校長室からの風
体育コース1年生、修学旅行に出発!
体育コース1年生(1年9組 40人)が、12月14日(火)早朝、修学旅行に出発しました。朝7時に学校に集合して出発式を行い、バスで福岡空港へ向かいました。福岡空港から松本空港(長野県)へ飛び、再びバスに乗車して目的地の志賀高原を目指します。午後3時半頃に到着予定で、その後、早速ナイタースキー研修が行われます。17日(金)まで3泊4日の旅程の始まりです。
修学旅行は高校3年間で一度経験する特別な学校行事です。昨年度は、コロナパンデミックの影響で多くの高校で修学旅行が中止となりました。しかし、今年は秋の到来と共にコロナ感染者が急減し、とても安定した状況が続いており、予定通り修学旅行を実施することができ、生徒達と共に喜びたいと思います。
体育コースの修学旅行ということで、スキー研修が中心になっています。阿蘇山より高い、標高1700mの志賀高原一の瀬ファミリースキー場において、14日の夕方、15日~16日のまる二日間とたっぷり時間をとってスキーの講習を受けます。最後は、スキーの上達度を測るバッジテストが実施され認定証を得ることになります。運動能力が高い体育コースの生徒達であれば、きっと上達も早く、二日目から自在に滑り、スキーの醍醐味を満喫することでしょう。
また、雪国の風土を体感してほしいと願っています。九州の雪とは異なる、より気温の低い地域で降るパウダースノー(粉雪)の感触、白銀のゲレンデと青空のコントラストの眩しさ、さらには少し吹雪いた時の自然の厳しさなど、五感で体験してほしいと思います。
最終日の17日は雪山を下り、松本城(松本市)を訪ねます。江戸時代の木造天守(閣)が今に残る城は全国に12城しかありません。私たちが誇る熊本城は、明治10年の西南戦争の時に天守閣は焼失し、昭和35年に鉄骨鉄筋コンクリートで再建されました。江戸時代の古い天守は貴重です。しかも、松本城は、天守閣が国宝に指定されている「国宝五城」(姫路城、松本城、松江城、彦根城、犬山城)の一つとして知られています。山々を背景とした松本城の優美な姿に、疲労が蓄積している生徒達も眼が洗われるような思いに包まれるでしょう。そして、松本城の天守閣に上り、先人の知恵と技術など、伝え守られてきた文化を実感してほしいと期待します。
旅行は、いつ、誰と行ったかが大切です。高校1年生という感性豊かな時に、同じスポーツを愛する体育コースの級友と行く3泊4日の修学旅行は、かけがえのない青春の思い出になると信じます。
「校長室からの風」
左から、学校での朝の出発式 バスの中 志賀高原でのスキー研修開始
オリンピアン来校 ~ 江里口選手の「特別授業」
実際にお会いしてみると、江里口選手は陸上短距離アスリートとしては小柄で、意外に思いました。しかしながら、世界選手権、そしてロンドンオリンピック(2012年)と世界を舞台に戦ってこられた風格のようなものがあり、これがオリンピアンの雰囲気かと感じました。
熊本県オリンピック・パラリンピック教育推進校講師派遣事業(スポーツ庁委託事業)の「オリンピアン講習会」を、12月10日(金)の午後に、体育コース全員(1~3年生)110人が参加して西高の陸上競技場で実施しました。
江里口選手は本県菊池市出身で、県立鹿本高校時代に陸上100m選手として頭角を現し、国民体育大会少年男子で優勝。早稲田大学時代には大学選手権(インカレ)4連覇、そして日本選手権優勝を果たし、大阪ガス入社後の2012年のロンドンオリンピックに出場。100mは予選敗退でしたが、4×100mリレーでは2走を務め4位入賞に輝きました。
熊本県出身のオリンピアンの登場に、生徒達は少し緊張気味で堅い印象があったのは当然でしょう。しかし、江里口選手は、「自分は中学時代には全国大会に出たことがない普通の選手だった。」と前置きし、「身長は170㎝で、筋肉隆々の体質でもなく、自分は陸上短距離選手としては体格に恵まれてない。」と言われました。そして、「そのような自分がどんな点を意識して練習し、いかに世界と戦ったのかを知って欲しい」と伝えられ、生徒の関心を引き付けられました。
江里口選手のアドバイスのポイントは、先ず「考えてトレーニングすること」です。腕立て伏せを生徒にさせた後、「みんなはどこの筋肉を鍛えようと思い、腕立て伏せをしているのか?」と問われました。ただ言われたトレーニングメニューをこなすのではなく、自分のどの部分を強化、鍛錬するためにやるのか、意識して行わないと効果がないと諭されました。そして、練習の時はもちろん、普段の生活においても「正しい姿勢」を強調されました。トップアスリートは理にかなった練習をこなしており、その結果が記録につながっていることをわかりやすい言葉とパフォーマンスで教えられました。
