校長室からの風(メッセージ)

若者たち ~高校総体2

若者たち ~ 高校総体その2

 今年の高校総体の陸上競技は、熊本地震の影響で熊本市の県民総合運動公園陸上競技場(「うまかな・よかなスタジアム」)が使用できず、県営八代運動公園陸上競技場(八代市)で6月3日から6日にかけて行われました。

 6月4日(土)と5日(日)のそれぞれ午後の半日、多良木高校陸上競技部の選手を応援しました。収容人員32000人の巨大な競技場である「うまかな・よかなスタジアム」とは異なり、八代の陸上競技場はスタンドも小さく、雨が降る時は周辺の芝生広場のテントで待機するという状況で、例年と比較すると選手のコンディションには厳しいものがあったようです。応援する者にとっても、雨が降ると傘をさし、競技場のトラック(競走路)の周囲に立っての応援となりました。しかし、競技中の選手と距離が近く、選手の息づかいや流れる汗が感じられる程で、陸上競技の醍醐味を満喫できました。

 本校から3人の女子選手が出場した400mハードル競技は負荷の大きい種目で、1人の1年生選手はゴールすると倒れ込み、しばらく起き上がることができませんでした。また、男子2人が出場した5000m、3000m障がい、そして女子2人が挑んだ3000mと長距離レースはいずれも過酷で、苦しそうに表情をゆがめゴールを目指す姿には、こちらも熱くなり声援を送りました。苦しくてもひたすらゴールを目指す選手達の姿を至近距離で見ていて、中学校の音楽の授業で歌った「若者たち」(作詞:藤田敏雄、作曲:佐藤勝)の歌詞の一節が思い浮かびました。 

   「君の行く道は 果てしなく遠い
     だのになぜ 歯をくいしばり
     君は行くのか そんなにしてまで」

   高校総体が終わり、先日、陸上競技部の選手達が応援の御礼に校長室まで来てくれました。その時、私は「君たちは苦しくてもなぜ走るんだろう?」と問いかけました。すると1人の生徒が「なぜでしょうね? 自分でも時々わからなくなります。」と笑って答えてくれました。


                                       雨の中、応援する陸上部員