール・マーチ」、そして次に自由曲として選んだ「斑鳩(いかるが)の空」です。演奏が始まると、人数の少なさの不安は払拭されました。大規模校に負けない力強いサウンドが響き、聴く者に届きました。学科や学年、クラスは異なり、一人ひとりの性格や個性も違いますが、それぞれの楽器でパートを担当し、全員で一つの楽曲を創り上げる吹奏楽の魅力を実感できた時間でした。コロナパンデミックによって忘れかけていた時間でした。
指揮棒を振られた顧問の寺本教諭は、「少ない人数ながらそれぞれが力を発揮し良い演奏をしてくれた」と生徒達を称えられました。審査の結果は銀賞でしたが、ここ10年ほど銅賞に甘んじていたので、大きな成果と言われました。私から見ると立派な「銀メダル」に値する演奏だったと思います。
このコンクールを区切りに3年生は吹奏楽部から引退し、進路実現に向かって全力で取り組むことになります。吹奏楽部部員はまた少なくなりました。しかし、1、2年生の部員達は今週も毎日、音楽室及びその周辺で練習しています。
明日の30日(金)は、中学生の体験入学を西高で行います。来年度の入学生に対して、西高吹奏楽部のサウンドを印象づけて欲しいと期待しています。
水の恩恵 ~ 1学期終業式
今日は、涼しい話題をと思い、「水」をテーマに選びました。
生命は水の中で生まれたと言われます。年齢で少し差はあるようですが、人間の体は平均して約70%が水でできています。水なしでは生きられません。断食や僧侶の修行でも水だけは摂取して良いとなっているのはそのためです。
さて、ワクチン接種は進んでいますが、この夏も、マスクの着用、こまめに手洗いとうがい、そして部屋の換気といった基本的なコロナ対策に取り組まなければなりません。私たち日本人にとって手洗いやうがいは子どもの頃から当たり前の行動で、習慣化しています。
しかし、世界にはこれが簡単にできない国、地域が多く存在します。国連のデータによると、不衛生な水の生活環境で暮らす人が45憶人もいるとのことです。世界の人口が78億人ですから、6割近い数字となります。21世紀の最大の資源問題は水不足だと言われています。20世紀後半からの急激な人口増加に水の供給量が追いついていないのです。水は日々の暮らしだけでなく、農業や工業でも重要です。水は、健康、環境、経済と多くの社会要因と密接に関わっています。水不足が解決されなければ持続可能な社会は成り立ちません。
このような世界の水問題事情から考えると、日常、飲料水で手洗いやうがいが存分にできる私たちはなんと恵まれているのでしょうか。この水の恩恵は、わが国の自然環境だけでなく、井戸を掘り、山に水源の涵養林を植え、上水道を整備してきた先人たちのお蔭にほかなりません。近年はシャワーや洗車など日本人の生活上の水の無駄遣いが問題になっています。あらためて、限りある水に対して、私たちは謙虚な気持ちになりたいと思います。
生徒の皆さん、この夏、手をこまめに洗いましょう。手を洗うことは涼しく気持ちよい行為です。一日に幾度も洗いましょう。そして水を飲みましょう。熊本市では蛇口をひねれば天然のミネラルウォーターが出てきます。阿蘇に降った雨が20年かけて地下水として磨かれ、安全で安心な水道水となります。体育系部活動の皆さんは、熱中症予防のためにもこまめに水を飲みましょう。
西高から3㎞しか離れていないアクアドームで、今、ドイツのオリンピック水泳チームが直前合宿をしています。残念ながら、練習は非公開ですが、東京オリンピック開幕が近づいたことを実感します。コロナパンデミックの中、どんなオリンピックになるか世界も注目しています。東京オリンピック・パラリンピックが無事に開催できることを皆さんと共に願いたいと思います。
明日から夏季休業です。2021年(令和3年)の夏は人生で一回きりです。皆さんが自分の成長のために、一日いちにちを大切に過ごすことを期待し、1学期終業式の講話を終えます。
「生まれてきてくれて 有り難う」 ~ 性教育講演会
西高と同じ熊本市西区の島崎町に慈恵(じけい)病院というキリスト教精神を母体に設立された病院があります。産婦人科、内科、小児科などがある総合病院ですが、「こうのとりのゆりかご」という取り組みで全国に知られています。出産しても、様々な事情で自分では育てられず追いつめられた親が、匿名で赤ちゃんを預けることができる場所が慈恵病院にはあります。何よりも、一人では生きていけない新生児、赤ちゃんの命を救うため、緊急避難場所としての受入れを慈恵病院は15年近く続けておられます。このような実践は我が国では熊本の慈恵病院だけが行われており、心から敬意を表します。