江里口選手は高校時代に国体に出場し、成年の部で競技する日本で一流のトップアスリートの姿に接し、憧憬の念を強く持ち、向上心が高まったと言われました。西高体育コースの生徒たちにとっても、オリンピアンからの「特別授業」を受けたことは、かけがえのない経験になったと思います。
西高から未来のオリンピアンが出てくることを楽しみにしています。
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西高教職員チーム、優勝! ~ 県高校教職員ハンドボール大会
熊本県はハンドボールが盛んな土地柄です。2年前に女子ハンドボール世界選手権大会が本県で開催されたことは記憶に新しいところと思います。ハンドボール熱は教職員の世界にも定着しており、私が教員になる前から、教職員ハンドボール大会が行われています。しかしながら、昨年はコロナパンデミックの影響で中止されました。今年は2年ぶりに再開、第62回熊本県高等学校教職員ハンドボール大会が11月27日(土)~28日(日)に実施されました。
熊本西高にはハンドボール競技が専門の職員はいません。しかし、部活動としてハンドボール部があり、その顧問の樺島先生が中心となり職員チーム(選手14人)を結成し出場することとなり、形だけの監督を校長の私が務めました。
チーム練習もほとんどできず、「まあ一回戦も厳しいでしょう」との樺島先生の予想もあって、気楽に27日(土)の会場の山鹿市総合体育館に臨みました。ところが、1回戦の天草支援学校、2回戦の九州学院、3回戦の熊本中央と圧倒的な強さで勝ち続けました。
抜群のスピードで相手チームを翻弄したのが、体育科の女性職員の落合先生です。落合先生はバスケット選手として大学、実業団(鶴屋百貨店)で活躍しており、縦横無尽にコートを疾走し得点を重ねました。特別ルールで女性職員のゴールは2点にカウントされるため、西高チームは相手校を一気に引き離しました。また、男性職員では西田先生が次々にゴールを決めました。西田先生はラグビーの県国体成人チームのメンバーで、現役アスリートとして豊富な運動量と巧みな動きで相手選手をかわし、得点量産に貢献しました。
西高職員チームは体育科の若手職員だけが牽引したのではありません。20代から50代まで幅広い世代の職員がそれぞれの持ち味を活かし、チームワークを発揮しました。58歳の山本先生(数学)、57歳の鬼塚先生(数学)、55歳の門脇先生(保健体育)、51歳の樺島先生(数学)の4人の50代の職員も交代しながらコートに入り、果敢にプレーし、チームが勢いづきました。
28日(日)の千原台高校体育館での準決勝(対 阿蘇中央)、決勝(対 水俣)も快勝。西高職員チームは思いもかけず優勝したのです。大会最優秀選手(MVP)には落合先生が選ばれました。長引くコロナ禍のため、学校では職員の親睦行事がこの1年半ほど行われていません。久しぶりにスポーツを通じて、職員の一体感、連帯感を得ることができました。このことが、優勝したことよりも喜びです。
来週は、学校でクラスマッチが予定されています。共にスポーツを楽しみ、交流を深める好機です。生徒達もきっと楽しみにしていることでしょう。
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剣道、作文、美術、ボランティア ~ 西高生の多彩な活動
熊本県高等学校剣道新人戦大会が11月20日(土)~21日(日)に行われ、西高剣道部が躍進を見せました。男子団体が3位、男子個人で山下貴薫君(1年)が準優勝、女子個人では平江愛梨さん(2年)がベスト8に入り、それぞれ九州大会進出を決めました。男女ともに九州大会出場を決めたのは県内の高校で西高だけです。特に、剣道王国の熊本において強豪校相手に次々と勝ち抜き、個人戦準優勝を遂げた山下君の快挙を心から称えたいと思います。大会前日の19日(金)に剣道部の充実した稽古風景を見て期待感が高まりましたが、見事に実力を発揮してくれました。上げ潮に乗っている今の剣道部の勢いに注目です。
