校長ブログ

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24/02/05(45)辞書

 先月19日、英語科の研究授業を参観したところ、授業で辞書をひいていました。今どきは電子辞書が主流で、辞書を一所懸命ひいている生徒の姿を見てうれしくなりました。

 私にとって辞書は、なくてはならない存在です。記憶力がなくて漢字や言葉の使い方をすぐに忘れてしまうことと、もとからの調べ好きであることがその理由です。
 国語辞書は「現代国語例解辞典」(小学館)、高校生の時から使っていた辞書がボロボロになり、確か30歳頃に買ったものだと思います。分からない・知らない言葉の意味を調べることはもちろん楽しいのですが、たまにくすっと笑える用法に出会えるのも魅力です。「広辞苑 第六版」(岩波書店)も持っていますが、何となく堅い気がして、使う回数は格段に少ないです。
 漢和辞典は「漢語林」(大修館書店)、これは高校時代から使っています。もちろん漢字の読み方や意味、用例を調べるのですが、なぜか画数好きで、漢字の画数が一発で正解するとそれだけでうれしくなります。我ながら変な癖です。
 私は熊本の江戸時代を研究していましたので(過去形です!)、古文書(こもんじょ)の解読は必須、「くずし字用例辞典 普及版」(東京堂出版)は漢和辞典とともに、常に私のそばにありました。現在は二代目ですが、先代は使いすぎて壊れてしまい、本当に使い切ったという思いでした。たった一文字が解読できず、1か月くらい辞典とにらめっこしたこともありました。
 「漢字筆順ハンドブック」(三省堂)はさすがに使う機会は減りました。小学生のときに厳しく筆順を指導されましたので、分からないことはあまりないのですが、たまに悩む漢字があるので(例えば「繍」とか「凹凸とか」)、やっぱり必要です。正しい筆順は美しく文字を書く順と思います。
 最近とくに必要なのが「用例でわかるカタカナ新語辞典」(学研)です。一見して分からないカタカナ言葉や略称が多くなってきたので、とても重宝しています。次々と新しい言葉が出てくるので、辞書に書き足すようにしています。

 電子辞書や検索アプリは本当に便利だと思いますし、私も使っています。ただ、紙の辞書は「繰る」「見る」「考える」など、いろいろな感覚や思考を伴うので、何となくですが記憶に残りやすい気がします。また、説明文が分かりやすく、簡潔に書かれているので、理解しやすいと思います。分からなかったことが分かる喜びと予期しない発見、私が辞書を手放せない理由です。

漢和辞典

くずし字用例辞典

国語辞典

※「悩んだ文字のひとつ」の写真は「くずし字用例辞典」掲載の文字を使って復元しています。
 実際の文字はかなり雑に書かれていてとても悩みました。漢字2文字で、人の下の名前です。二文字目は簡単ですが、一文字目がなかなか解読できませんでした。

悩んだ文字のひとつ

24/01/29(44)人吉・球磨の歴史と自然を楽しむ⑤ 湯前町~多良木町~相良村~五木村

 6月からスタートした球磨中央ニュース、先日1月号をお届けしに中学校をうかがいました。初めての人吉・球磨の生活、ただでさえ地理感覚がない私ですが、管内の中学校へはカーナビなしで行けるようになりました。前期(特色)選抜も間近、受験生の皆さんの健闘を心から願っています。

 湯前中学校を初めて訪ねた時、正門前を流れる幸野溝(こうのみぞ)の豊かな水量と清らかさに驚きました。幸野溝は、元禄10年(1697年)に、人吉藩士高橋政重(まさしげ)が中心となって工事が行われ、宝永2年(1705年)に湯前村~上村まで溝が通ったそうです(松本寿三郎ほか編「火の国と不知火海」吉川弘文館)。 

 また、百太郎溝(ひゃくたろうみぞ)は役人の有瀬城四郎兵衛(ありせしろべえ)が中心となって工事が行われ、延宝8年(1680年)には多良木~築地(ついじ)まで溝が通りました。その後も工事は続けられ、寛保3年(1743年)までには上村~一武村~西村に溝が通ったそうです(「火の国と不知火海」)。こうした先人の努力によって、上球磨・中球磨で広大な田畑が開発されていきました。

