校長室からの風(メッセージ)

「箱根駅伝」を走った卒業生

「箱根駅伝」を走った卒業生

 1月6日(金)、新春にふさわしい訪問者を多良木高校は迎えました。「箱根駅伝を走る」という夢を実現した2年前の卒業生、太田黒卓君(20歳)です。太田黒君は上武大学(群馬県)の2年生で、同大学駅伝部のメンバーとして、この正月2日3日に行われた箱根駅伝大会の往路3区で力走を見せました。3区を走るという情報を得ていましたので、当日は私も朝からテレビ中継放送を凝視し、上武大学の2区から3区への襷渡しの瞬間に太田黒君の雄姿を見ることができました。その時、「太田黒君は夢を実現したんだ」という熱い思いが込み上げてきたものです。

 多良木高校時代、太田黒君は陸上の中・長距離選手として活躍し、3年次では熊本県高校総体の800mと1500mのチャンピオンに輝き、全国高校総体(インターハイ)の800mでは8位に入賞しました。穏やかで実直な人柄は皆から慕われる一方、陸上にかける並々ならぬ情熱と強い意志を持ち、朝夕、グラウンドを黙々と走る姿が印象的で、今も私の目に焼き付いています。そして、「箱根駅伝を走りたい」という夢を掲げ、上武大学に進学しました。昨年の箱根駅伝では出場が有力視されながら、直前の怪我で涙をのみました。それだけに、今年は期するものがあったと思います。見事、私たちの期待に応え、大舞台で走った太田黒君を私は握手で迎えました。

 「応援していただいた皆さんに感謝します。」と太田黒君らしい感謝の言葉が最初の言葉でした。高校を卒業して2年、大学駅伝で鍛えられ、一段とたくましく頼もしく成長したように見えました。3区21.4㎞の個人目標タイム(1時間4分50秒)を上回り、区間10位の走りで2人を抜き14位で次の走者に襷を渡すことができ、個人としては満足の結果だったと太田黒君は語ってくれました。来季は、エース区間の2区を走り、上武大学としてシード権(10位以内)を獲得することを目標に挙げてくれました。

 「箱根駅伝を走る」という夢を実現し、次の夢に向かって走り続ける新成人のエネルギーに接し、新年早々、大いに希望と元気を得た思いです。前を向いている若人にとって、夢は実現するためにあるのでしょう。