校長室からの風(メッセージ)

「記憶」を「記録」する

「記憶」を「記録」する ~ 日本史Aの聴き取り学習発表会

 9月25日(月)、2年2組の日本史A選択者の授業において、戦争体験者からの聴き取りを基にした学習発表会が行われました。多良木高等学校の前身の旧制多良木高等女学校の同窓生の方々から、太平洋戦争中の体験談を7月に聴き取り、それを基に、さらに歴史を調べ5グループ(1グループ5人)で発表しました。当日は、聴き取りにご協力いただいた多良木高等女学校同窓生の方5人が来校され、生徒の発表をご覧になりました。また、ソウル大学校名誉教授の全京秀先生(文化人類学)、琉球大学の武井弘一先生(歴史学)、神谷智昭先生(民族学)にも参観いただき、評価コメントをいただきました。

 戦後72年となり、現代の高校生にとって太平洋戦争は歴史の世界です。身の回りにも戦争体験した方はきわめて少なくなってきています。教科書や歴史の本、あるいはテレビの映像でしか知らない戦争を青春時代に体験した同窓生の方々の話は生徒たちの気持ちを揺さぶったようです。

 生徒たちの発表を受けて、武井先生は「記憶」を「記録」することの大切さ、意義を強調されました。戦争や自然災害等どんな大きな出来事であっても、それが記録され伝えられなければ、忘れられていき、その惨禍は繰り返すのだと指摘されました。

 昨年4月に熊本地震が発生した時、私たち熊本県民の多くは「まさか、熊本でこんな大きな地震が起きるとは」と驚き、慌てました。行政も、一般県民も大地震の可能性について全くと言っていいほど予期していなかったのです。しかし、明治22年(1889年)、当時の熊本市でマグニチュード6を超える地下直下型地震が起き、甚大な被害が出ていたのです。その歴史が現代に継承されていなかったため、私たちは、地震への危機感がなかったのでしょう。

 どんなに苛烈な「体験」でも、当事者が亡くなれば次第に忘却されます。当事者から聴き取り、それを「記録」し、「伝える」営みが大切なのです。それが歴史を学ぶということなのです。