 相良村役場の敷地内にアーチ形の石橋「橋谷橋」があります。説明板によると相良村深水の石工(いしく)石本豊吉が橋谷川に架けたもので、昭和56年(1981年)に現在の場所に移設されたとのことです。

 道の駅「子守唄の里五木」と古民家との間の坂道を上ると五木阿蘇神社があります。平成16年に、東俣阿蘇神社と西俣阿蘇神社、清楽白木神が合祀され現在の場所に遷座しました。東俣・西俣の阿蘇神社は平安時代初期に創建されたそうです。

 球磨中央高校に赴任して1年が経とうとしていますが、まだまだ知らないことばかり。学びの種は近くにたくさんあるものです。

橋谷橋

 ▲橋谷橋

幸野溝

 ▲幸野溝

百太郎溝取入口旧樋門

 ▲百太郎溝取入口旧樋門

24/01/23(43)大発見

 ある日の朝、玄関先を掃除していると、2~3歳くらいのお子さんでしょうか、「ママ、見て見て。大発見だよ。きっとモンシロチョウの卵だよ」と何かを手に持ってお母さんのもとに走る姿が見えました。お母さんは「すごいね」と笑顔で答え、お子さんの顔は誇らしげでした。それが本当にモンシロチョウの卵かどうかは分かりませんが、そのお子さんにとってそれはモンシロチョウの卵であり、「大発見」であることは間違いないでしょう。それから、お母さんの「すごいね」が、次の「大発見」につながることも間違いないでしょう。

 先日、連れ合いと熊本城の堀端を歩いている時にカワセミを見かけました。私が初めてカワセミを見たのは昨年1月、天草市本渡を流れる町山口川。その美しく飛翔する青色の姿に魅了されました。ものすごく興奮して他の職員にカワセミの話をしたのですが、どうも関心がなさそうで、社交辞令的な「すごいですね」が返ってきただけでした。ほかの人にとっては当たり前のことだったり、興味がないことだったりしても、私にとっては「大発見」。その日以来観察を続けてみると、ほぼ同じ時間に同じ場所にやってくることが分かりました。魚を捕食する瞬間や、どうも縄張りらしきものがあることなど、自分にとっての「大発見」がたくさんありました。「大発見」のあと、野鳥の観察がさらに好きになり、色々な野鳥に出会うことができました。連れ合いにとっても、カワセミは「大発見」、もうひとつ付け加えると、錦町での雉(きじ)との出会いも驚きの「大発見」だったようです。

 野花を見るのも大好きです。1月6日、錦町を散歩していると、スミレが1輪咲いていました。この時期のスミレを見るのは、私にとっては「大発見」。「暖かい日が続いたから咲く時期を間違えたかな?」「地球温暖化の影響かな?」などと考えてみました。

 自分の好きなことや関心があることがたくさんあると、素敵な事と出会う確率が格段に高くなるような気がします。自分にとっての「大発見」が積み重なるうちに、「大発見」について調べていくうちに、本当に新しい大発見があるかもしれません。冒頭のお子さん、ひょっとしたら、私たちがいまだ知らない新しい大発見をするかも。そう思うと何となく楽しい気持ちになりました。

1月に見かけたスミレ

 ▲1月に見つけたスミレ

町の美しさ発見

 ▲町の美しさ発見

24/01/16(42)「ランチパック」・「ミルクぷりん」商品化に係る教育長表敬の時のご挨拶(1月15日 県庁)

 ランチパック「熊本県産球磨栗入りホイップクリーム&つぶあん」と球磨酪農様の牛乳を100%使用した「ミルクプリン」、昨年10月に開催しました球磨中央百貨店で試食品が提供され、大変好評でした。12月に開催されたKHS学びの祭典で700個完売、一昨日土曜日には人吉市のショッピングセンターで本校生徒が販売に立ちました。試食品をいただいた段階で「おいしい!」と思いましたし、熊本商業高校さんのランチパック「熊本県産デコポン果汁入り&ミルクホイップクリーム」も爽やかな味で、実に素敵です。高校生の感性の鋭さに感激するとともに、ご苦労いただきました山崎製パン様をはじめ、関係者の皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。

