校長室からの風(メッセージ)

「卒業考査」が終わる

 

 3年生67人しか在籍していない本校にとって、1月29日(火)から31日(木)にかけ3日間行われた卒業考査は、通常の教育課程の最後となるものでした。3年生は明日2月1日から家庭学習期間に入り、3日間の登校日を経て、3月1日の卒業式を迎えます。

 卒業考査の最終日の午後、地域の税理士さんを講師として招き、「租税教室」を開催しました。高校卒業に当たり、社会の仕組みを支える税について改めて学ぶセミナーであり、例年実施しています。高校生にとっては、身近な消費税以外、税への関心は低いものです。しかし、卒業生のうち四割は就職することになります。また、進学する生徒にとっても社会の当事者意識を持つ意味で、税の重要性を具体的に理解することは意義が大きいと考えます。高校でも「現代社会」(全員必修)や「政治・経済」(選択履修)の科目で学習してはいますが、税のプロである税理士さんによるセミナーは生徒たちに強い印象を植え付けるようです。

 卒業考査が始まる前日、福祉教養コースの生徒14人が調理室でクッキーを作り、それぞれ包装して全職員へ贈ってくれました。校長室にも担当の生徒が持ってきてくれました。クッキーが入った小箱には生徒たちによる手書きのメッセージの紙が添えられていました。「先生方にはたくさん迷惑をかけました。立派な大人になります。」と書かれていました。

 14人という少人数での福祉の専門の授業や校外での実習(保育園・介護福祉施設等)が多かったため、濃密な人間関係でした。絆が強まる一方、意見の対立や誤解から衝突することもあったようです。職員と放課後遅くまで話し合う光景も見られました。しかし、そのような人間関係のトラブルを経験することも高校時代は必要だと思います。トラブルを学びに変えることが大切です。異なる自我の存在である他者同士がどうすれば協働して学び、作業できるのか? この3年間で学んだことは大きな財産になるでしょう。

 一か月後、卒業証書を手渡す日が待ち遠しくなります。

                                                           租税教室の様子