校長室からの風

初めて選挙に臨む皆さんへ ~ 18歳選挙権

 10月14日(木)、衆議院が解散されました。衆議院議員総選挙が19日公示、31日投票の日程で行われることが決まりました。衆議院議員の任期4年がほぼ満了しての、約4年ぶりの総選挙となります。

 選挙は高校にとっては他人事ではありません。高校生の一部は選挙権を有しています。選挙権年齢が「満18歳以上」に引き下げられたのは平成28年でした。選挙期日の翌日(今回で云うなら11月1日)に満18歳の誕生日を迎える人までが選挙権を有することになります。恐らく高校3年生のおよそ6割は有権者として今回の総選挙に臨むことになるでしょう。

 少子高齢化が進むわが国において、若い世代にこそ政治に関心をもってもらう必要があるという目的で導入された18歳選挙権でした。高校でも、公民科の授業やホームルーム活動、生徒会活動などをとおして実践を重ねてきました。導入された当時、私が勤務していた高校の所在地の町長選挙がありました。有権者の生徒達の関心を高めるため、候補者2人にお願いし、放課後、正門前まで来て頂き、町政のビジョンを語ってもらいました。結果、高校生の投票率は75%を超えました。しかしながら、各種データを見ると、若い世代の投票率は期待されたほどは伸びていません。残念です。

 「自分一人が投票しても社会は変わらない」と云う高校生がいます。しかし、選挙の一人一票の原則はとても大切なことです。総理大臣も、県知事も、そして校長の私も一票です。18歳のあなたと同じ一票なのです。一票の重みを感じてください。そして、身分や納税額、性別などの様々な制限なく、一定の年齢を満たせばだれもが選挙権を有する普通選挙制は今では当たり前のことですが、その実現への歩みはまさにわが国の近代化と軌を一にするものでした。世界ではいまだ普通選挙が実施できない国もあります。

 生涯で最初の選挙を迎える生徒の皆さん、あなた達はこの国の主権者です。権利は責任を伴います。選挙権という貴重な権利を活かしてください。私たちの西高では国政選挙に先駆けて生徒会長選挙を電子投票で行いました。しかし、まだ国政選挙は電子化されていません。自ら投票所に足を運び、一票を投ずることになります。ただそれだけのことですが、その時、あなたは主権者としての役割を立派に果たしたことになるのです。

 なお、投票所では投票用紙が2枚渡されます。小選挙区は候補者名を、比例代表区は政党名を記します。戸惑わないように。

                                     「校長室からの風」

 

 

「学校の日常」が戻って ~ 平常の教育課程の再開

 10月1日(金)の朝、澄んだ青空の下、生徒達が次々と登校してきます。多くが自転車通学生で、滑るように正門から入ってきます。前日までの分散登校とは数が違い、自ずと活気あふれる雰囲気です。正門や昇降口の付近で職員が出迎えます。大きな声での挨拶はできませんが、「おはよう」の声は飛び交います。

 新型コロナウイルスの感染者が減少傾向にあり、熊本県の「まん延防止重点措置」期間が9月30日(木)で解除され、「分散登校・時差登校・短縮授業」の制限も不要となり、熊本西高も平常の教育課程再開となりました。朝8時30分始業、月・水・金が6時間授業、火・木が7時間授業の本来の学習活動に戻りました。もちろん、コロナパンデミックが完全に終熄したわけではありませんから、学校での感染防止の取り組みは続きます。特に、感染リスクの要因として指摘されている昼食、歯磨き、体育の授業や部活動での更衣などは、生徒の皆さんに一層の自覚を求めていくことになります。学校あげて、感染防止と学校生活の充実という困難な両立に挑んでいかなければなりません。

 緊張感ある再スタートの日でしたが、生徒達も職員もどこか喜びに包まれ、「学校の日常」が戻ってきたという高揚感に校内は満ちていました。

 部活動も全面再開です。柔道部員の朝のランニングも再び始まりました。放課後、自粛していたラグビー部の練習がグラウンドで始動しました。音楽室や周辺の廊下からは吹奏楽部員の楽器の音色が響きます。高校生活は人生から見るとまことに限りある短い期間です。現在の高校生は、その多くの時間をコロナ禍の中、制約されて過ごしてきました。せめて、規制がすべて解除された今のこの時期だけでも、存分に高校生活を満喫して欲しいと願うばかりです。