また、11月24日(水)、熊本西税務署の清水副所長が来校され、令和3年度「税に関する高校生の作文」(主催:国税庁)で入選を果たした田中瑠夏さん(1年)が表彰を受けました。科目「現代社会」の夏季休業の課題として取り組んだ田中さんの作文は、日頃は意識しない税の使い道について改めて調べ、学校教育や近所の公園整備など身近なところに活かされていることを知ったことをまとめたそうです。社会を意識することにつながったと語ってくれました。
第5回全九州高等学校総合文化祭長崎大会が来月12月10日(金)~12日(日)に開かれます。昨年は熊本大会でしたが、コロナパンデミックで事実上の中止となり私たち高校関係者、生徒達が無念の涙を呑みました。今年は2年ぶりに平常開催の予定です。本校から美術部門で浪平佳凜さん(2年生)の作品が出品されます。浪平さん自身も生徒交流会に参加するため、長崎県立美術館へ赴きます。
このように体育、文化と生徒の個々の活動が高い評価を受けることは学校にとって誠に喜ばしいことです。スポーツに、文化活動に、そして学習にと、それぞれの生徒が自ら得意とする領域で存分に自分の可能性を発揮しています。そして、生徒の無尽の可能性を引き出すために、教職員が寄り添い指導、支援しています。ここ熊本西高は、高校生の可能性が開花する環境が整っているのです。
さらに明るい話題です。11月21日(日)に第1回「熊本みなとマラソン」が西区で開催されました。熊本港の親水緑地広場をスタート、ゴールとし、県道51号(熊本港線)を走るハーフマラソンです。このマラソン大会に西高から56人の生徒が運営ボランティアで参加しました。大会主催者の久保理事長(NPO法人スポレク・エイト)が来校され、「多くの生徒さんの積極的なボランティアの姿勢に感謝します」と御礼を申し述べられました。こちらとしては、ボランティアの機会を与えて頂いたことに感謝したいくらいです。
西高生の活動範囲がどこまで広がっていくのか期待が膨らむ日々です。
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「税の作文」表彰
「夕日が美しい学校」 ~ 生徒会からの「西高魅力化プロジェクト」案
11月16日(火)、今年度2回目の学校運営協議会を開催しました。地元の三和中学校長、地域の自治会長、西区区長、保護者会代表、同窓会代表等8人の委員さんを招いて、今後の学校運営のあり方を検討して頂くものです。今回はこの場に会長の濱﨑さんはじめ生徒会役員8人が参加し、生徒会が考える「西高 魅力発信プロジェクト」案を提言してもらいました。
西高生がもっと積極的に小、中学校へ出かけて連携、交流を図るという提言がありました。体育コースの生徒が小学校の体育の授業のお手伝いをする、サイエンス情報科の生徒が小学校のプログラミング学習のお手伝いをする等です。また、いざ大規模な自然災害が起きたときに備え、防災活動を地元の小中学校と共同で実施する案も出されました。とても現実的な良案だと思います。
また、西高にもっと地域住民の方が足を運んでもらえるよう、従来の創立記念祭(文化祭)とは別に「西高フェスタ」(仮称)を学校で開催し、地域の商工業者の皆さんに特産品販売を行ってもらうのはどうかという案も出ました。この他、移動販売車(スタンドカー)に学校に定期的に来てもらうことは販売の促進と西高生の買い物の楽しみが増える効果があるとのユニークな意見も出されました。高校生の視点からの面白い発想です。
学校運営協議会委員の皆さんも、共感的に受けとめてくださいました。三和中の校長先生からは「中学校と高校の生徒会の共同活動はすぐにでもできる」と支持していただきました。また、西区区長さんからは、西区主催のイベントへの西高生の参加を歓迎する旨のご発言がありました。
そして、同窓会代表の委員さんから、「あなた達にとって、西高の魅力は何ですか?」と生徒会へ質問がありました。
「熊本市にありながら、周囲の自然が豊か」、「学校の敷地が広い」、「学習のICT化が進んでいる」、「生徒と先生の距離が近い」などの意見が出る中、「西高から見る夕日が美しい」と回答した生徒が3人いました。西高の西側には田畑が広がり、高い建物はありません。白川、坪井川の河口に連なり、その先は有明海です。鮮やかな朱色に輝く夕日が校舎、グラウンドから見えます。あの情景はきっと西高生の胸に刻まれるものでしょう。
