校長室からの風(メッセージ)

山に学ぼう ~ 体育コース市房山キャンプに寄せて

「山に学ぼう」 ~ 体育コース市房山キャンプに寄せて

 多良木高校2年1組体育コース24人は8月30日(木)から9月1日(金)にかけて水上村の市房山キャンプ場でキャンプをしながら様々な野外活動に取り組みます。特に2日目は一日かけて市房山(1721m)に登ります。古くから霊峰として球磨の人々の信仰の対象であった神の山は、今も希少な植物や蝶、鳥が生息する「宝の山」です。学校を出発する生徒たちに、私は、富松良夫の詩『山によせて』を紹介して、送り出しました。

 富松良夫(19031954)は宮崎県都城市の人で、幼少の頃に脊椎カリエスに罹り障がいのある生を送りましたが、宮崎県から鹿児島県にまたがる霧島連山を愛し、山を主題とした詩を多く創り、「霧島の詩人」とも云われます。その作品の中から『山によせて』を選び、山に学ぼうと呼びかけました。

  『山によせて』         富松 良夫

 ひかりの箭()をはなつ朝

 山は霧のなかに生まれ
 むらさきの山体は
 こんじきの匂ひをもつ

 
 あたらしい日を信じ

 あたらしい世界のきたるを信じ
 さらに深い山の発燃(はつねん)を信じ


 にんげんの哀(かな)しさも

 国の面する悲運のかげも
 世界の精神的下降の現実も
 わすれはてるわけではないが


 いまこのあざやかな

 朝のひかりにおぼれ
 悠々と非情の勁(つよ)さにそびえている
 山に学ぼう
 


                                   市房山キャンプ場でテント設営する多良木高校生