 学校行事も再開しました。10月5日(火)、体育コースの3年生39人はゴルフラウンド実習をグリーランドリゾートゴルフコース(荒尾市)で行いました。東海大学熊本キャンパス校のゴルフ部の皆さんのサポートを受けて、初めてコースを回ります。朝7時20分、学校で出発式を行い、マイクロバス2台での出立を私は見送りました。「まん延防止重点措置」期間は、すべての学校行事は自粛、延期してきましたので、解除後の初めての学校行事となります。青空が広がるスポーツ日和となりました。

 この平穏な日々が長く続くことを祈らずにいられません。

「校長室からの風」

 

スポーツの力 ~ 陸上部、野球部、そして富田宇宙選手

 8月25日に西高の2学期が始まりましたが、熊本県が新型コロナウイルスの「まん延防止重点措置」対象県のため、生徒は分散登校、そして部活動は原則中止となりました。公式戦2週間前からの部活動は認められましたが、学年によって午前と午後に分かれて登校のため、1,2年生の部員がまとまっって練習する機会は土日を除いてありません。

 校長室の窓から、広いグラウンドが見えます。最も手前で陸上部の生徒が練習しています。3年生が引退したうえに、学年別の練習のため、人数がより少なく寂しい光景に映ります。しかし、黙々と走り、投げ、新人戦に備えている様子が伝わってきました。9月17日(金)~19日(日)と新人陸上競技大会が県民総合運動公園陸上競技場(熊本市)で開催されました。西高陸上部は砲丸投、円盤投、やり投、三段跳などのフィールド競技で上位を独占、フィールド部門の学校対抗で優勝。トラック競技も併せた総合の学校対抗でも3位に入りました。10月7日~10日に宮崎市で開催される全九州高校新人陸上競技大会に2年生4人、1年生4人の計8人が県代表として出場することとなりました。

 9月23日(木・祝日)から九州地区高校野球熊本大会が始まりました。西高野球部は藤崎台球場(熊本市)で必由館高校と初戦でぶつかりました。共に甲子園出場の経験を持つ公立のライバルです。私も応援に行きましたが、手に汗を握る好試合となり、1対0で西高が競り勝ちました。団体競技の野球の場合、学年が分散されての練習は苦労が多かったろうと思います。

 陸上部の九州大会出場、野球部の難敵を下しての2回戦進出というニュースは学校の雰囲気を明るくしました。長引くコロナ禍で不規則な生活を強いられ、体調、体力を維持することも困難な中、はつらつとスポーツで自己表現する西高生を見て、頼もしく思います。

 そして、今日、9月24日(金)、東京パラリンピックの水泳競技のメダリスト、富田宇宙選手が西高に来校されました。本校の体育科の米田教諭(専門は水泳)が、富田選手が済々黌高校時代の水泳の指導者で、その後も長く交流が続いています。昨年、幾度も来校され、本校の体育コースの生徒達に講演をしてくださり、水泳部の生徒と一緒にプールで練習されました。今回、帰省されたため、体育コースの生徒達にメダルを披露する機会が実現しました。富田選手こそまさに逆境をスポーツの力で克服された人です。視力障がいのハンディを乗り越え、パラアスリートとして自信に満ちあふれた富田選手の姿を目にして、体育コースの生徒達もきっと大いに励まされるものがあったと思います。

 コロナパンデミックであっても、スポーツの力は少しも衰えないのです。

「校長室からの風」

 富田宇宙選手と体育コースの生徒たちの交流会

 

オンライン保護者会の実践 ~ 「学校情報化優良校」の認証

   1学年保護者会を9月16日(木)午後に開催しました。「えっ? まん延防止重点措置期間にできるの?」という声が聞こえてきそうですが、できるのです。もちろん、保護者の皆さんに西高に来て頂くことはありません。すべてオンラインで開催なのです。従って、保護者の皆さんは、ご自分のスマホやタブレット等で参加できるのです。しかし、「平日で仕事があり、オンラインでも参加しづらい」との声が聞こえてきそうですが、その対応もしています。

 1学年保護者会の内容は、学年主任の米田教諭の挨拶から始まり、九州産業大学の大西純一教授の進路講演会、西高教務部からの「2年次のコース選択説明会」、旅行会社による「修学旅行説明会」など盛りだくさんです。これらのほとんどが前日までに動画収録が完了し、学級(クラス)と生徒及び保護者の端末を結ぶコミュニケーションツール「Google Classroom」に保存されているのです。