西高は公共交通機関には恵まれていません。JRの熊本駅、西熊本駅から約5㎞の距離があります。しかし、多少遠くても通うだけの魅力ある高校でありたいと思います。そして、そのような魅力ある西高を創っていく主役は生徒の皆さんです。これからもより魅力的な学校を目指し、生徒及び保護者の皆さん、地域住民の方々、教職員とで対話を重ねていきたいと思います。
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ひたすら歩く、みんなで歩く ~ 西高チャレンジウォーク
秋晴れの11月2日(火)、西高伝統の「チャレンジウォーク」を開催しました。学校を出て、西区地域を歩き巡る遠行(えんこう)行事です。2年前までは金峰山頂上まで登っていましたが、今年は新型コロナウイルス感染防止の観点からマスク着用での強歩(走らない)で、学年別に時差出発とし、コースや距離も変更しました。距離は15.6㎞、行程は日蓮宗の名刹、本妙寺までの往復です。
早朝の7時45分には体育コースの生徒(1~3年)が最初に出発しました。体育コースの生徒達は先に行き、交差点や曲がり角において保護者役員の方や職員と一緒に交通案内も担当するのです。そして、一般の生徒が通り過ぎた後、追うように歩きます。8時半から9時半にかけて2年生、1年生、3年生の順で出発していきます。各クラス、男女別に4~8人の班をつくり、そのチームで歩くのです。3年8組の生徒達が最後に出発したのですが、その最後尾から私も歩き始めました。
西高北門を出て、坪井川の堤防道を上流へ進み、高橋稲荷の通称「赤橋」(朱色の橋)を渡り、西回りバイパス道の歩道へ。柿の実が朱に染まり、薄が群生し、秋景色が広がります。沿道に保育園、幼稚園があり、幼児たちから「がんばれー」と可愛い声援が送られ、生徒達も手を振り返しています。島崎町に入り、次第に上り坂となり、いよいよ本妙寺(西区花園町)へ。
本妙寺は中尾山(標高218m)の中腹にあり、鬱蒼とした木立に覆われ、疲労した身体には涼風が心地良く感じられます。しかし、最後に300段の石段という難所が待ち構えていました。息を切らしながら石段を登ると、加藤清正公の雄姿(銅像)が迎えてくれました。ここがチェックポイント。帰りは、清正公が眠る浄池廟(じょうちびょう)の本殿・拝殿の脇を通り、「胸突き雁木(がんぎ)」と呼ばれる急な石段を下り、表門から出て往路と同じ道に戻り、学校へ。
復路では、遅れた1年2組の女子の班と一緒に歩きました。普段、長い距離を歩かない一般の生徒にとって、約15㎞の道のりは大きな負担となるようです。早くゴールした生徒達は制服に着替え、自転車で帰宅する姿が見られ、焦りも出てきます。しかし、一人ではありません。女子7人で朗らかに声を掛け合い、一歩一歩、ゴール(学校)を目指します。ひたすら歩く、みんなで歩く。ただそれだけの鍛錬行事ですが、西高生としての一体感が強まる得がたい時間です。
午後1時近く、1年2組の女子7人の班と私が最後尾でゴールしました。同窓会及び育西会からバナナ、ドーナツ、飲み物を頂きました。完歩した達成感は何物にも代えがたいものでした。
「校長室からの風」
創立記念祭開催 ~ 「For others With others」(みんなのために みんなと共に)
秋晴れの10月28日(木)、熊本市民会館シアーズホーム「夢ホール」で第46回熊本西高校創立記念祭を開催しました。
芸術鑑賞会に続き、午後1時40分に生徒会企画のオープニングアトラクションが始まりました。いきなり「オタ芸」と呼ばれる、アイドルの熱狂的ファンが行うペンライトを使ったパフォーマンスとバンド演奏を男子生徒有志が演じ、会場は笑いと歓声、拍手に包まれました。
プログラム2番は太鼓部演奏。部員は1年生2人(男女)しかいません。外部指導員の瀬戸さんも加わり3人での熱演で、鼓動が客席に響き渡りました。力の限り打ち続けてのクライマックス、打ち止め後の静寂、そして3人で深々と頭を下げた姿勢のまま幕が下りる情景は印象的でした。
プログラム3、4番は、1,2学年の発表。1年生は9組体育コースの林君が「2020東京オリンピックから学んだこと」というテーマで堂々の発表。2年生は、横手学年主任を中心に職員と生徒全員が出演の動画上映。受験に臨む3年生へのエールと、これから西高を背負っていく決意がメッセージに込められた動画で、生徒による撮影、編集の手作り感も伝わってきました。
