校長室からの風(メッセージ)

冬到来、市房山の初冠雪

冬到来、市房山の初冠雪

  12月16日(金)の朝、多良木高校校庭から仰ぎ見た市房山は頂から7合目付近まで雪に覆われていました。今年の初冠雪です。その山容は神々しいばかりで、しばしの間、見とれました。登校してきた生徒たちも歓声をあげ、眺めていました。8月にイングランドから赴任したALTのジョー先生も「ビューティフル」と声を上げたほどです。

  「望みは遠し  雲居の峰の   高き市房   み空に仰ぎ」

  犬童球渓作詞の多良木高校校歌にも登場する市房山は標高1722mの九州屈指の高峰であり、球磨郡水上村と宮崎県の境にそびえており、古くから球磨人吉地域では霊峰として信仰されてきました。本校の体育コースでは2年に一度、夏季に登りますが、山頂往復に7~8時間は掛かります。昨夏、生徒たちに助けられ、私も喘ぎながら登りました。

  市房山は四季に応じて姿を変え、多良木高校を見守ってくれています。中国の古語にあるように、山容は季節に伴い、春は笑うが如し、夏は緑で滴るが如し、秋は粧(よそお)うが如し、冬は眠るが如しと言われます。しかし、周囲の山々の群を抜き、孤高の存在を見せる市房山の冠雪した威容は、何か崇高な精神の塊のようであり、威厳と共に輝くような美しさを放っていて、魅了されます。校庭に立ち、市房山を眺めるだけで、背筋が伸び、気力が満ちてくる気がします。

  今朝も厳しい寒さの中、陸上部や野球部の生徒たちはグラウンドで自主練習をしていました。また、来週に予定されている駅伝大会の練習をしている生徒の姿も見られました。「持久走は得意ではないので、クラスに迷惑かけられないから走っています。」と話しながら走る3年生の女子生徒がいました。3年生にとっては最後のクラスマッチですから、心に期すものがあるのでしょう。このような生徒たちの姿を見ていると、自然と心が温かくなり、寒さよりも爽やかさを覚えました。

  冬は空気が澄み、より一層、市房山の秀麗な姿が近くに感じます。この冬も生徒たちが頑張る姿を見守ってくれると思います。