    生徒達は登校して1年の各教室で視聴しますが、リアルタイムのライブ映像ではありません。適宜、休憩時間をとりながら視聴し、担任や副担任の支援を受けて理解を深めます。そして、これらの動画は9月20日(火)まで保存されていてアクセスできますので、保護者の皆さんは都合の良い時間に視聴できるのです。このオンライン保護者会の方式なら、距離も時間も超越できます。

 長期化するコロナ禍という逆境の中、いかにして学校行事を実施するか?鍵はICT(情報通信技術)です。西高は、一人一台タブレット端末の先進実践校として今年度4月にスタートし、わかりやすい授業の創造、生徒同士の協働学習、リモート生徒集会開催、オンライン生徒会選挙の実施など実践を重ねてきました。そして、今回のオンライン保護者会に代表される保護者とのデジタルコミュニケーションの充実に至っています。これらの実践が日本教育工学協会に高く評価され、この度、「学校情報化優良校」の認証を受けました。この認証を受けるのは熊本県の高校では西高が初めてです。

 ICTを日常的に取り入れた農業をスマート農業と呼びます。ICTを市民の生活につなげて利便性を高めている都市をスマートシティと呼びます。西高は、ICTを日常の教育の場に溶け込ませ、空間的、時間的に学校機能をより豊かにした「スマートスクール」を目指します。

 学校教育のICT化はフロンティア(未開拓領域)です。トライ&エラーの連続ですが、学校挙げて取り組んでいきます。いつの時代にもフロンティアはあるのです。定年近い私ですが、挑戦できるフロンティアがあることは喜びです。

 「校長室からの風」

 

パラアスリートに励まされる日々 ~ 東京パラリンピック

 東京パラリンピックの競泳男子400m自由形及び200m個人メドレー(いずれも視覚障害クラス)で、熊本市出身の富田宇宙選手(32歳)がそれぞれ銀メダル、銅メダルを取るという快挙を成し遂げました。新型コロナウイルス第5波に覆われている熊本県にとって明るいニュースです。しかも、富田選手は、熊本西高と関係が深い方で、二重の喜びに浸っています。
 富田選手は済々黌高校出身で、同校在学中、水泳部で活躍されました。その時、富田選手を指導したのが米田教諭で、現在、熊本西高の保健体育教諭で水泳部顧問です。米田教諭の話によると、富田選手が眼の病気にかかったのは高校2年生の秋でした。卒業後も親交は続き、視力が低下する中、パラアスリートの道を進む富田選手を米田教諭は応援しました。東京パラリンピックがコロナパンデミックの影響で1年延期となった昨年、米田教諭は富田選手を西高に招き、西高のプールで練習する機会を設けました。そして富田選手は、西高水泳部員達に対し練習法はじめ多くのアドバイスをされたそうです。富田選手のメダル獲得が決まると、西高Instagramでも快挙を喜ぶ水泳部員の声があがっていました。
 米田教諭から富田選手の話を聞く中で、私が最も印象に残ったのは、「私が出会った生徒の中でも特に目の力、眼力が強かった」という言葉です。この言葉は西日本新聞にも紹介されていました。困難に巻き込まれても屈しない、富田選手の意志の強さを象徴していると思います。
 富田選手は水泳競技ですが、視覚障害の陸上競技ではガイドランナー(伴走者)の存在に引き付けられました。重度の視覚障害の選手と短く細いロープで手をつなぎ、「選手の目」となって伴走し、競技の安全を支える役割を担っています。これまでの長く苦しい練習期間を一緒に乗り越えてパラリンピックの大舞台に出場した、まさに一心同体の二人です。陸上競技短距離のある種目では、二人をつなぐロープが切れ、レースを途中で断念するシーンが見られ、テレビ観戦していた私は息を呑む思いに包まれました。
 東京パラリンピックの競技の様子が連日、テレビ中継されています。これほど多様なパラスポーツがあるのか驚く日々です。そして、様々な障がいのある選手達が自分の有する運動機能を精一杯発揮する姿に、気持ちが揺さぶられます。
 西高生の皆さん、現在は部活動もできず、閉塞感に包まれていると思います。今こそ東京パラリンピックのテレビ観戦を勧めます。9月5日閉会ですから、期間はあと5日間です。パラアスリートのパフォーマンスを観ていると、「人間とはいかに素晴らしいものなのか」という深い感慨に包まれます。