慈恵病院で看護部長をお務めの竹部智子様に講師をお願いし、7月15日(木)、西高生1,2年対象の「性教育講演会」を実施しました。慈恵病院にいらっしゃる竹部看護部長と、西高をオンラインで結び、リモート形式で行いました。
演題は「未来ある皆さんに伝えたいこと ~ 産婦人科の現場から」です。
最初に、今週、慈恵病院で出産、誕生のお母さんと赤ちゃんが登場されました。赤ちゃんが生まれたときに陣痛の痛みも吹き飛び、お母さんは、赤ちゃんに「生まれてきてくれて、有り難う」と語りかけられたそうです。この言葉は、竹部看護部長の講演の中で随所にリフレインのように出てきました。
「赤ちゃんは皆、待ち望まれて生まれてきたもの」であるにもかかわらず、なぜ育児放棄、虐待などの問題が起きるのか。それは決して母親一人の責任に帰すべきではないと言われます。相手があって子どもは生まれるものであり、経済面を含めた環境の問題など、母親一人では解決できないことが多いのです。従って、「こうのとりのゆりかご」という場所を設けると共に、慈恵病院では、育てられないと苦悩する親の相談体制整備に力を入れてきたと言われました。
「こうのとりのゆりかご」の様子が実況で中継されました。特別な門から入り、小道を30mほど歩き、赤ちゃんを預ける扉があります。その扉を開けると保育器とお母さんへのメッセージが用意されています。赤ちゃんを預け、扉を閉めると二度と扉は開かない仕組みになっているそうです。夜、扉の前にたたずむ女性の姿を竹部看護部長さんも目撃されたそうです。
思春期の男女がお互いを好きになるのは自然なこと、けれども男性と女性では気持ちの表し方や性への感覚が異なっていることをお互い認めあうことが大切だと語られ、改めて生徒たちに対しメッセージを伝えられました。
「女子の皆さん、もし今、妊娠したら、育てられますか?」
「男子の皆さん、もし今、妊娠させたら、育てられますか?」
かけがえのない命と性に関わる産婦人科の現場で、患者さんの一番近くに寄り添ってこられた竹部看護部長の言葉は、優しいものですが、重みのあるものです。心揺さぶられるお話しでした。
全国の舞台へ ~ 全国高校総体(インターハイ)、全国高校総合文化祭
7月13日(火)に熊本県は梅雨明けし、一気に入道雲が湧き、強烈な日差しが降り注ぎ始めた気がします。盛夏到来。この夏、2年ぶりに全国高校総体(インターハイ)が北信越地域で、全国高校総合文化祭が和歌山県で開催されます。この高校生のスポーツ及び文化の祭典に、西高からは柔道(女子)、なぎなた(女子)、陸上競技、ウェイトリフティング、競技かるた、美術の6つの部活動、合わせて22人の生徒の皆さんが出場します。創立以来「文武両道」の実践を掲げる西高の面目躍如たるものがあります。
西高の同窓会「西峰会」主催の全国大会出場激励会が7月14(火)放課後に本校で行われました。藤井会長が「皆さんの活躍は同窓生の誇りです」と挨拶され、6つの部の代表に激励金を渡され、励ましの言葉を贈られました。
女子柔道部主将の大野さんは、「日本一を目指して日々練習してきたので、その目標に向かって頑張ります」と言いました。
なぎなた部主将の内田さんは「私たちも日本一が目標です」と言いました。
陸上部主将の荒野君(400mハードル)は「出場する4人でベストを尽くします」と言いました。
ウェイトリフティング部から1人出場する内田君(102㎏級)は、「表彰台を目指します」と言いました。
熊本県チームの一員に選ばれた競技かるた部部長の児藤さんは「県代表として頑張ります」と言いました。
作品が県代表として出品される美術部の久保さんは「高いレベルの作品に接し、他県の生徒と交流してきます」と言いました。
決意を述べる生徒の皆さんの表情は意志的で、高い目標を見据えているようでした。「自分たちはやればできる」という、ゆるぎない自己肯定感が拠り所になっているに見え、頼もしく思いました。
この1年半あまり、未曾有のコロナパンデミックによって私たちの生活は大きな影響を受けました。部活動も様々な制約を受け、思うような活動ができなかったと思います。目標を見失いかけたこともあったでしょう。それでも、自己管理に努め、たゆまぬ努力を続けてきたことが全国大会出場につながったと思います。逆境の中でも、生活の軸がぶれず、自らの本分を貫いた姿勢を心から称えたいと思います。
いよいよ全国の舞台が待っています。大きな舞台は若者をさらに大きく成長させます。全国大会に出場する皆さんが、全国各地から参加する志ある高校生と競い合い、交流し、ひとまわりふたまわり大きく成長して、笑顔で帰ってきてくれることを期待しています。