 また、3学期始業式では山冨教諭が「球磨中央高校生全員が販売員です」と呼びかけました。

 美味しい味とともに、もう一度「豪雨水害からの復興」という原点に立ち戻って、球磨中央高校生全員で、より多くの方々に笑顔を届けたいと思っています。応援のほどよろしくお願いいたします。

 このあと、本校生徒を代表して松坂碧天さんが、商品開発にあたって工夫した点や苦労した点、豪雨水害からの復興への思いを述べました。正午から県庁でランチパックとミルクぷりんの販売を行い、爽やかな笑顔でお客様をお迎えしていました。

ミルクぷりん

 ▲ ミルクぷりん

左が球磨中央、右が熊本商のランチパック

 ▲ 左が球磨中央、右が熊本商のランチパック

24/01/10(41)3学期始業式でお話ししたこと

 みなさん、あけましておめでとうございます。元日は穏やかな時間を過ごしていましが、夕暮れ時を迎えた時、能登半島地震のニュースが入ってきました。被災された方々の気持ちを考えると、とても正月を祝う気にはなりませんでした。一刻も早い復興を心からお祈りいたします。
さて、3学期の目標を「楽しく、明るい3学期 令和6年度はもうはじまっている」としました。3学期は1年間を振り返り、成長した点や改善が必要な点を整理したうえで、次のステージの目標を決め、行動に移す学期です。ぜひ、3学期を大切にしてください。

 ここである文章を読んでみます。

 グローバル社会はグローバルエリートを生み、世界全体の富をわずか1%の富裕層が占め、今後は中流階層がなくなり、上流階層と下流階層に分かれるという見方もあります。
 また、今の世界情勢をちょっと思い浮かべてください。アメリカと中国の対立、ロシア・ウクライナ情勢、中東問題、中国・朝鮮半島・台湾を中心とした東アジア問題など、緊張状態にある地域や国々をすぐにあげることができます。
 さらに、そうした政情不安や経済格差によってヨーロッパやアメリカへの移民が増加し、その結果、超保守化する国々が増え、自国第一主義の考え方が台頭しています。
 加えて、地球の気候変動は水や食料、資源の争奪をもたらし、新たな紛争を生み出していますが、各国の思惑でその対策はほとんど進んでいません。もはや現代は、グローバル世界ではなく、反グローバルあるいは自国第一主義の世界ではないかとも言われています。
 私たちが生きている世界では、こうした様々な要素が作用・反作用しながら未来を形作っていくのです。

 2年前、前任校も2学期の終業式でお話しした内容です。この中で、解決した課題はありますか? 私たちは、こうした課題を「自分の力ではどうにもならない」とか、「自分には関係ない」とか思いがちです。しかし、今や、世界、日本、地域で起きている事象は全てが自分につながっていることを意識する必要があります。グローバル化と感染症の拡大、超高齢社会と少子化、気候変動とエネルギーの大転換、情報の集中と格差問題、円高や物価高と経済格差、これらは、すべて自分に深く関係する問題であり、現実の生活の中で痛みを感じたこともあるはずです。
 昨年の11月17日の新聞にある投書が掲載されていました。そこには、「ある会合で初対面の方から「どちらからお越しですか」と尋ねられ、「熊本です」と答えると、「あら、お気の毒に」と返ってきて、さらに「大きな地震はあったし、水害もあったし、熊本城だってまだ壊れたままなのでしょう」と続けられ、その「他人事」感に反発を覚えた」と書いてありました。自分が感じないものは何も起きていないことと同じ。それが「他人事」です。先ほどの地球規模の課題に対しての「他人事」感と根は同じような気がします。
 私たちはどこに住んでいても世界とつながっています。そして自分や地域の課題と世界の課題はつながっています。その課題を解決できるのは「自分は誰かと、何かとつながっている」という意識を研ぎ澄まし、課題を自分のこととして考え、小さくてもいいから、何か一歩踏み出し、行動することではないでしょうか。皆さんにとっての「何か」は以外に近くにあるかもしれません。
 2024年が皆さんにとって素敵な年となることを祈り、3学期始業式のお話とします。

3学期始業式 晴れました

 ▲ 3学期始業式 晴れました

事務室横 ムスカリの球根から芽が!
 ▲ 事務室横 ムスカリの球根から芽が!