「校長室からの風」

ICTの日常化 ~ コロナ禍を乗り越えるために

 月曜日朝の西高の1,2年生の授業では新しいことを始める緊張感に職員が包まれていました。ホームルームで授業する担当者が隣のクラスで授業を受けている生徒達に、「声は聞こえているか?」と問います。その声は、廊下を経て肉声と混じり、共鳴します。また、カメラは定点から授業を撮影しているため、授業担当者の姿はしばしば画面から消えます。隣のクラスの生徒にとっては声だけの授業となります。英語の発音は、スピーカーからハウリングして聞こえ、明瞭には聞こえません。ICT(Information  Communication Technology 情報通信技術)に不慣れな職員には戸惑いもあります。しかし、学校として一歩踏み出したのです。コロナ禍を乗り越えるためにはICTの力が必要なのです。
 西高は8月25日(水)に2学期を開始し、2週目に入ります。本県の新型コロナウイルス感染状況は厳しさを増しており、9月12日(日)までの「まん延防止措置期間」は時差登校(30分遅らせての9時始業)、短縮授業(45分)、1,2年生の分散登校(午前と午後の交互)、部活動休止等の対応に努めていますが、今週からさらに対応のギアを上げました。
 分散登校の1、2年生は、教室で授業を受ける人数を半分程度に減らします。登校したクラスの人数を近隣の教室に二分します。そして、一方の教室で教科担当者が授業をし、もう一方の教室へ授業動画配信するのです。配信を受ける側の教室では前方のスクリーンに授業動画が映し出されます。また、もう一工夫する担当者は、生徒一人ひとりが持っているタブレット端末に授業動画が届き、手元でも確認できます。さらに、濃厚接触者や基礎疾患があって自宅待機している生徒達も、この授業動画を自分のタブレットで受け取ることができます。すなわち、リアルタイムで遠隔授業に参加できるのです。
 他校では、たとえば出席番号の奇数、偶数に分け午前と午後に登校させ、同じ授業を教科担当者が二回実施する方式をとるところが多いようです。しかし、西高は、学年及び学級の一体性を重視しました。離れている者をつなぐICTの特性を活かしたのです。一つの教室での対面授業が最も良いことは自明です。しかし、コロナ禍でそれができないからこそ、分散した者をつなぐICT教育を推進するのです。登校できない在宅の生徒達にとっても、学校の授業と繋がっているという心理的な一体感は安心感につながると思います。
 ICT教育はもう特別なものではありません。タブレットは生徒の日常の文房具です。「ICTの日常化」の時が来ました。離れた教室を、自宅と学校を、学校と社会をオンラインで結び、毎日、毎時間、活用していきます。

 「校長室からの風」

「みなさん、がんばりましょう」 ~ 多難なスタート

 「2学期は始まりますが、不自由な学校生活となります。けれども、皆さん、がんばりましょう!」
 8月25日(水)の始業式の後、生徒会長の濱﨑さん(2年)が全校生徒にオンラインでメッセージを発信しました。校内に爽やかに響きました。
 新型コロナウイルス感染症の第5波の影響で熊本県は9月12日(日)まで「まん延防止等重点措置」が適用されており、2学期再開の熊本市域の高校もこれまで以上の感染防止策をとることが求められています。県教育委員会の方針をふまえ、本校の対応は次のとおりに定めました。
一 学校全体
  始業を30分遅らせ9時開始とし、授業は短縮45分で実施し、課外授業や部活動は休止とする。但し公式大会の2週間前から部活動は全体練習を行ってよい。
二 3年生
  受験、就職試験がこれから始まる時期であり、進路実現の重要性から一日6時間授業を実施する。
三 1、2年生
  午前と午後に学年が分かれて登校(分散登校)、それぞれ3時間授業実施。昼食を学校でとらない。教室の人数を通常の半分にするため、授業を2グループに分け、一方のグループは授業をオンライン配信する。登校しない学年の担当者が補充指導にあたる。
四 欠席している生徒
  濃厚接触者や体調に不安があり登校できない生徒に対して、時間割通りの授業のオンライン配信を行い、自宅においてタブレットで受信し授業に参加できる。
 