次のプログラムは演劇部発表。放課後のドタバタ騒ぎで、二子石教諭、田上教諭、打越教諭と3人の2年生担任も出演し、客席から大きな反響でした。また、続く放送部の発表は、職員室のベランダの庇にあるツバメの巣がテーマのドキュメント(記録)動画。今年度のNHK杯高校放送コンテストに出品したものです。さすがは放送部で、ツバメの雛を中心に小さきものの動きを丹念に追い、強風で破損した巣の修復にも関わるドラマとなっていました。
プログラム7番は保健委員会の発表。生徒の生活習慣改善をテーマに、全校生にアンケート調査を行い、その結果を公表。平均して一日のスマホの使用時間が2~3時間以上が7割を超えていることは心配な状況です。一方、睡眠時間6時間未満が6割以上となっており、これらの相関関係が気になります。安定した生活リズムを維持することは西高生の課題であることが浮き彫りとなりました。
そして、プログラムの締めは吹奏楽部の演奏です。3年生が引退したため部員は13人と少人数です。しかし、この日に向けて熱心に練習してきたことは、楽器の音色が音楽室周辺に放課後響き渡っていたことが証です。最後のジャズの名曲「Sing,Sing,Sing」はソロ演奏もあり、圧巻の演奏で、フィナーレをかざってくれたと思います。
「For others With others」(みんなのために みんなと共に)。テーマどおりの創立記念祭となりました。
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ルネサンス、バロックの音楽との出会い ~ 西高「芸術鑑賞会」
15世紀から17世紀にかけてのヨーロッパのルネサンス、バロックの音楽が古楽器で奏でられます。強い、大きな響きはありません。自己主張する音はありません。現代の電子音楽に慣れている私たちの耳には、とても控えめな旋律(メロディー)と感じられます。しかし、アコースティック、即ち楽器本来の深い音色に心地よく包まれます。
西高創立記念祭の一環として、10月28日(金)に熊本市民会館シアーズホーム「夢ホール」において、芸術鑑賞会を開催しました。ヨーロッパの古楽器の合奏(アンサンブル)で知られる「グループ葦」の皆さんによる公演です。8人の出演者が、四種のリコーダー(縦笛)、弦楽器のヴィオラ・ダ・ガンバ、トロンボーンの先祖に当たる楽器サックバット、外観はピアノに似た鍵盤楽器のチェンバロなどの古い楽器を奏でられ、これに歌唱が加わります。そして、この日は特別に二人の舞踏家が参加され、ルネサンス、バロック時代のダンスを往時の優雅な衣装を模したコスチュームで踊られました。
このようなヨーロッパのルネサンス、バロックの音楽及び舞踏には私も初めて触れました。知っている曲は、バッハ(ドイツ、1685~1750)の「メヌエット」だけでした。「初めて聴く音楽なのに、なぜか聴いたことがあるような記憶がありませんか?」と演奏者の方がステージから問いかけられました。それは恐らく現代音楽の起源だからかと思いました。また、ルネサンス、大航海時代のヨーロッパからカトリックの宣教師が戦国時代の日本にも渡来し、この九州、熊本でもキリシタンが増え、コレジオ、セミナリオといったキリスト教の学校、宣教師の養成所が設けられました。そこでは、当時のヨーロッパの音楽が演奏されていたことがわかっています。ひょっとして、私たちの先祖が、ルネサンス音楽を聴いたことがあるのかもしれません。そのようなことを想像すると、遠い記憶がよみがえってくるとも言えるでしょう。
喧噪の音に包まれているような現代の私たちが、シンプルでおだやかだった頃のヨーロッパのルネサンス、バロックの音楽にさかのぼる時間の旅を経験したような公演でした。創立記念祭「芸術鑑賞会」にふさわしい公演でした。音響、照明とも整った本格的なホールで、ゆったりと音楽の世界に浸ることができました。生徒の皆さんにとっても、音楽の深淵を覗いた、特別な時間となったことでしょう。まさに、創立記念祭のテーマ「気韻生動」の音楽でした。
「校長室からの風」
創立記念祭を迎えて ~ オンライン開会式の挨拶
熊本西高校は昭和49年10月に創立されました。最初は職員4人だけで生徒はいません。「清 明 和」の校訓をはじめ校旗、校章などを定め、募集定員は普通科4学級で発足することが決まり、翌年の昭和50年4月に第一期生の入学を迎えました。創立以来、今年で47年となります。他校では文化祭と言われることが多い秋の文化的行事を、本校ではあえて創立記念祭と呼ぶのはなぜでしょうか? 毎年、創立の原点に戻った気持ちで、新たに西高の元気を発信しようという思いが込められているのです。
