2021年7月の記事一覧
進化する授業 ~ ICTで広がる授業の可能性
西高は、今年度、1人1台タブレット端末の先行実践校(18校)に採択され、校内のネットワーク環境が整備されました。そして、授業はじめ生徒の学習場面での積極的なタブレット活用、すべての保護者にアカウントを付与し学校とのペーパーレスのデジタルコミュニケーション促進、また生徒会選挙のオンライン化などに取り組んできたところです。その実践が評価され、7月1日には、ICT特定推進校(県内6校)に選ばれました。
西高の授業は、ICT(情報通信技術)を進んで取り入れ、変化しています。最近、私が実際に参加した具体的ケースを二つ紹介します。
7月8日(木)4限目、2年4組(普通科)での「英語」の授業。英語によるディベートが行われました。論題は「日本の大学の授業料無償化をすべき」(University education should be free in Japan)で、このことに対し、肯定、否定の立場に分かれ、ディベートを行いました。英語でディベートに挑戦することは、相当の語彙力がなければ難しく、以前は容易にできませんでした。しかし、生徒達は1人1台タブレット端末を所持しています。即座にGoogle翻訳機能を利用し、表現したい日本語を入力し、瞬時に英語翻訳します。そしてそれをスピーチします。問題は、発音です。知らない単語が多く、たどたどしい発音になりますが、ディベートでは「発音より内容」です。ぎこちなくても伝えたいという気持ちがコミュニケーションの基本だと思います。クラスが3グループに分かれ、ディベートが展開される光景を見ていると、ICT効果を実感しました。
また、翌日(金)1限目、2年1組(サイエンス情報科)の「科学情報」の授業。崇城大学の星合(ほしあい)教授と本校をオンラインで結び、リモート形式でプログラミング言語「Python」(パイソン)の入門講義が行われました。音声も画像もとてもクリアな状態で、星合先生のわかりやすく丁寧な解説に生徒達の学習理解も進みました。これからの社会では、どんな分野へ進んでもプログラミング言語の学習は必要だと星合先生は言われます。社会の情報化が進む中、その基盤であるプログラミングを学ぶことは重要であり、論理的思考力を鍛え、情報社会の仕組みを理解することにも役に立つと思われます。これまで別の分野と思われていたものを結びつけ、新しい価値を生み出すイノベーションの力の基本にプログラミング的思考力が不可欠と星合先生は力説されます。
学校教育は未来の社会の担い手を育成するものです。急速な社会の変革の中にあっても、主体的に社会をより良く変えていける人材を育てていきたいと思います。西高の授業はますます進化していきます。ご期待ください。
英語のディベート授業
科学情報の遠隔授業
対話への期待 ~ 生徒会と育西会(保護者会)との第1回ミーティング
「生徒会の皆さんと、こうして話をすることで交流、親睦になればと願っていました。」と育西会の池田会長が冒頭に挨拶されました。こうして、7月8日(木)放課後、会議室にて、生徒会長はじめ生徒会役員の女子生徒5人と保護者代表である育西会の6人の役員さんとのミーティングが始まりました。生徒会顧問の吉田教諭と校長の私は傍聴人の立場で参加しました。
事前に保護者側からテーマをいくつか提示してあり、生徒会でも話し合いをして臨んでおり、活発な意見交換が行われました。最初のテーマの「制服」については、生徒側から特に積極的に意見が出ました。西高の女子の夏のブラウスは、汗をかくと生地が肌にはりつき、通気性が弱く、男子が着用しているポロシャツの導入を要望するものでした。保護者(母親)からも、ブラウスはアイロンが必用で手間がかかるので、女子のポロシャツ導入に賛成の声が相次ぎました。また、保護者からは、女子のスラックスも導入し、スカートとの選択制にしたらとの意見も出て、生徒達からも賛成の声があがりました。
また、西高生の約8割が自転車通学生であり、雨の日にはカッパを着用しても制服が濡れるため、始業前に更衣室を開放してもらえないかとの要望が生徒会から出されました。そして、公共交通機関の充実を求める声が双方からあがり、JR西熊本駅からの路線バスがないことの不便さが指摘されました。
さらには保護者から、西高周辺には街灯が少ないようだが、冬の帰宅時間帯に不安はないかとのお尋ねがありましたが、生徒達からは「だいたい複数で帰るので、特に不安はない」との返答でした。
生徒と保護者の対話を聴いていて、あらためて気づかされることが数多くありました。学校生活を送る中でこんな点で困っているという生徒の切実な気持ちを重く受け止めました。また、子どもたちに安心、安全な高校生活を送って欲しいという保護者の思いの深さも痛感しました。そして、何より、自分たちで話し合ったことを述べ、自分たちの学校をより良くしたいという生徒会の生徒の姿勢を頼もしく思いました。高校生は、身近な大人(保護者、教職員)を通じて、第三者の世界、即ち社会を見ているのです。若い世代にこそ、現実を変える力があると言えます。
学校の主人公は生徒です。その生徒を支える立場として、教職員と保護者の存在があります。それぞれ役割は異なりますが、学校をより良くしたいという気持ちでは対等だと思います。
保護者代表の皆さんと生徒会役員とで、対等に真剣に話し合いが行われました。このような対話の積み重ねこそが、西高発展の基礎になると思います。