 このように2学期のスタートは多難なものとなりました。分散登校する1、2年生は午前と午後を交代し、毎日、半日は登校しますが、全校生徒がそろうことはありません。不規則で不安定な学校生活が当面続くことになります。しかし、この困難な状況に対し、学校はICT教育の特性を発揮し対応したいと思います。一人一台タブレット端末が整備されている西高の力が問われています。
 今朝、2年生の昇降口にボードが掲げられ、今日は午後に登校予定の生徒達を励ます言葉が書かれてありました。この言葉通り、「できる範囲で、できる環境で、できるだけの努力をしていこう」という思いを生徒の皆さんと私たち教職員が共有し、難局を乗り切っていきましょう。

「校長室からの風」

「多様性と調和」 ~ 2学期始業式

 8月25日(水)、熊本西高は2学期始業式を迎えました。
 新型コロナウイルス感染症拡大に歯止めがかからず、お盆の故郷への帰省も自粛するよう呼びかけられた、非常事態の夏でした。今月中旬には停滞前線によって一週間にわたって大雨となった異常気象の夏でした。これまで当たり前だったことが、当たり前にできない不自由な夏でした。それは今も続いています。
 しかし、この困難な状況の中、7月下旬から8月上旬にかけインターハイこと全国高校総体及び全国高校総合文化祭が実施され、西高から22人の生徒の皆さんが参加、出場できたことは大きな意義があったと思います。始業式に先立ち、全国大会を体験した6つの部活動の代表者が、その報告をスタジオで行い、各教室へオンライン配信されました。コロナ禍の中、大会が開催されたことへの感謝の思い、そして全国大会のレベルの高さ、そこで勝つことの難しさをそれぞれ述べ、最後に異口同音に「今回の結果は悔しい」と語りました。全国6位入賞を果たしたウエイトリフティングの西田君(3年)でさえ、「表彰台を狙っていたので悔しい」と言いました。
 「悔しさ」こそ、若人が成長する原動力だと私は思います。「皆さんは特別な体験ができた。このことを誇りに思って欲しい。そして、次の目標を自ら立て、進んで欲しい」と励ましました。
 始業式の校長講話(オンライン配信)では、東京オリンピック、そして昨夜開幕した東京パラリンピックの共通テーマ「多様性と調和」(Diversity  and  Harmony)について語りました。人種、性別または自らの性認識、言語、宗教、政治そして障がいの有無など様々な面で違いを受け入れ、そのうえで共通のルールのもとフェアに競い合うオリンピック、パラリンピックは、まさに多様性と調和にふさわしい世界イベントだと思います。オリンピック競技種目も33競技、339種目と多種多様となり、東京大会ではスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンなどの新しい競技が加わる一方、わが国の伝統的な武道である空手が脚光を浴びました。
 生徒の皆さん、世界はますます多様性を認め合い、共に生きていく共生社会へと向かっています。同じ西高生であっても、性格や趣味、価値観が違う人がいるのは当たり前です。自分と違う他人がいるからこそ、自分の個性が輝くのです。西高生一人ひとりがお互いの良さと違いを認め合い、高め合っていくことを期待しています。
 2学期が始まりました。しかし、9月12日までの蔓延防止期間は、短縮授業や1,2年生の分散登校などで乗り切ろうと考えています。変則な日程が続きますが、かけがえのない学校生活を一日一日、大切にしていきましょう。

「校長室からの風」

中学生の皆さん、ようこそ西高へ ~ 中学生体験入学

 朝8時を回った頃から、正門、西門から自転車で入ってくる中学生の姿が目立つようになりました。来校を歓迎する太鼓部の勇壮な太鼓の音が響きます。部活動紹介のチラシを配付する袴姿のなぎなた部の女子生徒たちが中学生を待ち構えています。この日のために用意したJR熊本駅及びJR西熊本駅と西高を結ぶ臨時貸し切りバス(2台)、そして送迎の保護者の車が次々と到着します。

 令和3年度の西高オープンスクール「中学生の体験入学」を7月30日(金)に実施しました。新型コロナウイルス感染対策のため、分散・自律型の体験入学を企画しました。30日(金)を午前と午後の部に分け、8月の20日(金)の午前にも実施予定です。受付した中学生の皆さんは8人~10人の小班に分かれてもらい、先ず教室に入ります。そこで西高の概要及び体験入学の要領を担当の生徒が説明します。その後、各班の案内役の生徒二人が、中学生の希望も聞きながら、模擬授業(国語、数学、英語、公民)の教室や文化部活動体験の教室、そして広く校内を巡ります。それぞれのプログラムは10分~15分です。

