校長室からの風(メッセージ)

ボランティア ~自然体で取り組む高校生

ボランティア ~ 自然体で取り組む高校生

 「とっても楽しいです!」とボランティア活動している生徒が目を輝かせ答えてくれた。6月6日(土)に多良木町民体育館で開かれた人吉球磨特別支援学級合同運動会(上・中球磨ブロック)に、42人もの多良木高校生がボランティアとして参加し、児童・生徒たちの支援や運動会の運営補助に当たった。

 今年で第45回となるこの運動会への本校からのボランティア参加者数としては、恐らく過去最高だろう。「多良木高校からこんなに多くの生徒さんがお手伝いをしてくれて心強いです。」と大会関係者から感謝の言葉を戴いた。

 ボランティアの生徒たちの様子を見ると、小学生、中学生に寄り添い、笑顔で一緒に運動会を楽しんでいる。男子生徒には小学校低学年の児童達がまつわりついている。5月23日(土)の球磨支援学校の運動会にも10人の生徒がボランティアとして参加したが、その時も同じ光景だった。ボランティアの生徒たちの姿は、何かをしてあげている、という感じではなく、とても自然な態度であった。

 小規模校だからこそ交流の幅を広げたいと学校としては考え、小学校での本の読み聞かせや運動の支援、地域の教育、福祉活動へのお手伝い等、年間を通して数多くのボランティア活動の機会を用意し紹介しているが、多良木高校生は、実に積極的に参加する。そして、自然体で取り組んでいる。その姿を目の当たりにして、ボランティアが若い世代に定着していることを実感する。

 「ボランティア(Volunteer)」という言葉は、義勇兵という語源の英語であり、自ら進んで社会のために活動を行うことを示す。もともと日本にも「奉公」や「奉仕」といった類似の言葉はあったが、「ボランティア」には自発性や無償性といった意味合いが強く含まれており、用語として広まった。特に、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災の時に全国から自発的に集まり被災地の復興を手伝う人々をとおして、ボランティアの力が社会に認識され、この年を「ボランティア元年」と呼ぶこともある。当時、私が担任していたクラスの男子生徒の父親は、春休みになると(阪神・淡路大震災は1月17日に発生)仕事を休み男子生徒を連れて神戸市へボランティアに赴かれた。確か1週間ほど父子で瓦礫の撤去作業に従事されたと記憶している。会社のボランティア休暇制度もその後次第に整備された。

 阪神・淡路大震災から20年の時間が経った。様々な問題が社会にはあるが、自然体でボランティア活動に取り組む高校生を見ると、この国の未来に大いなる希望を抱く。