校長室からの風(メッセージ)

気持ちをひとつに ~ 「熊本地震」にかかる緊急全校朝礼

 4月18日(月)、緊急の全校朝礼を第一体育館で行いました。4月14日(木)の夜、16日(土)未明に県央部で大きな地震が起き、その後も余震が続く非常事態を受けて、同じ熊本県に住む者として気持ちを一つにしたいという目的で全校生徒に集まってもらいました。最初に全員で黙祷を行い、次に私が生徒に語り掛けました。

「ただ今、黙祷を全員で行いましたが、多くの犠牲者、そしてまだ把握できていないほどの負傷者、家屋の被害など今回の地震災害は熊本県に大きな爪痕を残しました。益城町をはじめとする上益城郡、熊本市、阿蘇、宇城地方が受けている被害は甚大で、私たちの想像を絶するものです。同じ熊本県に暮らす者として、気持ちを一つにするため、こうして全校朝礼を行いました。

皆さんに二つのことを伝えます。

 一つは、普通の生活のありがたさをかみしめよう、ということです。被災された方々が口をそろえて、「早く普通の生活に戻りたい」と言われている様子をニュース映像が伝えています。蛇口をひねったら水が出る、スイッチを入れたら電気がつく、お風呂に入れる、食事ができる、自分の部屋で眠ることができる、これらの普通の生活ができることは実は多くの人の力で成り立っているのです。それを普段、私たちは意識していませんが、いったん災害が起こるとそれらは瞬時に断ち切られます。今日、こうして多良木高校が平常の学校活動ができることを皆さんと共に感謝したいと思います。

 もう一つは、自然災害を正しく恐れる、ということです。地震は、今の科学技術では予知不能でいつ起きるかわかりません。次はこの球磨郡で巨大地震が発生するかもしれません。しかし、その時パニックにならないよう、基本的な知識や心構え、準備をしておくことが必要です。自宅に、非常用の水、食料、懐中電灯が用意してあるか、家族で確認してください。学校は、平成22年度から耐震化工事を進めてきています。皆さんが主に生活する教室、体育館などは今回の震度6から7クラスの大地震にも耐えられます。しかし、大きな揺れが治まったら、各自でグラウンドへ避難しましょう。もし帰宅できない状況になっても、本校のセミナーハウス、平成7年度につくられ、耐震性に優れた建物ですが、ここに宿泊することができます。

 結びに、もう一つ皆さんに伝えておきたいことがあります。災害が起きたとき、皆さんは弱者ではありません。子どもやお年寄り、障がいのある方を助ける方に皆さんはまわらなければなりません。東日本大震災の時にも、災害で多くのものを失い、落ち込んでいる大人に対し、気力、体力を備えた高校生がとても頼りになったそうです。

 何が起こっても、自分の気持ちをしっかり持って、仲間同士助け合っていけば、困難を乗り越えることができるという覚悟で生活していきましょう。」