校長室からの風(メッセージ)

グローバル社会を生きる君たちへ ~ 国際理解に係る特別講演

グローバル社会を生きる君たちへ ~ 国際理解に係る特別講演

 インターネットによって世界中の情報が飛び交い、マネー、物も国境を軽々と越えて地球上を流通するグローバル社会に私たちは生きています。人の移動も加速化し、もはやボーダーレス(境界なし)の世界と言えるでしょう。人類が初めて迎えたこのグローバル社会。多良木高校生の皆さんはまだ海外旅行の経験がある人も少なく、実感はないでしょう。しかし、皆さんが食べている食品、使っている製品の原材料の多くは海外からの輸入されたものです。皆さんも知らず知らずにグローバル社会に巻き込まれているのです。

 グローバル社会をどう生きていけばよいのかという問題について、生徒の皆さんが考える機会にしたいと願い、9月25日(月)に国際理解に係る特別講演を開きました。

 講師は、全京秀(チョン・ギョンス)先生。大韓民国、ソウル大学校名誉教授で、ご専門は文化人類学。現在は中国の貴州大学で教えていらっしゃいますが、アメリカ合衆国、日本などで幅広く研究・教育の活動をされています。当然、英語、日本語など多言語を操られる、まさに知の巨人とも呼ぶべき方です。今回は、秋の相良三十三観音の一斉開帳を見学に球磨郡へいらっしゃったタイミングで講演をお願いしました。演題は「グローバル社会と私」です。

 「英語でいうI、日本語でいう私、これを強くすること、心身の充実こそ、グローバル社会にあって最も大切なこと」と、全京秀先生は、日本語で、力強く生徒たちに語りかけられました。情報が爆発的に増え、真偽が見分けにくくなってきます。人々の価値観は多様化してきます。また、海外へ行けば、あるいは海外の人と一緒に仕事をすれば慣習や文化が異なります。これらの混沌とした社会の中で生きていくには、自分自身という中心軸がしっかりしていることが必要なのだと説かれました。また、英語、日本語、ポルトガル語などの習得にいかにエネルギーを使ったか、というお話も印象的でした。

 講演自体は30分ほどで切り上げられ、生徒たちに質問を求められました。積極的な学びの姿勢を重んじられる全京秀先生の教育観が示されたと思います。全京秀先生の旺盛な知的好奇心と若々しい行動力に生徒たちは感銘を受けたようです。