 西高の「中学生体験入学」は、生徒が前面に出て活躍します。駐輪案内、受付、教室での説明、班の案内(ガイド)、そして各部活動の参加体験型プログラムも西高生が運営するのです。この「中学生体験入学」のボランティアスタッフの西高生はおそろいの青のTシャツ姿です。また、職員はレモンイエローのポロシャツを統一で着ます。文化部のプログラムではパソコン教室でのeスポーツ体験、礼法室の茶道体験などは特に人気があるようで、班が順番待ちする光景が見られました。また、ユニークなものとして、西高の売店体験として飲み物とパンをプレゼントしました。

 クライマックスが午前10時半と午後2時半から体育館で行われる体育部活動パフォーマンスです。それぞれの部活動の代表の生徒達がユニフォーム等の姿で精一杯のおもてなしのパフォーマンスを演じました。音楽に合わせての5人でのなぎなた演舞、肉体美を誇示しての男子水泳部の紹介など、観覧の中学生から拍手や歓声、笑い声が響き、会場は一体感に包まれました。

 様々なプログラムを体験する中学生の皆さんの顔は輝いていました。ちょっと年齢が上のお兄さん、お姉さんである西高生の歓迎の気持ちが十分に伝わっていると思いました。数年先の少し未来の高校生の自分が見えましたか?

 西高の校訓は「清・明・和」です。清らかで、明るく、和やかな西高の雰囲気を中学生の皆さんに感じてもらえたでしょうか?猛暑の中、午前の部に約200人、午後の部に約100人の中学生が来てくれました。心から感謝します。

 8月20日(金)の午前にもう一回「体験入学」を開催します。

 「GO WEST!」 中学生の皆さん、参加をお待ちしています。

吹奏楽部、「銀メダル」 ~ 熊本県吹奏楽コンクール

 「今度コンクールに出演します! ぜひ演奏を聴きに来てください!」
 7月の上旬に、吹奏楽部の部長の中川君(3年)と副部長の古賀さん(3年)が校長室を訪ねてきて、案内状を手渡してくれました。長引くコロナ禍で、高校生の吹奏楽大会はこの一年半、ほとんど中止となっていました。久しぶりにライブの演奏を聴くことができると、当日を楽しみに待ちました。
 7月24日(土)、高等学校Aパート(大規模編成)の吹奏楽コンクールが県立劇場コンサートホールで開催されました。30校が参加し、朝9時45分から夜の7時半まで演奏が続きます。熊本西高校は19番目の出演で午後4時8分から20分までの12分間が演奏時間です。観覧は保護者と学校関係者に限られていましたが、会場のホールは大勢の観客で埋まっていました。コロナウイルス感染対策で、席は一つ空けで座ることになっていましたが、久しぶりのコンクールで期待感が場内に漂っていました。
 いよいよ西高の出番です。部員は総勢25人。40人~50人台の大規模校が多い中、Aパートでは少人数の編成です。最初が共通課題曲「エール・マーチ」、そして次に自由曲として選んだ「斑鳩(いかるが)の空」です。演奏が始まると、人数の少なさの不安は払拭されました。大規模校に負けない力強いサウンドが響き、聴く者に届きました。学科や学年、クラスは異なり、一人ひとりの性格や個性も違いますが、それぞれの楽器でパートを担当し、全員で一つの楽曲を創り上げる吹奏楽の魅力を実感できた時間でした。コロナパンデミックによって忘れかけていた時間でした。
 指揮棒を振られた顧問の寺本教諭は、「少ない人数ながらそれぞれが力を発揮し良い演奏をしてくれた」と生徒達を称えられました。審査の結果は銀賞でしたが、ここ10年ほど銅賞に甘んじていたので、大きな成果と言われました。私から見ると立派な「銀メダル」に値する演奏だったと思います。
 このコンクールを区切りに3年生は吹奏楽部から引退し、進路実現に向かって全力で取り組むことになります。吹奏楽部部員はまた少なくなりました。しかし、1、2年生の部員達は今週も毎日、音楽室及びその周辺で練習しています。
    明日の30日(金)は、中学生の体験入学を西高で行います。来年度の入学生に対して、西高吹奏楽部のサウンドを印象づけて欲しいと期待しています。