残念ながら2年前までのように学校全体を会場にし、地域に開放しての賑やかなお祭り的行事はできません。しかし、熊本市民会館シアーズホームという立派なホールを舞台に、芸術鑑賞、そして文化部をはじめ生徒のみなさんのステージ発表が開催されます。本格的なホールは体育館と異なり、音響、照明ともに優れていて、音楽や演劇など舞台芸術には最高の環境が整っています。ホールでの鑑賞マナーも身に付きます。
今年の芸術鑑賞は、ヨーロッパの古い楽器、古楽器の演奏や歌のアンサンブル(合奏)を鑑賞します。私たちが日頃触れることがないクラシック(古典)で深い音色が楽しみです。また、皆さんのクラスメイトが、同級生が、ステージ上で演奏、発表をします。きっと普段の姿とは違い、「あいつ、すごいな」、「彼女、すてきだなあ」という新たな一面を再発見する機会となるでしょう。観客の皆さんが真剣に鑑賞することが、出演者の力を引き出すことになると思います。
皆さん、創立記念祭は明日の市民会館だけではありません。学校の生徒ホールで20日からアート作品や研究発表の展示が行われています。小さなギャラリーですが、文化の香り漂う空間となっています。会期は明日までです。まだ観覧していない人は今日の放課後、足を運んでください。
この創立記念祭は生徒会執行部はじめ実に多くの皆さんの熱意と努力によって実現しました。関係者すべての皆さんに感謝します。メインテーマは気韻生動。難しい言葉ですが、気品があっていきいきと動き出すようだという意味で、書道や日本画、能楽などわが国の伝統文化を称える時によく使われる言葉です。また、サブテーマの「For others With others」、みんなのために、みんなと共に、という言葉は、新生徒会がスタートする時、私から贈ったもので、それをモットーに生徒会が活動してくれていることを頼もしく思います。
コロナパンデミックの中でも、西高は途切れることなく創立記念祭を実施できます。このことを皆さんと共に喜び、明日を迎えましょう。
「校長室からの風」
生徒ホールの作品展示 ~ 創立記念祭
10月20日(水)から、生徒ホールにおいて創立記念祭の一環として、文化部の作品展示が始まりました。生徒ホールは西高自慢の生徒達の憩いの場です。売店に隣接する空間は2階まで吹き抜けで、大きな窓を通して中庭のテラスにつながり開放感があふれています。本校の創立記念祭は文化祭とも言えるもので、例年なら学校全体が舞台となり、ステージ及び展示の発表、バザー等と西高の活気と創造性を発信する行事ですが、今年はコロナ禍の中、芸術鑑賞とステージ発表を10月28日(木)に熊本市民会館で開催することにしました。そのため、展示部門は生徒ホールでの発表となりました。
美術部は、油絵の大作や素描(デッサン)の小品など9作品。書道部は半切(はんせつ)の5作品。絵画、書の描(書)き手がどんな生徒なのか、想像するのも楽しいのですが、作品を前にして思うことは、創作者を離れ、作品そのものが雄弁に語るような気がします。これが創造の力なのでしょう。
理科の各部も研究活動を広用紙にまとめて展示してあります。生物部の「農業用水路に生きるシジミの1年間の調査」は、学校周辺の用水路で生徒達が活動している様子を見たことがあり、親近感があります。化学部の「廃チョークを利用した銅廃液処理に関する研究」は、使い古したチョークという身近な素材に着目した研究です。地学部の「離岸流の研究」も、海(有明海)に近い西高ならではの研究テーマと言えるでしょう。
また、英語部は西高が位置する熊本市西区について「West District」として地図を作成し、主な公共施設等が英語表記で示されています(もちろん西高も)。図書委員会は生徒(図書委員)オススメの本をキャッチコピーで紹介しています。
そして、育西会(保護者会)からはこれまでの育西会会報(新聞)のバックナンバーがファイルにまとめられ展示されていました。現存する第55号(平成8年12月刊)から最新号の156号(令和3年8月刊)までの25年の変遷が凝縮しています。個人的にお世話になった先輩教師の皆さんの名前や写真を拝見し、懐かしくファイルをめくりました。
小さなギャラリーです。けれども、何かそこだけ上質な落ち着いた雰囲気が感じられます。作品展示は28日(木)までです。まだ訪ねていない生徒の皆さん、昼休みか放課後に足を運んでみてください。西高の学校文化の奥深さ、豊かさに触れられると思います。
「校長室からの風」