校長室からの風(メッセージ)

最後の卒業式

 

 若人の旅立ちに立ち会えることは、教職員冥利に尽きると思います。毎年3月1日の卒業式では心が震えるような感動を覚えます。しかし、今年の卒業式はさらに特別なものとなりました。

 平成31年3月1日(金)、多良木高等学校最後の卒業式を行いました。多良木高校97年の最終学年の生徒であり、言わば最終走者(アンカー)として先輩方がつないできた襷を受け、この3年間走ってきました。そして、私たち教職員も伴走してきたことになり、感慨もひとしおです。「97年の末っ子」に当たり、最後まで甘えたところがあり、愛すべき生徒達でした。

 昨年までの卒業式では見送る在校生がいましたが、今年は地域の住民の方々が大勢出席され、席を埋めていただきました。そして、保護者、職員と一緒に「蛍の光」を合唱し、卒業生を送ることができました。閉式後、退場する生徒を住民の方たちが両側から囲み、一人一人に花束を渡される光景は胸に迫るものがありました。また、今年の卒業式には15人の社会人聴講生の方にもご出席いただきました。科目「情報処理」を生徒と一緒に1年間学ばれました。人生経験豊富な社会人の方々と共に学んだことは、生徒にとって貴重な経験となったはずです。

 卒業生へ贈る式辞で、特に私が気持ちを込めて伝えたかったのは次の部分です。

 「来月で平成の世が終わります。平成に代わる新しい元号の時代は、皆さんが主人公です。多良木高校は明日九十七年のゴールを迎えますが、皆さんの未来はそのゴールの先に広がっています。未来に向かって新たな挑戦が始まるのです。」

 最後の卒業式では、バイオリン、チェロの弦楽器の演奏が響き、例年にない格調が漂いました。人生の新たな段階へと進む卒業生の姿を見送り、喜びと感傷に浸り、少しの間、時間がとまったような感覚になりました。

 私たち教職員一同、この生徒たちに出会えたことに深く感謝しています。