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鉛筆 終わりなき 僕らの明日へ On your marks!

 高校総体は、いよいよ最終日・大会4日目を迎えました。

 4日間にわたって部員たちの歓喜と悔し涙、そして容赦ない酷暑を受け止めてきたスタジアムも、どこか祭りの終わりを前にしたような、独特の熱気と静けさに包まれています。

 芦北高校の今大会、最後の戦いの舞台は男子三段跳び。

 そこに立ったのは、これが「初挑戦」となる2年生の男子生徒。

 

【未知なるピットへ、未来を占う『三歩』の挑戦】

 彼が今回、未経験の三段跳びに出場することになったきっかけは、指導者である先生の鋭い眼差しでした。

 「彼のストライド(歩幅)なら、三段跳び特有のリズムに綺麗に合うのではないか」

 先生のその一言に背中を押され、新しい可能性を信じて未知のピットに立つことを決意しました。

 競技開始前、彼は「緊張もあるけれど、それ以上に楽しみです!」と、ハツラツとした笑顔を見せてくれました。

 ピットのスタートラインに立ち、深く息を吐き出す。

 静まり返る直線の助走路をじっと見据えた次の瞬間、力強く地を蹴り出しました。

 一歩、また一歩とスピードに乗るたび、その大きなストライドがスタジアムの風を切り裂いていきます。

 最高速に達したその時、踏み切り板を力強く捉えました。

 

 Hop, Step, Jump――。

 

 初めて挑む三段跳びの複雑なリズム、そして大舞台のプレッシャーのなかで、身体全体を使って必死に前方へとステップを刻みます。

 結果は、三段跳びの壁の厚さを知り、思うような跳躍には届かなかったかもしれません。

 しかし、ピットから戻ってきた彼の表情は、驚くほど晴れやかで、次なる野心に満ちあふれていました。

 

 「実際に跳んでみて、コツさえ掴めれば、もっともっと跳べそうな気がします!」

 

 現状に臆することなく、早くも次の成長のイメージを描いている頼もしい姿。

 先生が見抜いたその大きなストライドは、来年のチームを引っ張っていくための、未来への偉大な「最初の一歩(三歩)」となりました。

 

【焦がれる舞台、 そしてスタジアムの影のラストミーティング】

 自分たちの出場競技がすべて終了した最終日の午後、部員たちはスタンドに身を寄せ合い、トラックで行われているマイルリレーの決勝を見つめていました。

 決勝のトラックを凄まじいスピードで駆け抜けていくのは、他校の代表選手たち。

 そして、スタンドでメガホンを強く握りしめ、割れんばかりの声を枯らしてスタジアムを揺らしているのもまた、他校の応援団の生徒たちでした。

 会場全体が一つになって最高潮の盛り上がりを見せるなか、その熱狂の輪に、自分たちは入ることができていないという、突きつけられた現実。

 押し寄せる静かな寂しさと、言いようのない悔しさが、スタンドの部員たちの間にじわりと広がっていきました。

 しかし、その悔しさをじっと堪えながらトラックを食い入るように見つめる下級生たちの目には、新たな闘志が灯っていました。

 「いつかは自分たちが、あの熱狂の中心に立ちたい」

 この場所で味わったすべての感情を忘れないと誓うような、そんな心震える観戦となりました。

 

 その後、スタジアムの外でのラストミーティング。

 4日間の激闘、そしてこれまでの厳しい練習を闘い抜いた部員たちへ、先生から心からの慰労と、ひたむきな頑張りに対する感謝の言葉が贈られました。

 同時に、大舞台を経験して一回り大きくなった下級生たちへの熱い鼓舞と、これで一つの区切りを迎える3年生のこれからの人生に向けた、最高の応援エール。

 先生の言葉をじっと聞き入る部員たちの表情には、悔しさを越えた先にある、やりきった充実感が満ちていました。

 

【4日間の感謝を込めて。芦北高校陸上競技部、完結】

 泣いても笑っても、これで私たちの高校総体はすべて終了しました。

 振り返れば、この4日間は「終わりと始まり」が目まぐるしく交錯する時間でした。

 3年生が笑顔と涙で結実させた集大成のバトンは、現状に満足せず牙を研ぐ2年生へ、数々の驚きを吸収して芽吹こうとする1年生へと、今、確かに引き継がれました。

 明日からは、新チームとしての新しい日常が始まります。先輩たちが命を吹き込んでくれたこのバトンを大切に握りしめ、私たちはまた、それぞれの自己ベストに向かって泥臭く走っていきます。

 

 最後になりますが、この4日間、倒れそうなほどの猛暑のなかで大会を運営してくださった役員の皆様、審判員の皆様、本当にありがとうございました。

 何より、連日朝早くからお弁当を準備し、一番近くから熱いエールを送り続けてくださった保護者の皆様。

 皆様の支えがあったからこそ、最後まで誰一人諦めずに戦い抜くことができました。

 心より、深く感謝申し上げます。

 

 ミーティングを終え、いよいよスタジアムを後にする生徒たちの後ろ姿。

 そのバックパックには、この過酷な夏を共に乗り越えた証である、お揃いのマスコットチャームが優しく揺れていました。

 これからも芦北高校陸上競技部は、全員で前を向き、一歩ずつ進んでまいります。

 4日間の温かいご声援、本当にありがとうございました!

 

 

 この夏を共に駆けた、かけがえのない絆を胸に。

 私たちは今、それぞれの新しい明日へと歩き出します。

 

 さあ、部員全員、それぞれのスタートラインへ。

 

 次のステージへ 「On your marks!」