校長室からの風(メッセージ)

野球部を励ます ~ 高校野球推戴式

野球部を励ます ~ 高校野球推戴式での校長の激励の言葉 

 昨年の夏は、多良木高校にとって熱い熱い夏でした。夏の甲子園大会熊本県予選で野球部が快進撃をみせ、次々とシード校を破り、30年振りのベスト4進出を果たしました。多良木町をはじめ地域の方、同窓会の方々と一緒に私たちも熊本市の藤崎台球場に駆けつけ、「思いはひとつ ~多良木の意地と誇りを胸に」の横断幕を掲げ、スタンドとグラウンドの選手が一体となって戦った夏が忘れられません。

 一年経ち、また甲子園の夏が巡ってきました。野球部の皆さん達には、昨年の先輩達が残した結果を超えたいという思いがあると思います。しかし、そのことが精神的重圧になってはいないでしょうか? 昨年の野球部キャプテンの大塚将稀君が、十日ほど前、学校を訪ねてきてくれました。大塚君は現在、北九州市にある九州国際大学の野球部で活躍しています。大塚君は話しました。「実は、昨年の僕たちは、先輩達と比べられているのではないかとずっと意識して、プレッシャーに押しつぶされそうでした」と。一昨年の野球部は、現在、社会人の東芝で活躍するビッチャーの善君、そして法政大学で活躍しているキャッチャーの中村君がいて秋の県大会やNHK旗杯で優勝するなどの強豪チームでした。大塚君は、「善さん、中村さん達にはとてもかなわない」と思っていたそうです。けれども、いざ夏の大会が始まると一試合一試合に集中でき、「先輩達のことは忘れ、全力で自分たちの野球ができた」そうです。大塚君は言いました。「大学の練習より、多良木高校の練習の方がきついです。厳しい練習を積み重ねてきたことを自信に、自分たちの野球を貫いて欲しい」と。

 野球場近くにお住まいのご婦人が、先日私に言われました。「今年の野球部は例年以上に声が出ているようですね。高校生の大きな声を聞くだけで元気が出ます。」。君たちは、練習の声だけで地域の方々に元気を届ける存在です。地域の応援を追い風として勢いを付け、大会に臨んでください。畑野キャプテンを中心に、一昨年のチームとも、昨年のチームとも違う、今年のチームらしさを発揮し、自分たちの野球に集中してください。 

 第98回熊本県高等学校野球選手権大会に、誇りをもって野球部を送り出します。